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新型コロナ「第3波」前後の消費はどう変わった?~JCB消費NOWの調査結果から

フィットネスクラブを中心としたリアル店舗の顧客管理、予約、決済を行うSaaSサービス「hacomono」を提供する弊社。withコロナ、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代における店舗ビジネスのネクストスタンダードをつくるという言葉を掲げて、日々チャレンジをしています。このオウンドメディアでは、hacomonoの機能やスタッフの紹介に限らず、リアル店舗に関わるニュース記事やコラムもお届けしていきます。


新型コロナウイルス「第3波」の影響を受け、2021年1月に11都道府県で再発令された緊急事態宣言は3月6日、首都圏の1都3県を対象に2週間程度の再延長が決まりました。
従来なら、3月は卒業や異動のシーズン。卒業旅行や歓送迎会、お花見など全国各地で社交や行楽の場が賑わう時期ですが、変異株の感染拡大やリバウンドを考慮すると、現在も警戒が必要です。収束がなかなか見えず、特に対面での販売・サービスを提供するリアル店舗ビジネスに従事する方たちにとっては、まだ不安定かつ困難な状況が継続しそうです。
昨年3月と異なる点として、さまざまな分野における「コロナ後」のデータ収集・分析が行われていることや、国内でも待望のワクチン接種がスタートしたことなどがあります。感染予防対策を徹底しながらも、今後のワクチン普及に期待したいところです。

コロナ禍の2020年、そして緊急事態再発令後の経済は、どのような影響を受けたのでしょうか。今回は、株式会社ジェーシービーと株式会社ナウキャストが共同で算出する消費動向指数「JCB消費NOW」が発表した2020年全体の総括と、「第3波」以降にあたる2021年1月の消費データの一部をご紹介していきます。

2020年、コロナ禍の1年の「消費」から見えた4つの特徴

はじめに、「JCB消費NOW」が1月27日に発表した2020年の消費動向を見ていきます。
折れ線グラフは「全総合」「小売総合」「サービス総合」における消費指数の前年との比較。棒グラフはコロナ新規感染者数の全国合計を示しています。

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▲「2020年の総合指数(前年比)」。新規感染者数は各期間中の日次合計値(全国)。参照元は厚生労働省のオープンデータとされています。
「小売総合」の9~10月の数値には、前年10月の消費税増税に伴う駆け込み需要や買い控えの影響などが反映されています。


国内で初めて新型コロナ感染者を確認したのは昨年の1月16日。2月3日には乗客の感染が確認されたクルーズ船が横浜港に入港、3月の春休みは全国の小中高校が臨時休校に。そして感染拡大「第1波」が影響して、4月16日には全国で緊急事態宣言が発令されました。

8月頃には「第2波」が到来、そして年末の12月28日には、感染拡大の同年夏から開始した「Go Toトラベル」キャンペーンが「第3波」を受けて全国一斉停止となり、2020年は文字通りコロナに翻弄された1年に。外出自粛や人との接触を減らすためのリモートワークなども普及して、それまでの働き方・暮らし方が一気に変わりました。

2020年の消費動向は、以下の4つの動きに特徴づけられると、同調査では記しています。

3月~5月:新型コロナウイルス感染拡大「第1波」と、それに伴う外出自粛の動きによるサービス消費の大幅な下落。
5月~6月:「第1波」で大きく落ち込んだサービス消費の大幅な回復。
8月~10月:「第2波」と天候不順による回復のもたつきを経た、サービス消費の再回復。
11月以降:「第3波」によるサービス消費の再下落

感染拡大防止策の一つでもある外出自粛を背景に、外食や交通・宿泊などのサービス消費は落ち込みが目立ちました。中でも、緊急事態宣言発令中のゴールデンウィークとなった「旅行」では、4月と5月にそれぞれ前年同期比-93.1%と-90.3%を記録。その一方、ステイホームの巣ごもり消費を支えた「EC」「コンテンツ配信(電子書籍、音楽、ゲーム、動画配信サービスなど)」は、「第1波」以降好調を継続しています。特に「コンテンツ配信」では、年齢層が低いほど伸び率が高く、12月には前年同期比+48.6%を記録しました。

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▲「旅行」「宿泊」「外食」「娯楽」の指数


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▲「EC」「コンテンツ配信」指数(前年比)

ナウキャスト創業者で技術顧問の渡辺努氏は、2020年のコロナ禍における消費状況について「カテゴリーによって濃淡がはっきりしていた」「消費の場面のいたるところで代替が起きているが、消費総額を見るとモノとサービスの支出の和は落ちている」と分析しました。

2021年1月、「第3波」宣言再発令後の経済のゆくえは?

つぎに、2月17日に発表された2021年1月の国内消費指数も見てみましょう。
1月に11都府県で再発令された緊急事態宣言に伴い、対象地域では「飲食店の営業時間短縮」「テレワークによる出勤7割減」「20時以降の外出自粛」「イベントの人数制限」などが再開。1月の総合指数をみると、消費全体を示す「全総合」と「サービス総合」では、いずれも昨年4月、5月に続き、過去1年で3番目の落ち込みとなりました。

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▲月ごとの総合指数(前年比)。新規感染者数は、各期間中の日次合計値(全国)。参照元は厚生労働省のオープンデータとされています。

昨年12月から今年1月にかけての「小売業」では、「百貨店」が前年同期比-28.3%で大幅に減少。その一方、外食自粛の影響か「スーパー」では+9.1%となり伸び幅が拡大。「コンビニエンスストア」は-12.3%で、ほぼ横ばいという結果が出ています。

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▲小売:各種商品小売業「百貨店」「スーパー」、飲食料品小売業「コンビニエンスストア」指数(前年比)

「サービス消費」では、外出自粛の影響を受ける業種は、減速傾向が継続しました。昨年末に「Go Toトラベル」が一時停止となり、年末年始の帰省も控える人が多かった「旅行」では前年同期比-69.6%、「娯楽」では-31.0%と、いずれも下げ幅が大幅に拡大しました。「宿泊」は-41.8%、そして「外食」は-47.3%、引き続き下げ幅が拡大しています。

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▲サービス:「旅行」「宿泊」「外食」「娯楽」指数(前年比)

上記グラフの「娯楽」をもう少し詳しくみてみると、12月にやや持ち直した「遊園地」は再び大きく減少。「映画館」も11月以降の減速傾向が加速しました。そして、「3密を回避できるスポーツ」としてコロナ禍で注目が集まった「ゴルフ場」は、1月に入って-7.6%となりましたが、前年と同水準を保っている月が多いのが印象的です。

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▲サービス:「娯楽」うち「遊園地」「映画館」「ゴルフ場」指数(前年比)

今回は、2021年1月の消費動向について主に紹介してきました。3月21日には緊急事態宣言の終了が予定されており、今後も状況は日々変わっていきそうです。リアル店舗事業者に伴走するhacomonoとして、このマガジンでは役に立つ情報を届けられたらと思っています。

なおJCB消費NOWは、プライバシーを保護した形で加工したJCBカードの取引データを活用してジェーシービーとナウキャストが算出した、現金を含む国内の消費全体を捉えた消費動向指数です。調査の詳細については、各プレスリリースをご参照ください。


画像出典:JCB/ナウキャスト「JCB消費NOW」
執筆:伊藤美生/編集:庄司智昭