保湿剤(市販品を選ぶ時に)
前回の保湿剤、知っておいたほうがいい知識では、
角質の構造、バリア機能について、バリア機能を測るものについて
お話させていただきました。
バリア機能を測るもの
角質水分量(ある程度多い方が水分が保持されていい状態)
経皮水分蒸散量(蒸散量が少ない方が、
水分が出て行きにくいので、いい状態)
のそれぞれが適切な量であるのが、
みずみずしい皮膚ということになります。
処方薬の保湿効果の比較
処方のヒルドイド®系の保湿剤はクリームが
一番保湿効果強く、次にローション、
その次にフォームと説明いたしました。
しかし、市販のものはたくさんの保湿製品があり、
メーカーもかなり切磋琢磨して考えられています。
必ずしもべたつきのある軟膏やクリームのほうが
ローションより保湿効果が高いというわけではなくなっています。
市販薬においては、ベタつく≠優れた保湿剤
今回の記事を作るのに参考にした文献です。
こちらのデータでは、グラフ一番上のローションが
一番角質水分量を上げて、
一番下の軟膏が一番角質水分量は低かったと示しています。
最近の技術の発展から、
主要な成分と他の保湿成分を組み合わせて、
粘稠度も調節できるため、ベタつきを少なく、
保湿効果を高めることも可能になっています。
ただこの文献中のデータには角質水分量しか
記載がないので、経皮蒸散水分量を同じ製品で
比べたら、どれがいいかは書かれていませんでした。
この文献の中でも、下記のように書かれています。
患者の保湿ニーズに応えるために、
製品に適切な保湿剤の組み合わせと
その効果を確認する必要があります。
患者の二次的な皮膚の悩みに対処するための
機能性成分を考慮する必要があり、
患者の肌に合わない特定の成分や、
香料など過去に問題や反応を引き起こした
特定の成分は避けるべきです。
また、製品を毎日使用することが
有効性を発揮する重要な要素であるため、
消費者は個人の感覚の好みと価格の許容範囲を満たす製品を選択し、製品を日常生活に簡単に組み込むことができるようにする必要があります。
つまり以前かぶれたことがあるならば、
その成分を避けて選ぶこと。
お子さんならば塗り続けられる、あるいは、
塗り続けさせてもらえる
ベタつきが少ないが、適切に保湿できるもの。
さらに毎日続けやすい使いやすいもの。(ポンプで出るなど)
価格も続けやすいもの。
を選ぶ必要があるということになります。
やはり前回書いたように
成分を見て使う人に合ったものを選ぶ
というのがいいように思います。
保湿の有効成分は?
水を吸着せずに、水を皮膚に密封させる成分として、
代表的なものはワセリンです。
油の膜で閉鎖して、水分を逃さないようにしてくれます。
ただラップのような役割で元々角質の水分量が少ない肌に
塗ると、カサカサは一旦見えなくなると思いますが、
しっとりした肌になるという感じではないと思う方も
多いのではないかと思います。
水分を吸着してくれる、保湿の有効成分として、
最も一般的な成分はグリセリンです。
構造式に水と馴染みやすい部分を持つため、水分を吸着し、
皮膚に保湿効果をもたらせてくれます。
またジメチコンという成分もよく使われます。
製剤の使い心地をよくし、肌もなめらかに整えてくれる
成分です。
その他の成分として、
皮膚の重要な脂肪酸源である脂肪族アルコール
およびトリグリセリドが挙げられます。
角質細胞間脂質の成分である脂肪酸ですね。
保湿の有効成分を見ると、角質細胞間脂質や、
天然保湿因子、皮脂膜の働きを
保管してくれる成分を入れていることは多いです。
細かい成分を羅列すると、本当に沢山あり、
日々進化しているので、どれが絶対というものを
決めるのは、比較試験をしているわけではないので、
難しいです。
大まかな成分と働きを理解していただき、
商品パッケージを見て、
この商品は敏感肌向けで無香料だなとか、
角質細胞間脂質のセラミド入りだなとか、
ポンプ式の方が毎日塗れるとか、
塗る人に合わせて、選んでいただければと
思います。
作ったメーカーさんも、こういう人に届けたい
という思いがあるので、パッケージを見ると
その商品の推し部分を書いているんです。
(結構、見てると楽しいと思うのは、
皮膚科医のサガなのでしょうか?)
ドラッグストアにはテスターあるところも
ありますし。
それが自分にあっているのかどうかを考えて
買っていただくと、最終的に本当に自分に
合ったものを選び取っていただく力が
付くのではないかと思います。
最後に
最後に、保湿をしていてよく聞かれる言葉に、
「保湿しているけど、カサカサするんです。」
と言われることがあります。
朝晩2回保湿していても、乾燥が続いて、
痒がるなどの症状がある場合は、
それは単なる乾燥ではなく、
湿疹の状態である可能性もあります。
保湿してもカサカサする場合は、
是非皮膚科で相談してみてください。
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