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SOUとUTU (躁と鬱)

ゴールテープ目前で倒れた感覚

稲刈りが済んで、わが家のハザ掛けした稲の脱穀も終わった10月の下旬の日曜日、ボクの中の緊張の糸がプツッと切れた感覚があった。

「あぁ…… あと一息のところで間に合わなかったぁ」
そんな心の声の叫びが頭に鳴り響いた。

妻のにこやかな冗談の一言が、ボクは何故だか堪らなく許せない気持ちになり、怒りの感情が湧き上がり、庭の小さな石灯籠を蹴飛ばした。

知人とプライベートで梅雨前から取り組んでいたイベントが終わり、残すは精算をする段階のみ。関係する支払や最低限の義理は果たすことができた。しかし、支援をしてくださった方への会計報告が、どうにも億劫だ。

そうこうするうちにサラリーマンとしての仕事に忙殺される。1日に仕事を1案件処理するのが精一杯。帰宅すると何の気力も起きず寝てしまう。酷い時には、夕飯すら食べずに布団に潜り込む。朝は通勤ギリギリの5分前まで布団を出れない生活が数ヶ月続いている。

Youtubeを見て気がついた。

たぶん、本気で取り組めば、3時間もかからずに処理できるのだろうが、悶々とした状態で数ヶ月の時間だけが過ぎている。気がつくと、雪に覆われる季節がやってきて、クリスマスも過ぎていた。年の瀬も押し迫ったそんな休日の午後に、布団を被りながらYouTubeの番組をダラダラ観ていると、岡田斗司夫さんという方のチャンネルのサムネイルが何か引っかかった。

映像素材はもう何年も前の岡田さんがスリムな時期のものであったが、そこにいる彼の姿は、少し違和感を感じる生気を感じさせない様子だった。

「僕は今、ウツの時期にいるですよ。」
ホワイトボードに、” ウツです・・・ ” という文字が書かれた。この映像の中で、彼の一言が印象的だった。
「僕のウツは、体調なんです。汗が止まらなくなったりする」

『そうなんだぁ。体調なんだ、彼にとってのウツ状態って…….!!』
と何だか、ボクの頭に閃きの様な理解が浮かんだ。そして彼のこんな彼自身の解説がユニークだと感じた。

「ソウとウツの時期があるけど、ソウの時期ってハッピーでウキウキな時期という訳ではないんだよね。ソウっていうのはね、やたら攻撃的になっちゃうんだよね」この一言にも、ボクは何かピンとくるものを感じた。何だか自分に思い当たる点が近い過去から子ども時代にまで振り返ると、何遍もそうした状態で失敗を繰り返した場面を思い出した。

やってしまう失敗。やらないという失敗

「ソウの時期には、やってはいけないことをしてしまいヤラかす失敗をしがち。
 ウツの時期には、やるべきことをやらずに逃げてしまうことで失敗につながる」
こんなことを岡田斗司夫さんは、映像の中で語っており、ボクにはとても得心できた気がした。

冒頭に書いた
「あぁ…… あと一息のところで間に合わなかったぁ」
このボクの心の声は、やるべきことをやらずに逃げてしまうことを予知していたんだと思う。

そして今、この瞬間も小一時間もかけて深夜にこんな文章を綴っているのにも関わらず、最優先と思うことに手がつかない。ソウなのかウツなのか分からない状態なのだけれど、ただ目の前の書斎の机上には、空白を埋める書類がもう何週間も白紙のままでいる。

答えは見えないけれど…

そういえば、仕事も家庭でも個人的なことでも色々と課題は姿を変えずに居続けている状態なのだけれど、どうにもしようがない心持ちの中で、どうにもならない諦めの気持ちを、ただただ、漂っている時期も終わりが近づいている予兆は感じている。

まるでウミガメが流されるように目の前のクラゲを飲み込みながら、積極的に水をかき分けて泳ぐ訳でもなく、ひたすら漂い続けていたら、目の前に島が現れてきて、わざわざ避けるのすらメンドウでしかなく、仕方がなく島の砂浜にたどり着いた様な感覚。

さてさて、憂鬱な日々と戯れる日々にも、ようやく飽きが訪れようとしているようだ。

(続くかも)

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