見出し画像

世界の里山③ スペイン、アヤコ・アリア

年始年末、スペインののバスク地方に来ているので、バスク地方の里山をいくつか紹介したいと思います。シリーズ3回目で、すでにバスク地方2回目なので、「バスク地方ばっかじゃねーか?」というツッコミもあるかもしれませんが、なかなかの里山天国なので、しばらくお付き合い下さい。

山登りが好きな方なら、1つくらいは、「心の山」と言えるような、お気に入りの山があるかと思います。私の場合はやっぱり地元、群馬の榛名山でしょうか。上毛三山の中でも、赤城山や浅間山に比べて地味な印象ですが、なかなか奥の深い山域だと思います。まぁ、言うほどエリアについて詳しいわけではないんですか、初めて行った登山が榛名の相馬岳だったり、初めていったクライミングエリアが榛名の黒岩だったりと、いろいろ思い出深い山なのです。

そんなわけで、今回はバスク人、特にギプスコア県民、さらに細かくいうとサン・セバスティアン周辺にすむ人の心の山、アヤコ・アリアを紹介します。

アヤコ・アリアというのはバスク語の名前で、スペイン語ではペニャス・デ・アヤといいます。サン・セバスティアンの南東に位置し、車で30分くらいです。

ペニャというのは「岩峰」とでも訳すんでしょうか。アヤコ・アリアもいくつかの特徴的な岩峰から構成されています。標高は800mくらいですが、ワイルドな岩峰群と海抜ゼロメートルからそそりたつその様から、なかなか迫力があります。

アヤコ・アリアがあるスペイン・フランス国境周辺はちょうどピレネー山脈の東端にあたります。フランスからスペインへ陸路で移動すると、国境が近づくにつれ、美しい山並みが目に飛び込んできます。今回の旅では、バスク人の同行者と車でフランスを縦断したのですが、アヤコ・アリアが視界に入ってきたときの同行者のテンションの上がり様はまさに「心の山」と言えるものでした。

画像1

フランスの高速道路からみえるアヤコ・アリア(写真中央に見える山です)

さて登山ですが、非常に人気のある山なので、登山道はたくさんあります。本気で登りたい人は麓の街イルンから歩き始めることもできます。今回は一番簡単な登山道から登ったので、かなり上まで車で上がります。駐車場はここ。

駐車場横の登山口から登り始めます。最初はなだらかな傾斜の樹林帯を登っていきます。

画像2

途中、大きな穴の横を通ります。この穴は昔、氷の貯蔵庫として使われていたそうです。冬の間に雪を溜めておいて、夏の間、そこから氷を少しづつ切り出しては、街におろして売っていたそうです。

画像3

さらに登っていくと、内戦時代に使われていたバンカー(掩蔽壕)があります。スペインの内戦やバスク地方の歴史は勉強中なので、あまり詳しい事は知りませんが、アヤコ・アリアにはこうした軍事遺跡が結構あります。

画像4

バンカーを過ぎ、しばらく登ると、樹林帯から出ます。ここからは、葛折りの登山道をひたすら登ります。振り返るとイルン、オンダリビア、アンダイエがよく見えます。

画像5

葛折りがおわるとアヤコ・アリアの稜線にでます。稜線からはサン・セバスティアンもよく見えます。

画像6

アヤコ・アリアはイルムガリエタ、チュルムル、エロイルビデという3つの主なピークで構成されています。今回はイルムガリエタとチュルムルの頂上を目指します。下の写真の左側がイルムガリエタ、右側がチュルムルです。写真からもわかるようにピークの下は切り立った崖になっています。写真には写っていませんが、チュルムルの下には大きな岩壁があり、クライミングのルートもあります。

画像7

一般登山道は稜線の裏側の斜面をトラバースするので、問題ありませんが、チュルムルへ登る登山道の最後にはすこし岩場も出てきます。下の写真はイルムガリエタとチュルムルの間のコルから眺めたギプスコアの山並みです。

画像8

チュルムルを登った後はきた道を帰ります。ルートのログはとりませんでしたが、往復2時間くらいだったと思います。小さな山ですが、アクセスよし、眺めよし、歴史もあったりで、⭐️⭐️⭐️の里山です。小粒だけど、奥が深い。ということで、私の心の山、群馬の榛名山のようで非常に親しみが湧きました。

画像9


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?