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住めるものなら「アトリエ地球屋」

 もしどこでも住めるとしたら。
 そんなコンテストが開催されているので便乗して、もしどこでも住めるとしたらどこに住みたいか真剣に考えてみた。
 私が愛してやまないアーツ・アンド・クラフツの本場イギリスにも住んでみたいし、気になる洋館が点在している函館や横浜にも住んでみたい。
 住む家は歴史を感じる古民家や洋館も憧れるが、モダンなデザイナーズマンションも捨てがたい。内装はとにかく自分の好きなようにカスタマイズして好きなものだけを集めて暮らしたい。
 そんなことをあれこれ考えた結果、私が住みたい理想の場所は「耳をすませば」に出てくる「アトリエ地球屋」だという結論に至った。

 思いっきりフィクションの世界の場所であるため、コンテストの主旨から外れていることは解っている。
 けれども、ただひたすら自分の理想だけを追求した住まいとはどういう場所かと考えると私の場合、やはりアトリエ地球屋なのだ。
 以下、洋館好きでもありジブリ好きでもある私の偏愛を綴っていこうと思う。
 サムネイル画像をはじめとする記事内のジブリ作品の画像はスタジオジブリの公式サイトで公開されている画像より引用させていただきました。

 アトリエ地球屋の1番の魅力は何と言ってもその特徴的な外観だ。テラコッタのような赤みのあるブラウンとダークグリーンの色使いが美しい。華やかだけれども絶妙な色合いでけばけばしくなっていないところが良い。
 そして個人的にツボなのが、屋根の勾配が途中で変化する腰折れ屋根だ。このタイプの建築様式はどちらかと言えば農村や牧場などで多く見られる様式だ。それを都会の住宅街で採用したそのセンスがさすがジブリだなぁと思う。インパクトがあるうえに、物語の始まりにふさわしい特別感をいい感じに醸し出しているのだ。あくまで私個人の見解だけれども、そのあたりを踏まえてこの腰折れ屋根を採用したのではないかと考察している。

 そしてアトリエ地球屋は内装も素敵なものに溢れている。
 オーナーの西司郎氏が厳選したであろうアンティークの家具や雑貨がセンスよく置かれている。
 もし自分が住むとしたら、こんなにもセンスよくインテリアをまとめられるだろうか。私の場合、好きなものだけを集めたとしたらかなりまずいことになりそうな予感がする。
 私はウィリアム・モリスやリバティのテキスタイルのような柄物が好きだ。そしてメキシコの刺繍のようなカラフルなものも好きなのだ。そうすると何も考えず好きなものだけを集めたとしたら、ガチャガチャした統一感のない空間になる可能性が高いのだ。

 妄想は細部まで考えた方が面白い。
 どうしたら地球屋のような素敵な内装にできるか「ジブリ 内装」で検索すると、Studio Sumutocoというリフォーム会社のサイトがヒットした。

 このサイトには「ジブリっぽいインテリア」という抽象的なイメージが具体的にどうやったら再現できるのか、とても詳細に書かれている。
 要約すると下記の3点がポイントらしい。

①天井照明(シーリングライト)を使わない
②壁紙・ファブリックは「大胆な色と柄」を取り入れる
③家具と建具は「素材感」を意識する

Studio Sunutocoサイトより

 ②と③に関しては自分の好みを反映しつつ、サイトにも書いてあったようにプロのデザイナーの方やインテリアコーディネーターの方にアドバイスしてもらえばバランスがとれたいい感じの部屋になりそうだ。

 個人的に目から鱗だったのは①だ。Studio Sunutocoのサイトは照明器具がいかに内装の雰囲気に影響を与えるかについて詳細に書かれている。そしてそれこそがジブリ特有の温かみ、つまり自然光の描写の巧みさに繋がっているのだ。
 そこでスタジオジブリ公式サイトで公開されているジブリ作品に登場する部屋をいくつか見てみた。するとそのほとんどが部屋全体を均一に照らすシーリングライトではなく、スポットだけを照らすペンダントライトやデスクライトなのだ。
 いくつか公式サイトから引用した画像を貼ってみる。並べると一目瞭然だ。

「魔女の宅急便」よりキキの実家
「風立ちぬ」より二郎の下宿
「借りぐらしのアリエッティ」よりアリエッティの部屋
「思い出のマーニー」より大岩家の杏奈の部屋
「思い出のマーニー」より彩香の部屋
「思い出のマーニー」より杏奈の回想シーン
「思い出のマーニー」よりマーニーの部屋

 どのシーンもライトの灯りと自然光の描写が素晴らしく、部屋全体が趣きのあるものになっている。

 部屋全体のカットではないけれど、このシーンも好き。

「となりのトトロ」より手紙を書くサツキ

 デスクランプの灯りがお母さんに手紙を書くサツキを柔らかく照らし、表情がより一層優しく見える。

 そしてアトリエ地球屋のこのシーンも好き。

「耳をすませば」よりアトリエ地球屋での食事シーン

 まずデスクランプのデザインがとても好みだ。そして部屋が暗いからこそ、暖炉の炎が鮮やかさや温かみが際立っている。寒い季節のシーンなので2人が食べている鍋焼きうどんも相まって、その温度感が伝わってくるようだ。
 ストーリー的にもここは気持ちが温かくなる大切なシーンだ。画とストーリーで温度感を表現しているところが凄い。

 というわけで、アトリエ地球屋っぽい内装には照明が要であるということがわかった。ペンダントライトやデスクランプはデザイン性が高いものが多く、見ているだけでワクワクする。
 まずは手軽にデスクランプあたりから取り入れると憧れのアトリエ地球屋に近づけるかもしれない。



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