⭐ステロイド外用薬の副作用
まずステロイド外用薬の副作用についておさらいしてみましょう。
以上のように言われています。
ほとんどの副作用はステロイド外用を中止することにより症状が収まると言われています(可逆性の副作用)
ただし、皮膚線条においては
不可逆性の副作用で跡となり残り続けます。
医療用のリドメックスコーワ軟膏(ミディアムランク、プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)の臨床薬理試験の副作用調査において皮膚の厚さが…
●外用2週目あたりから基剤と比べ有意に減少、6週目が最大。
●6週目に外用を終了しても、皮膚の厚さの回復には最低でも4週間以上必要。
皮膚の厚さ=皮膚のバリア機能の強さとも言えますので、ミディアムランクとはいえ独断の長期使用は注意すべきです😣
また、ステロイド外用薬(ストロングランク以上)、1日2回を…
●2週間塗り続ける
➡皮膚の菲薄化
●1ヶ月塗り続ける
➡肉眼でわかる皮膚萎縮•バリア機能低下
との報告もあります。
ところで…
皮膚の菲薄化がなにがいけないのか??🤔
毛細血管を保護する組織が脆弱になる
➡皮膚が少し圧迫されただけで毛細血管壁が
破壊されて皮下出血や紫斑を生じたり、
皮膚が少し伸展しただけで裂創などの
二次的皮膚損傷が生じやすくなります。
なぜステロイド外用薬で
バリア機能が落ちるのか?🤔
ステロイド外用(プロピオン酸クロベタゾール)を行ったマウスの皮膚においてヒアルロン酸分泌の障害と CD44 (※1)および HAS3 (※2)の発現の大幅な減少を確認したとあります。
参考
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022202X15361741
このことからヒトにおいても同様の作用により皮膚萎縮や皮膚の乾燥を起こすと考えられております。
※1 HAS3:水分保持や組織の形態維持に関わるヒアルロン酸を合成する。
※2 ヒアルロン酸とヒアルロン酸レセプター(CD44)の相互作用は、コレステロールの合成促進、表皮角化細胞の分化誘導、増殖促進に関与する。
コレステロールの合成促進を阻害されると細胞間脂質のバリア機能の低下を招きます😥
ここでヘパリン類似物質を併用することで
ステロイド外用剤単独に比べ、バリア機能の低下が有意に起きづらいと13件の研究報告分析により
わかっています。
乾燥性の湿疹(手湿疹など)でステロイド外用薬は使用する場合は、ステロイド外用薬によるバリア機能の低下を防ぐ+角層に水分を補給しバリア機能を高めることが期待できます。
(ラット試験ではありますがヘパリン類似物質には天然保湿因子産生促進+細胞間脂質脂質産生促進効果もあると報告があります。)
ヒルドイドクリームは、表皮脂質産生および分化マーカー関連タンパク質、特にフィラグリンおよびインボルクリンの表皮mRNAの発現レベルを劇的に上昇させた。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6663615
そういえば…
ステロイドといえば副腎機能抑制を思い浮かべるのではないでしょうか?ステロイド外用薬で副腎抑制を生じうる1日外用量は…
●密封外用療法ではストロングクラスの0.12%ベタメタゾン吉草酸エステル軟膏10gの外用
●単純塗布ではその20gの外用
と報告されています。(アトピー性皮膚炎診療ガイドライン 2021より)
単純塗布だと20gは市販薬のリンデロンVsの大サイズを1本使い切っても起こりえません。
その量を使わざるおえない範囲の皮膚異常の場合は受診してもらう、せざるおえないので…
ステロイド外用薬は正しく使えば良いお薬です。
自己判断で長期使用は控えましょう。
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