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短編小説集

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少し不思議な。身近なSF。サイエンスとファンタジー。 短編の小説を投稿しています。そこに音声を当てたり絵を添えたり。 お楽しみください。
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小説『夢中夜』

小説『夢中夜』

夢虫夜(ゆめちゅや)
黒い海に体を覆われていると思っていた。

波にしてはサワサワと毛のような感触。

無数の蟻が体を這っていると分かった時には動けなかった。

蟻の波に口を塞がれた瞬間、ぶわっと目が覚めた。

同じ夢を七夜も超えたとき、家族が虫になった。

トノサマバッタの父は珈琲を片手に新聞を読む。ご飯を運ぶ母はミツバチで、遅れて起きてきた弟はカナブンだった。

私はまだ自分の姿がわ

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