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世界の里山④ ウェールズ、オグウェン谷

イギリスで一番好きな山域は?と聞かれたら、北ウェールズのスノードニアと答えるでしょう。そもそも山の少ないイギリスですが、スコットランドや湖水地方まで行かなくても、なかなかの山感を味あえる、貴重なエリアです。最高峰のスノードンでも、標高僅か1050m位で、それほど高い山があるわけではないんですが、荒涼とした牧草地と所々にそそり立つ岩峰の組み合わせが、迫力のある景色を演出しているのです。

場所はちょうどこの辺り。ロンドンからなら車で4〜5時間のようです。

今回は、スノードニアの中でも、オグウェン谷というエリアを紹介したいと思います。

氷河で削られたきれなU字の谷ですが、それほど切り立った崖があるわけでもなく、どことなく長閑な風景が広がっています。谷の中央部にはLlyn Ogwen (Googleマップだとスリンオグウェンと書かれてますが、ウェールズの発音のは全く自信がないので、とりあえずスリンオグウェンで行きます)という湖があります。

今回のルートはスリンイドワルという小さな湖の横を通り、クームイドワルというなだらかな岩壁をクライミングで登り、その後グラデルバウルという山の頂上を目指すルートです。で、帰りにも少し寄り道して、簡単なクラミングをして帰るという行程になります。トレイルのログは取っていないので、大雑把なルートの概要は以下のようになります。

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この日は前日にスノードニアに入り、朝早くからの行動開始でした。スリンイドワルの畔に着くと、何やら賑やかです。どうやら、前夜からトレイルランニングのレースが行われていたようで、そのチェックポイントが設置されていたようです。この後、数人のランナーともトレイル上ですれ違いました。元気があってよろしい!

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天気も良く、風もないので、スリンイドワルの湖面に周囲の山並みが映り込んで、とても綺麗でした。ここで、もうお気づきかもしれませんが、イギリスで樹林帯を見ることは非常に稀です。大体、どの山も大部分が牧草地として開拓され尽くされているので、岩と牧草、で、所々に沼、みたいな荒涼とした風景が広がっています。言い換えれば、人の手が入り尽くされた里山なんですが、木々生い茂る里山の風景に慣れた日本人からすると、とてもワイルドな印象になります。

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湖を過ぎるとクームイドワルという岩壁に到着します。ここで、クライミング用品を身につけ、岩を登り始めます。この日は前日に少し雨が降ったので、岩の所々が濡れていました。絶好のコンディションとは言えませんが、イギリス人に言わせれば十分十分だそうです。

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クームイドワルを登り切ったら、少し歩き、次の岩壁に向かいます。グレースラブという名前の岩壁で、下の写真の左側に写っている綺麗な一枚岩です。

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グレースラブを登りきったら、そこから稜線を目指して歩きます。後ろにはオグウェン谷の盟主トリファンがよく見えます。稜線には写真に少し写っているような鋭利な岩が沢山ある生えています。

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グラデルバウルの頂上は広い大地になっています。少し格好をつけて記念撮影。後ろに怪しげな雨雲が出てますね。

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グラデルバウルの頂上には”奇岩”というほどでもありませんが、なかなか面白い形の岩がゴロゴロしています。スパっと割れた岩が多いんですが、これらは冬の間、岩の隙間に入った水分が凍って、体積が増した結果、岩を押し割るようです。自然の力を感じます。

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グラデルバウルの頂上からは、トリファンに向かって急峻な下山道を下っていきます。トリファンに繋がる鞍部に着いたら、左に折れ、今度はグラデルバウルの衝立岩の下へ向かいます。ここで、少しクライミング。

とまぁ、こんな感じで、登山とクライミングを混ぜた、ちょっとした冒険ができます。くどくなりますが、低山ながら迫力のある山を楽しめるスノードニア。その中でもおすすめなオグウェン谷でした。

最後に、オグウェン谷からは少し離れますが、ランべリス峠のキャンプ場の写真です。

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