作られた色たち

目の前に広げられた仕事の参考資料。
たくさんの色が所狭しと並び、自己主張をしている。

画面に映し出されている色は全て作られたもの。
それでも、綺麗だなと感じる。

自然の中で見かける様々な色たち。
透き通った海を上から眺めた時に見える青。
水平線を境に澄み切った空気が作る空の青、そこに浮かぶ雲の白。
草原に広がり足元に生い茂る植物の緑。
秋になると山を染める黄色、オレンジ、赤。
春になると咲き誇る桜の薄紅色。
などなど。

日常生活において室内で目にする色のほとんどは作られた色で、観葉植物でも置いていない限りは100%に近い値で目に入る色は人工的。

今これを書いている空間をザッと見渡してみたけれど自然が作る色は何もない。
この状態が当たり前になっていたから特に考えたことはなかったけど、そこに不自然さはなく、さも当然といったように溶け込んでいるのは案外凄いことかもしれない。

よくもまあここまでたくさんの色を人が作れたな、というある種の感動のようなものがこみ上げて来た。

でも、何かしら心が物足りなさを感じたり微かな違和感を覚えているから、海や山、森林、花畑などに行き、自然の色を取り入れて自分の中にある色彩バランスを取りたくなるのかな。

台風が来る前に仕事を終わらせたいと思いつつ、そんなことを考え、あまり理解されないであろう感動を覚えているうちに、午前という名前の時間たちが散り散りになっていく。

それでもこうして残しておかずにはいられなかった。

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