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世界の里山① スペイン、ガンボア山

山登りが好きです。このところ、国外の山を歩く機会が増えました。ただ、「海外登山」と言うと、ヒマラヤやアルプスのように、大袈裟な登山を想像されるかもしれませんが、私がやってる登山は専ら、旅のついでに行う日帰り登山です。登る山も、聞いたこともないマイナーな山がほとんどです。それでも、いざ登ってみると、地元の群馬百名山にも引けを取らない、なかなかイイ山がそこかしこにあります。そんな、世界の小さな里山を少し紹介していきたいと思います。「そんなとこ、まず行くことないでしょー」と思いながら読んでいただけたら幸いです。タイトルはあえて、「里山」にしてみました。「里山」の定義はウィキペディアによると「人里に隣接した結果、人間の影響を受けた生態系が存在する山をいう。」だそうです。

ただ、ここでは、生態系とか難しいことは抜きにして、「人の手がよく入っている山」や「人の生活と密接に繋がっている山」ぐらいの理解でいきたいと思います。

前置きはこれくらいにして、本題に。

今回は、スペイン、バスク地方、ギプスコア県にあるガンボア山です。

地図上の位置はこの辺です。

ギプスコア県で有名なのは、美食の街サン・セバスティアンでしょうか。ガンボア山の登山口はアメスケタという村にあります。車で行くなら、サンセバスティアンから40分くらいでしょうか。途中、豆料理で有名なトロサを通ります。

私がガンボア山を登ったのは師走の寒い時期でした。登山当日、アメスケタには朝の8時ごろ着きました。早い時刻だったので、村のバーに入りコーヒーを一杯。村はまだ朝霞に包まれていて、寒さが骨身に染みたのを覚えてます。

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村から出て、しばらく歩くと、登山道は切り立った崖に挟まれた渓谷へと入っていきます。適度の傾斜のついた登山道なので、息が上がったり、汗ばむこともなく、快適に高度を稼いでいきます。

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ここで、ふと、上に目をやると、高いところに張られたワイヤーがあり、ところどころに錆びついだバケツがぶら下がっています。

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実は、その昔、この渓谷には銅山があり、ワイヤーとバケツは鉱物を運搬するために使われたものだそうです。下の写真の前方に見える四角い建物が坑道の入り口です。銅山は第二次世界大戦中にスペインとドイツの共同出資で開かれ、銅はドイツに供給されていたようです。

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鉱山跡を過ぎたあたりから、谷は大きく開けていきます。さらに先に進むと、牧童小屋が数件あります。まぁ、「古屋」というにはすこし贅沢すぎますかね。

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さらに谷を登っていくと、右手側にガンボア山の山頂が見えて来ます。この辺から、登山道も曖昧になるので、牧草地を歩きます。スペインだけでなく、牧畜が盛んな国では、多くの山々が牧草地化されているので、木々はありません。ただ、再緑化のとりくみも所々行われているようで、下の写真の反対側の斜面には、柵で囲まれ、低木が植えられている箇所がありました。

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ガンボア山の頂上につきました。眺望は文句ありません。ギプスコアの山並みがよく見えます。そう遠くないところにビスカヤ湾も見えたような気がします。頂上には小さな山小屋のミニチュアがおいてありました。

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ガンボア山の頂上から、少し降り、次はチキガンボ山へ登ります(チキガンボは小ガンボという意味らしいです)。チキガンボ山から、後方に鎮座するガンボア山がよく見えます。

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チキガンボ山からは広大な牧草地を降っていきます。馬が放牧されていました。バスク地方にはちょっとズングリした地方種の馬がいるそうですか、それかな。

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牧草地の先に見事な岩壁を持つチンドキ山が見えます。チンドキ山。日本人の語感からすると、ちょっと笑ってしまう名前です(いま、漢字変換で最初に出たのが「珍土器山」でした)。チンドキ山はガンボア山に比べると、遥かに人気のある山で、チンドキ山の登山道と合流した途端、夥しい数のハイカーとすれ違うようになりました。今回は、チンドキ山登頂はパスしましたが、次回があれば是非登ってみたいと思います。岩壁部分にロッククライミングのルートもいくつかかるようなので、クライミングで登頂するのも気持ちいいかもしれません。

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チンドキ山の登山道と合流してからは一気にアメスケタまで降ります。

以上、ガンボア山でした。スペイン人はおろか、おそらくバスク人でも知る人は少ない山ですが、渓谷、牧草地、史跡、良い眺めといいところがたくさんある良低山でした。⭐️⭐️⭐️です。最後に、下山道からみたチンドキ山をどうそ。

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アクセス情報

車はアメスケタのバーの裏の駐車場に停めました。

歩ったルートは以下で見れます。チンドキ山の登山口とガンボア山の登山口が少し離れているので、最後にすこし歩かなければなりませんでした。最後の1kmくらいを、車道を避けて歩いていたら、猛犬のいる農家の庭先を歩く羽目になり、怖い思いをしたので、車道を歩くのをお勧めします。


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