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現場で出会った2人の職人の「おとう」のこと

こんにちは。ガーデンプランナーのhacoです。
私には2人の「おとう(お父)」と呼ぶ人がいます。今日はその「おとう」のお話です。

2人の「おとう」

一人目の「おとう」は、いつも私が請け負ったデザインを施工してもらうときにお世話になっている植木屋さんの社長のお父さんです。
もう一人は、建築の仕事の時にお世話になっていて、我が家も建ててもらった大工の棟梁のお父さんです。

苗字で「●●さん!」と最初は呼んでいたのですが、そうすると息子さんも同じ現場にいるので、2人とも振り返ってしまいます。
息子さんたちが「父ちゃん」と呼んでいたので、なんとなく私は「おとう」と呼ぶようになりました。

現場で「おとう!」と呼ぶと、お客様が「hacoさんのお父さんですか!?」と驚かれるのですが、違いますよ。と説明するのも何だかちょっと楽しいです。

2人の「おとう」の共通点

2人の「おとう」は多分面識はないと思いますが、共通点がいくつかあります。

一つ目は、なんといっても口が悪い!
現場でもハッキリものを言いますし、息子さんたちよりも数倍口が達者で冗談もキツイ(笑)実際のところ、慣れるまでちょっと引きましたよね。
しかしね、その口の悪さには裏があって「言いすぎたかな。」って後で反省しているような様子が1ミリくらい見える繊細さも持ち合わせています。

二つ目は、いつもご機嫌!そして厳しい!
いつもだいたいご機嫌です。しかし、仕事になるととても厳しい。しかし、ちゃんと私の話も聞こうとしてくれます。息子さんとほとんど歳の変わらない私とも、きちんと向き合おうとしてくれます。

三つ目は、仕事での腕に対する信頼!
「おとう」たちが若かった頃は、職人の世界は「見て覚えろ。」が主流だったのではないかと思います。そのせいなのかは、わかりませんが、よく現場が見えています。口は悪いが仕事は細やかです。

植木屋のおとう

植木屋の「おとう」は、現役を退いた今も私の園庭の仕事には手伝いに来てくれます。今日も現場に来てくれていました。
息子社長にも、他の職人さんにも遠慮なくものを言い、よく現場を見渡し、時に厳しい目でその様子を監督して、足りないところはすかさず手を貸してくれます。

もう何件も一緒に現場をやってもらいました。「おとう」が現場の進行中に変化球なことを言うのだけれど、みんな「またはじまった。」といった具合でうまくその場が収まっていきます。息の合ったチームです(笑)
おとうには、これからも、まだ元気で頑張って現場に来て欲しいな。と思います。

大工のおとう

大工の「おとう」は、横山やすしの風貌に似た人で、いつも真っ赤な服を着て色のついたメガネをかけて現場にやってきます。
口が本当に悪いのだけれど、とても仕事熱心で、現場で気になるところがあるとすぐに動いて解決しようとしてくれます。
口の悪さは慣れてしまえば、これも「おとう」なりの愛なんだ。と受け止めることがまあまあできます(笑)

そう。そのおとうが、私の自宅が竣工した後くらいから、少しづつ体調を崩し始めました。ちょっとづつちょっとづつ、現場を息子さんに引き継ぎながら、それでも進行中の現場が気になるようで、時々顔を出してくれていました。

最近は現場を完全に引退してからも、会えば遠慮ない口が好き放題言って、それから笑顔で「またね。」と言って別れるのでした。

そんな大工の「おとう」がつい先日天国へ旅立ちました。
不思議なもので、息子さんがなぜか葬儀会社と私の携帯を間違えて、誰よりも先に私はおとうの訃報を聞くことになりまして、何だか最後まで「おとう」だな。と思ったのでした。

「おとう」に教えてもらったこと

2人のおとうは、いつも思ったことはすぐに口にします。
ディスカッションするつもりはあるのかないのかわかりませんが、それは現場ではとても良いスパイスになっています。
たまにね、「辛すぎるわ!」とか「最終的に、何味にしたいのさ!」と思うスパイスもありますが、私は、2人から現場を見る時の見る範囲や角度の多様さを教えてもらっている気がします。

結局のところ、感謝しかありません。
現場は、楽しいところです。
ものづくりの現場は、一つ一つの作業の積み重ねです。
人の手ではなく、思いが造っていくのだと、改めて教えてもらいました。

まとめー「とぜんなか」です

大工の「おとう」とは、ちゃんとありがとうを伝えて天国へのお見送りがどしてもしたくて、通夜式・告別式に行ってきました。
赤が好きだったので、祭壇のお花には赤い花が使われていてそこでも「おとう」だな。と思ったのです。

あの口の悪さをもう聞くことができないと思うと「とぜんなか」という言葉がぴったりときます。
九州地方の方言で「寂しい」という意味に近いと思います。
ただ、「寂しい」より、おとうが旅立ってしまったことは「とぜんなか」という言葉の方がしっくりくるのです。
親兄弟でもないし、友人というわけでもないし、最近は滅多に会えなかったのに、無性に「とぜんなか」よ。おとう。

植木屋の「おとう」は、とりあえず今日も元気でした。
元気で、お昼のランチでてんこ盛りの私のご飯を少し引き取ってもらって、代わりにサラダを引き取れ。というので「野菜もちゃんと食べて元気しといてよ。」というと「毎日青汁飲んどるよ。」って言っていました(笑)

うんうん、とりあえず、なんでも良いから体に気をつけて元気にしててね。

今日はどうしても2人の「おとう」のことを書いておきたくて。
今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。

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