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五月七日、今日の一句

▼ 五月七日 たけのこ 

藪近したるきの下より筍が               

                     明治三〇年(一八九七)
 
 筍がまさに旬の季節となりました。椽とは、屋根板などを支えて棟から軒に渡す木のことです。すぐ隣に竹藪があるのでしょう、気がついてみるとその椽の下にも筍が生えはじめています。そのちょっとした驚きとともに、初夏のすがすがしい空気までも伝わってきます。
 
 この年の前年には

 月斜め 筍竹に ならんとす

とも詠んでいます。夜中にス~と伸びる筍を描いていますが、上五「月斜め」がその光景を浮かび上がらせています。師の視点は、掲出句の陽光での静の世界から、月光での動の世界に移ります。このコントラストも面白い。

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