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前田隆成(ハコボレ)のこぼれ噺
2021年4月26日 19:42
夢虫夜(ゆめちゅや)黒い海に体を覆われていると思っていた。 波にしてはサワサワと毛のような感触。無数の蟻が体を這っていると分かった時には動けなかった。 蟻の波に口を塞がれた瞬間、ぶわっと目が覚めた。 同じ夢を七夜も超えたとき、家族が虫になった。 トノサマバッタの父は珈琲を片手に新聞を読む。ご飯を運ぶ母はミツバチで、遅れて起きてきた弟はカナブンだった。 私はまだ自分の姿がわ