見出し画像

戦闘機について語りたくなる映画「トップガン マーヴェリック」

昨日、朝イチで映画「トップガン・マーヴェリック」を観てきた。
冒頭からあのよく知られた曲がかかって、80年代半ばのあの時代を思い出して懐かしい気分に浸った。
私はまだ学生だったけど、いい時代だったよなぁと振り返って思う。

前作「トップガン」公開時は、トム・クルーズは24歳。
新進気鋭の若手俳優として、絶大な人気だった。
いまや還暦近いのだが、よく若さを保っているなぁと感心する。
身体も常日頃から鍛えているんだろう。ビーチで若い連中と戯れるシーンでは、彼らと遜色ない肉体美を見せていた。

前作もそうだが、この映画は戦闘機とトム・クルーズを愛でるアイドル映画である、というのが私的な感想だ。決してシリアスな戦争ものではない。
これは決して悪い意味で言っているのではない。
監督やスタッフが観客に見せたいものが明確であって、演出や絵作り、ストーリーテリングがそうした方向性を貫いているからだ。

アニメだとマクロスシリーズがこうしたジャンルに該当するだろうし、アニメ、実写、ゲームと影響を受けた作品は数多く存在する。
また、戦闘機が果たして有人である必要があるのかという問いに関しては、戦闘妖精雪風が重要なモチーフとして物語に反映させている。

いまの若い人にとって、F-14戦闘機は馴染みのない存在かもしれない。
私自身も現役で運用してる機体を見たのは、1997年9月に小樽に寄港した米空母インディペンデンスの飛行甲板上で見たのが最後。飛んでいる姿は見た記憶はない。

F/A-18戦闘機なら、今でも厚木や岩国の米軍基地で見ることができる。
町田に住んでいた頃、よく爆音をあげて飛んでいく機体を見上げていた。


艦上戦闘機の戦術的役割は、時代とともに変化してきた。
F-14は空母打撃群を中心とした艦隊防空を担う戦闘機として開発された。

後継機となったF/A-18の運用開始は1983年だから、実はF-14とは10年くらいしか違わない。
しかし、F/A-18がアップデートを重ねてスーパーホーネットとなり、さらにアドバンスド・ホーネットとして現役続行しているのに対し、F-14は米国での運用を2006年に終了した。

F-14は要撃戦闘機として優れた性能を持ち航続距離も長かったが、マルチロール化に失敗したうえに機体も整備コストも高かった。

現在F-14を運用している国はイランのみ
1978年のイラン革命以後、米国とは国交を断絶しており険悪な関係だが、自前で調達した機材で運用を続けているのがすごい。
実戦経験も豊富で対イラク戦争では、130機を撃墜するなど米国以上にF-14を使いこなしている。

皮肉なことだが、その技術力の高さによって米国も下手に手出しできない国になった。
人工衛星を自前で打ち上げた国は、9カ国と欧州宇宙機関しかないが、イランはそのうちの1つである。

厚木基地航空祭にて


マルチロール戦闘機F/A-18は機体の9ヵ所ハードポイントがあり、7トンもの爆弾やミサイル、増槽など様々な装備を搭載可能で、艦上攻撃機A-10イントルーダーと同じ任務をこなすことができた。
さらに電子戦専用機EA-18Gグラウラーという派生機まで登場した。


1機種で多様な任務をこなせるユーティリティの高さは、運用コストの低減だけに留まらない。機体の稼働効率を高め、航空作戦そのものも自由度が高くなる。
サッカーで例えれば、フィールドプレーヤー全員が守備と攻撃に参加するトータルフットボールを実現するようなものだ。

ただし、機体を運用するパイロットは大変だ。
空戦で優位を保ち、敵機を追い払うだけの任務を考えていればいいという訳にはいかない。
戦域全体の状況を考えて、偵察、電子戦支援、CAP(戦闘空中哨戒)、SEAD(敵防空網制圧)、輸送機や対潜哨戒機等のエスコート、対艦攻撃、航空阻止攻撃、近接航空支援など必要に応じて装備を選択し、多様な任務を行うことになる。
つまり機体を使う人材を育てる方に、より手間がかかることになった。


空母に離着艦できるスキル
を持つ戦闘機パイロットは貴重な存在だ。
軍としても可能な限り失いたくはない。

大金を投じて養成したパイロットが、スティンガーミサイルのような携帯型の対空兵器で撃墜され失われたら目も当てられない。
最近の米軍は、パイロット養成コースに進んだ新人の半数が、無人機の操縦業務に付くという。
劇中でパイロットの将来性に不安を募らせるような戦術的な環境は、現実のものとして迫っているのだ。

昇進を拒み、現役のパイロットであろうとするマーヴェリックを見ていると、あのチャック・イェーガーを思い起こす。
極超音速機のテストパイロットとして前人未到の速度域に挑む様は、明らかに彼の生き方をフィーチャーしたものであろう。
また、時勢に逆らって自らの生き方を貫くという姿勢は、トム自身が主演したラストサムライを思わせる。

まぁ、マッハ10で空中分解した機体から生還するってのは、ちょっと現実離れしているけどね笑。

語り出すとキリがない。
個人的に評価したいポイントを列記したい。
・本物の戦闘機に搭乗しての撮影にこだわった
・カワサキのninja H2カーボン
・P51マスタングを自ら整備するマーヴェリック
・F/A-18によるコブラ機動
・レディー・ガガの新曲「Hold My Hand」
・ジェリー・リー・ルイスの名曲「Great Balls of Fire」
・ビーチでの男女混成ラグビー
・バル・キルマーとの再会
・グースの息子ルースターとのタッグ
・F-14 vs 第5世代戦闘機

などなど。
とにかく、海、空、夕陽、酒場、戦闘機、バイク、ヨット、ラブロマンスとこれでもかというくらい見せたいものを贅沢に詰め込んだ映画だ。

そして、エースコンバット7ともコラボして、劇中に登場した機体を操ってゲームできるという。
https://www.youtube.com/watch?v=KY5Vabh8wvI

これはすごいな。
ダークスターも登場するし。
ウマ娘とのコラボといい、製作側は日本市場をすごく大事にしてるみたいだね。
嬉しい限りだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?