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デルタ株の凄さと、オーストラリアのロックダウン

今回の、オーストラリアのロックダウン。ニュース的にはあまり日本では取り上げられていなかったように思う。でも、実際の状況を説明してくれているこの記事を読んで、さすがにゾッとしたので、今回はこの記事の内容を中心に書いていきたい。

引用しても、記事のリンクへ行かない人もいるであろうから、直接上記記事から引用させてもらうが、この記事で凄いと思ったのは、オーストラリアという国は、『たった数十人のデルタ株の感染者を確認』しただけで、ロックダウンを決めたということだ。

そして、その感染ルートの特定が、もはやテレビドラマの警察ものレベルで……
『州保健局が感染源とにらんだのが、60歳代の男性運転手だ。6月16日、空港から国際線の客室乗務員をリムジンで宿泊先のホテルまで送迎。デルタ型ウイルスの感染が判明した。州保健局は男性運転手の足取りを徹底的に調べあげて、立ち寄り先の日時、場所をすべて公開。接触した可能性のある市民にPCR検査を受けるよう呼びかけた。』
とある。

ここで凄いのが、『接触した可能性のある市民にPCR検査を受けるよう呼びかけた』ということだ。

それから、
『すると、運転手と同じゲノムを持つデルタ型の感染者が2人いたことが判明。いずれもシドニー市内のショッピング・センターで運転手と同時刻に滞在していたことがわかった。ショッピング・センターの監視カメラによって感染者と運転手の接点を調べると、ほんの数秒間すれ違っただけで感染した人とみられることがわかった。同州のブラッド・ハザード保健相は、6月19日の記者会見でこう述べた。「カメラの映像を見る限り、2人は通りすがりながら10センチから50~60センチほどの距離を保っていた。それでも感染してしまった」

おわかりだろうか?
これは、ほぼ確実に、「飛沫感染」でも、「接触感染」でもなく、『空気感染』であるということだ。つまり、デルタ株は、今までの新型コロナウイルスとは別格の感染ルートをもった、圧倒的なまでの感染力を誇るウイルス株であるということだ。

記事はこう続いている。
『もう一人のケースはもっと怖い。ショッピング・センターを定期的に通過する習慣がある女性も感染した。彼女の場合、カメラの映像から運転手とすれ違った可能性はない。ただ、ショッピング・センター内を通り抜けただけで感染した可能性が高いが、いつどのような状況で感染したかは明らかになっていない。空中に漂っているウイルスを吸い込んだのか?
州保健局は、ショッピング・センター全体を「感染する恐れがあるスポット」に指定、ほかに運転手と2人の感染者が訪れた場所、日時リストを公開。症状の有無に関係なくPCR検査をして、当局の指示に従うよう呼びかけている。そして、シドニー大都市圏に6月26日から2週間のロックダウン(都市封鎖)を敷いたのだった。』
とある。

さて、そしてデルタ株に対する日本の対応は、正直言って、今までとあまり変わっていないように思う。

デルタ株は、空気感染であるなら、マスクをしようが何をしようが、その感染率は、実際にはあまり変化しないであろう。ワクチンを打っていれば、確かに新型コロナの発症はしづらくはなるが、感染しなくなるというわけではない。これは、厚生労働省もはっきり言っていることだ。

では、どうしたらいいかというと、それこそ、新型コロナウイルスが更に変異して、『弱毒化』するまで待つしかないと、私は思う。

アルベール・カミュの「ペスト」という小説が、この新型コロナウイルスが世界を席巻するようになってからすぐに取り沙汰されたが、結局、最終的にはこの「ペスト」と同じような終息しか考えられないと、私は思っている。

アルベール・カミュの「ペスト」は、そこそこの長編小説ではあるが、私は過去に三度は読んだ。私が好きな海外の小説の一つである。カミュは『不条理』を描いていると言われている。確かに、代表作『異邦人』も、『ペスト』も不条理を描いている。世の中は不条理だ。もともと、そんなものだ。

政治も不条理。オリンピックの開催も不条理。緊急事態宣言が拡大するのに、パラリンピックはやるという。不条理だ。外食も、20時までしかできないし、外ではほとんど飲酒もできない。デパ地下でも入場制限が始まるという。それでいて、支援はないに等しい。

世の中は矛盾だらけで、不条理だ。ただ、ウイルスは、平等に人に襲いかかってくれる。ウイルスに不条理はない。ただそこにあるのは、ウイルス自体の生存本能であろう。

もし、新型コロナウイルスの生存本能が、自身の生存をより望むのであれば、重症化して寄生先である人間を死に至らしめるよりも、ほぼ無毒化して人類と共生していくはずである。その時を「待つ」しか、もはや手はないのではないかと、私は考えている。

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