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発言しない意見交換 熊谷千葉市長も採用した相互的なオンラインコミュニケーション手法

皆様、あけましておめでとうございます
株式会社HackCampカルチャーリードの菊井です。
本年も弊社はイノベーションの民主化を目指して精進してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

このお正月、菊井はある市民活動に参加しておりました。
それは、熊谷千葉市長と東葛地域の市民との勉強会のお手伝いです。
今日は、熊谷市長が市民との対話に活用できる大きな可能性を見出したオンラインコミュニケーションの手法をご紹介したいと思います。

実施の背景

ちょっと前まで、私も熊谷市長による革新的な千葉市政はネットで動向をチェックしておりました。昨年末に、東葛地域で地域の市議会議員のみなさんが開催された熊谷さんと市民との勉強会に参加できる機会があり、二人の息子を連れて「あの熊谷さんとお話ができるんだ〜」と意気揚々とでかけていきました。

熊谷さんは来られた市民の一人ひとりとゆっくりご挨拶をされ、時間いっぱい市民からの質問やご意見を聞き、ご自身の意見を話されていました。現場の方とこれまで大量の対話を意識的に重ねている熊谷さんのお話は、とてもわかり易く勉強になりました。

でも、私の気持ちは、なんかもや〜もや〜、、、。
なんでだろう。期待していた感じじゃなかった。
熊谷さんとなら、千葉にイノベーションを起こすような話ができると当たり前に期待して参加したのがそもそも期待過剰だったのですがw 
けど、よく、タウンミーティングなどに言うべきことがあって言いに行った後に感じる気分に似ている。
自分の考えが本当に理解してもらえたかもいまいちわからない、それが熊谷さんの考えと合致したかどうかもいまいちわからない、なんとなく、こちらから政治や社会への不満を言って、はいはい、と聞いてもらったような気分。そういうことじゃなかったのに。一緒に考えたかったのに。
それから、他の市民の方々の自分とはあまり関連性の無い話を聞く時間がほとんどで、ためにはなるけど、正直ほぼ待ち時間、っていう感じ。どのタイミングで自分が発言したらよいかばかり考えていました。

そのもやもやをそのまま、勉強会に誘ってくれた近藤みほ流山市議会議員に伝えたところ、どこが?と聞かれたので、
「コミュニケーションできてない感、共感できない感、アイデアが混じり合わない感」と伝えると、「どうすればいいんだろうね」という話に。
限られた時間の中で意見交換するならフレームワークが必要だと思い、オンラインで市民の側は発言はせず文字で伝える形式、それもslidoやチャットのように流れて行かず、可視化しやすく後に残るオンラインホワイトボードMuralの活用を近藤さんを通して提案してみました。

Muralについては、このnoteでも度々紹介しておりますので、みなさんご存知ですよね。事例はこちらからどうぞhttps://note.com/hackcamp_kikui/n/na9965c9437c7

さすがは熊谷市長、この提案を速攻で快諾してくれ、この正月に2件のオンラインミーティングを設計して実施しました。
熊谷さんの事務所でも、この効果を実感し、muralの活用を開始されることになったそうです。
素早い意思決定のため準備期間は非常に短くかなりばたばたとしましたが、2回とも、控えめにいっても大成功。熊谷さんも自分のやりたいことに近い、と評価してくれましたし、参加者のみなさんからもポジティブなフィードバックをたくさんいただきました。

オンライン勉強会① 「千葉の未来を考える」

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司会進行:近藤議員
登壇者:熊谷市長
対象:東葛地域の幅広い市民 25名程度
実施時間:1時間(+参加者準備時間15分)
使用したツール:ZOOM、mural

とはいえ、数日後の実施なので、参加者の属性とテーマを調整している余裕はありませんでした。
汎用的な「千葉の未来」をテーマに、希望者がだれでも意見が出しやすく、議論が拡散しすぎず、ポジティブな対話につながりやすい「千葉県の強み」「これからの教育」「感じている行政の無駄」の3つトピックを設定しました。

<事前準備>
自己紹介とトピックへのコメントを書き込めるmuralを用意。
muralの練習をしてもらうためのご案内を参加希望者に送り、できる方には自分でアクセスしてmural上に用意した練習場で練習をしてもらいました。
また、トピックに関する意見や質問を事前に書いてもらいました。
直前にも練習時間を設定し、開始まで15分間、菊井がご案内しながらmuralに触ってもらい、自己紹介の入力をお願いしました。

<実施>
当日は熊谷さんがお子さんの寝かしつけが終わっているであろう21:30スタート。
自己紹介は長くなりがちなため、Mural上に記入してもらった参加者自己紹介を進行の近藤議員が読み上げました。
熊谷さんから政策についてインプットセミナーがあった後、付箋をみながら近藤議員がピックアップして熊谷さんにご意見を伺っていきました。

話の内容に反応してコメントは追加され、それに対しても熊谷さんから意見を話すという具合に、付箋を通して意見交換が続きました。

サポートをしながら、「これこれこれ、これがやりたかったことだ!」と心の中でガッツポーズしていました。浜松市のケースでも体感していましたが、オンラインワークは社会課題解決や市民活動にものすごくフィットする。多様な参加者がいて、文脈が揃っていない状況ではディスカッションでお互いを理解しあうには大量の時間がかかってしまう。開いている限られたウインドウの中で意見を交換するには、発言を最小限にしたフレームワークがすごく有効なのです。(ディスカッションが無駄という意味ではないですよ)

SlidoやTwitterのハッシュタグもよいのですが、どんどん流れていってしまい、ぱっと認識できるという意味では、ホワイトボードが理解しやすく反応しやすい。ライブ向きです。

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<実際のmuralの一部>

当日の雰囲気はこちらの動画からご覧いただけます。(政策などのディスカッションの内容がわかる動画ではありません。)
https://www.youtube.com/watch?v=EoudOns05uA&fbclid=IwAR30AKGcBFtFPgmaiCAvds9kN3G0jXfUY8j14nVlfLKG6O6-XEZLjfIaxp4

実際にはMuralに参加できなかった方もあり、そこのハードルはたしかに認識しないといけないですが、操作自体は簡単で、慣れれば多くの人が参加できるmuralに大きな可能性を感じた夜となりました。
熊谷さんからもとても良いので今後展開したい、とフィードバックをいただき、第二回以降の企画をねることになりました。

オンライン勉強会② 「熊谷さんに高校生が聞いてみる」

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司会進行:近藤議員
登壇者:熊谷市長、地元高校生のAさん
視聴参加者:東葛地域の幅広い市民 25名程度(高校生や大学生の参加者もいました)
実施時間:1時間(+参加者準備時間15分)
使用したツール:ZOOM、mural

2回目は、私と一緒にリアル勉強会に参加した高校生女子の発案で、高校生が熊谷市長に素朴な疑問を連投する会を実施。

発案者のAさんは、前回のオンライン勉強会への参加を友だちに声がけしてみたけど、みんな政治にまったく関心がない、自分もリアル勉強会に参加するまではそれほど関心がなかった、みんなに関心を持ってもらうには、、という考えでこの回を発案されたそうです。
大人の私にも、とっても身近なこの、政治の話をすると宗教みたいな扱いを受ける事案、心の底から共感しまして、お友達にも響く内容に、ということで、近藤議員と発案者と一緒にオンライン勉強会の建て付けを相談しました。

<事前準備>
高校生からの質問と参加者からの質問は事前に集めておき、やり取りを聞きながら参加者が感想をmuralでコメントしていくことになり、muralを用意して、参加者には前回同様事前の準備をご案内しました。
Aさんを含めて何度か打ち合わせを行い、質問の質や背景を確認して、リハーサルを行いました。

<実施>
当日は、近藤議員が司会進行・モデレーターとなり、みなさんからの質問を熊谷さんにぶつけ、Aさんも自分で素朴な疑問をなげかけ、熊谷さんからの回答を聞きながら視聴参加者はmuralにコメントを貼り付けました。muralのコメントをみながらさらにトークは盛り上がりました。

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高校生からの率直な質問は行政のリーダーである熊谷さんをより身近にかんじさせてくれるもので、視聴した大人たちにとってもたくさんの発見があったと思います。

高校生や若者の参加者からは、市長と直接こういう機会がもてたことにとても感動して、政治がぐっと身近になったと、熱のこもったコメントをいただきました。Aさん自身にとっても、素晴らしい経験になったようです!

熊谷さんがご自身のFacebookで当日の様子を紹介されています。
https://www.facebook.com/toshihito.kumagai/posts/3707516165984531

今後の開催と展開

引続き来週も、より高度なオンラインワークを計画しています。他の議員さん、他の地域でも同様の勉強会を開催されたいだろうと思いますので、今回のノウハウは整理して公開する予定です。
また、熊谷氏の事務所でも独自にMuralを契約されて活用されていかれるということで、今後の千葉の行政についてワクワクがとまりません!

また、このnoteでオンラインワークの運営方法についてみなさんにもしっていただけるように発信していこうと思います。

みんなのアイデアを交換して、より住みよい社会をめざしたいですね!

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