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自分のあたりまえはほかの人にもあたりまえ?(「作りたい女と食べたい女」)

NHKドラマ「作りたい女と食べたい女」が最終回をむかえた。
いっしょに暮らすことを決め、部屋探しをはじめたけれど、「二人入居可」という条件が、家族や結婚を前提としたカップルに限定されていることが多いと知り、考え込んでしまう野本さんと春日さん。そんな矢先、SNSを介して友だちになった矢子さんにLGBTQ+にフレンドリーな不動産会社を紹介され、これからの暮らしがイメージできる部屋への引っ越しが決まり幸せをかみしめる二人。
春日さんの仕事先の女性と南雲さんは就職活動をはじめ、矢子さんは南雲さんのいい相談相手になっているみたい。みんなが明るい笑顔でスタートをきった。

親子の葛藤はあったけれど、意地悪な人、やっかいな人が登場しない、思いやりにあふれたドラマだった。重いテーマながらほんわかした雰囲気に癒された。とくに、ともさかりえ演じる矢子さんは自由で優しくて、とても好きだなぁ。

互いに信頼し合い、新たな生活をはじめる二人だけれど、現実的な見方をすれば、「大変なのはこれから」。野本さんのお母さんの「いつまでもふらふらして」という言葉が表すように、早く結婚して若いうちに子どもを産んでおいたほうがいい、なんて言ってくる人―そもそもすべての人が子どもをもちたいと思っているわけではないのに、それが「決まりごと」のように圧をかけてくる人―は意外に多い。妊娠・出産にはリミットがあるからしかたがないのかもしれないけど。
私は「一人ぐらい産んでおかないとしょうがない」と母親に言われ続けてきた。そのたびに“しょうがない”ってどういうことだろうとずっと思っていた。子どもをほしがっていない人が子どもをつくること、それは悲しい結果を生みがちだ。子どもは好きじゃないけど、そう決まっているから子どもをつくった、それが私の母だ(と私は思っている)。
そして、どうして子どもがほしくないのか、相手がすっきりと理解できるように、さらに自分も「きちんと説明できた」と思えるように説明することはとてもむずかしい。胃のあたりではわかっているのに、それをそのまま口に出せたためしがない。だから言われっぱなしみたいになってしまうのだ。

話が逸れてしまったが、部屋探しのときに「同性カップルはすぐに別れるんじゃないかという偏見を持っているオーナーさんも多い」と言われていたが、この世の中は正論、偏見に満ちている。自分のあたりまえがほかの人にとってもあたりまえだと思っている人は多い。

二人が誰かのあたりまえを押しつけられて悲しい思いをしないように。


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