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熱狂的なファンに誘拐された元加害女児!?【映画『サニー/32』の感想を書き綴る】

2018年  日本の作品。
血や暴力が結構な頻度で出てくるし、倫理観欠如したメンバーばかりが出てくるサスペンスです。混沌とした展開。
でも、勢いに引き込まれてしまう不思議な作品。


◎あらすじ

とある新人教師『宮崎 赤理』は誕生日に男二人に誘拐される。
男たちは彼女を『サニー』と親しげに呼び、暴力と恐怖で従わせる。

『サニー』とは、14年前に起きた小学生殺人事件の「同級生を殺害した女児」のあだ名であり、彼らはその熱狂的ファンだという。
成人女性にはイタいフリフリドレスを着用させられ、『サニーポーズ』で誕生日をムリヤリ祝う動画を撮られる。
そして、その映像はネット上にアップされ、ネット民はザワつく。

赤理は隙を見て、監禁されていた建物から逃げるが、外は一面の雪。
やっと見つけた車を止めるも、中から出てきたのは「サニーに会いに来たファン達」であった……

◎ネタバレ感想

・人が死にすぎ😅
なんだろう……登場するキャラが倫理観壊れてる変な人ばっかりなので、すぐ暴力に訴えるし、殺人、隠蔽も躊躇いがない。

・小田が警察官撲殺しようとしたとこからの、怒涛の連続死亡はえぇ〜ってなる。何で殴った……?😦

『サニー王国』の崩壊の幕開けというか、どんどん瓦解していって、もう元には戻らないな、ってのが秒で悟れる。

・結局、赤理は『サニー』と同姓同名で誕生日も一緒な別人だった、というのは不運でしたね、としか……
人生狂わされたよな。

元殺人犯と間違われて誘拐されて、それを正そうとしても聞き入れてもらえない恐怖。
そりゃ、『サニー』のフリして様子見るしかないですわ。

・赤理がブチ切れて「キタコレ」するところは、スカッとしたね!

まさに『飴と鞭』という感じで『暴力とハグ』の連発でした。

”過激な叱りつけ”からの”全力での受容”で、ファンたちの抱える闇を昇華させる『サニー』。

このあたり、「職業:教師」というのが活きてるね。

あとは演じてる北原里英がアイドルだった点から、「アイドルによるファンへの受容」に通ずるものも感じられた気がする……

・ネット民からの沢山の賛辞、救ったファンからの心酔の眼差し、これらを一身に浴びて、”赤理は『サニー』に成った”。

このあとは、どこぞの新興宗教ですか?という感じの集団生活、お悩み相談配信、お布施という名の救援物資……

宗教って、こういう風に力を付けていくんかな〜、って思った(笑)

赤理は頼ってもらえて、それに応えられる『サニー』という立場に酔ってるね。

・終盤は、本物の『サニー』の登場により、赤理の立場が脅かされる。

が、教え子の純子が『サニー』に感化されて、カラオケボックスで同様の事件を起こそうとしてるところから、ようやく現実に向き合う。

教祖様のぬるま湯から強制的に引き上げられたわね。

・偽物と本物の『サニー』の対比は、演技に全て表されてますね。

「キタコレ!」の勢いで訳分からん懺悔大会した『偽物』と、指を折ってまで詫びを入れる『本物』。

本物のサニーによる「人を殺すと、罪は償えなくなる。私には生きる権利よりも前に、罪を償う権利がないの」という台詞。

罪を懺悔して「はい、許します」なんてのは表面上の茶番でしかないと表してるのかな〜って思った。
それこそ、学校の先生がケンカの仲裁に入って、仲直りさせる感じの。

人は死んだら、リカバリーできないもんな……
ずっと背負い続けなきゃいけない。

・赤理は、ネット民や信者(仮)に「受け入れてもらえた」から、活き活きと教祖様してたし。

本物のサニーは、めぐみちゃんに「受け入れてもらえなかった」から衝動的に殺してしまったんだよね。

人間、誰しも「誰かに受け入れてもらいたい」もんなんだなぁ……

純子は、エンドロール中に赤理に抱きしめてもらえたことで、心は救われたんだろうな。

・あの後、赤理は教師に戻るのか、それとも教祖様として救済の道に進むのか……

でも本物のサニーに現実突きつけられちゃったから、付け焼き刃な『許し』じゃ、すぐにボロが出そうだな。

◎総括

人違い誘拐からの教祖様のくだりは、意外性があって面白かったです。
冷静になると「こいつら何やってんだ?」になるんだけど、作中の勢いと熱量で全て押し流されてしまう。

途中、楽しく新興宗教ごっこしてましたけど、死体とかそこらに放置された上でのキャッキャだから、やっぱりあの人たちおかしい……

怒涛の勢いでメンバーが減っていくところも、ありえなさすぎて逆に面白くなってしまった。

不思議な余韻になる映画でした……

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