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乳と蜜の流れる食卓③ はちみつに合うヨーグルト探し

3大メーカーの商品を比較

朝食に食べるヨーグルト&はちみつ。以前、はちみつの食べ比べに使ったのは小岩井プレーンヨーグルトだが、市販されているヨーグルトはプレーンだけで20種類以上。大手乳業が販売する3つのプレーンヨーグルトを手に取ると、パッケージに書かれている文言だけでもかなり違う。
 明治ブルガリアヨーグルト LB81 「ヨーグルトの正統」
 森永ビヒダス ビフィズス菌BB536 「大腸サポート」
 雪印メグミルクナチュレ恵 ガセリ菌&ビフィズス菌 
                「2つの菌を、毎日のお腹に」

キャッチコピーはいろいろあろうが、何より使っている菌の種類が全然違う。この違いってなんだろう! そこで、今月発行されたばかりの「乳酸菌の疑問50」(みんなが知りたいシリーズ14 日本乳酸菌学会編 成山堂書店)をもとにヨーグルトについての基本を学んでみた。

そもそもヨーグルトとは、国連で定める国際規格(CODEX)では「ブルガリア菌(ラクトバチルス・デルブルッキイ・ブルガリカス)、サーモフィラス菌(ストレプトコッカス・サーモフィラス)両乳酸菌の乳酸発酵作用により、乳および脱脂粉乳等の乳製品から作られるもので、最終製品中には両菌が多量に生存しているもの」と定義されている。
500種類以上あると言われる乳酸菌の中からこの2つの菌が認められているのは、両菌が互いに作用しあって短時間で牛乳中の乳糖を乳酸に変えることができるからだそう。
ただ、国によって定義が違い、日本では厚生労働省の乳等省令で、ヨーグルト(発酵乳)は、「乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、糊状又は液状にしたもの又はこれらを凍結したものをいう」とされて、乳酸菌以外による発酵も含んでいる。

明治ブルガリアヨーグルトは国際規格と同じ、伝統的に使われてきたブルガリア菌とサーモフィラス菌の混合で発酵させたヨーグルトだ。LB18のLBとはラクトバチルスアシッドバクテリア(乳酸菌)の略。1971年発売でブルガリア政府の許可を得た名称も冠し、「ヨーグルトの正統」というキャッチコピーもうなずける。

森永ビヒダス
は明治と同じ年にビフィズス菌の発酵によるヨーグルトを発売。ビフィズス菌は乳酸菌の仲間ではない。乳酸菌が乳糖を発酵させて乳酸を作るのとは違い、発酵時に乳酸の他に酢酸を発生させ、嫌気性であるため動物の腸内で生存し悪玉菌の発生を抑える。なるほど「大腸サポート」だ。

雪印メグミルクナチュレ恵はわりと新しめのヨーグルト。雪印はプレーンヨーグルトを1972年から発売し、ビフィズス菌とサーモフィラス菌の混合の商品を出したりした。その後2006年、乳酸菌の一種、ラクトバチルス・ガセリ菌とビフィズス菌の2種類の菌によるヨーグルトを「ナチュレ恵」の名前で出した。

知らなかった!ビフィズス菌は別の生き物

「乳酸菌の疑問50」を読んで初めて知ったのは、ビフィズス菌は乳酸菌ではないということ。しかも分類学的には、まったく違う生物だということだ。

「分類階層の上位で乳酸菌がFirmicutes門に含まれるのに対し、ビフィズス菌はActinobacteria門に含まれます。門レベルの違いは、真核生物においては、人がクラゲや昆虫と分岐するところで、一概には比較できませんが、そのくらい違う生き物なのです。」 

「乳酸菌の疑問50」”乳酸菌とビフィズス菌との違いは?”(松下晃子)より

まったく違う生き物が牛乳をこんなによく似た状態に変えているなんて。つくづく自然界の懐の深さを思い知る。

後味と硬さに違いあり

小むづかしい話はもういい。とにかく味だ、味の違いはどうなんだ。
はちみつを垂らすに足るおいしいプレーンヨーグルトはどこにあるんだ?
今回選んだの明治・森永・雪印という日本を代表する乳業企業のプレーンヨーグルト。その特徴はこんな感じだ。

 明治ブルガリアヨーグルト・・・強い酸味。さっぱりした後味。硬め
 森永ビヒダス・・・強い酸味。まったり乳の風味の後味。
 雪印メグミルクナチュレ恵・・・強い酸味。さっぱりした後味。軟かめ。

私の結論は・・・
 ●ブルガリアヨーグルトとは酸味の具合がよく似ているが、ブルガリアのほうが硬いので、立体的に盛り付けることが可能だ。
 ●チーズっぽい風味を感じたいならビヒタスがベスト。
 ●立体的に上からたっぷり垂らして食べたいのなら、ブルガリアヨーグルトがいい。
(前回試した小岩井プレーンヨーグルトは、ソフトタイプヨーグルトに分類され攪拌してマイルドな舌触りになっているが、マイルドすぎると甘いはちみつのよさが際立たない。)

他にもいろんなブランドのプレーンヨーグルトがあるので、順次試してベストマッチングを探していきたい。




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