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万年筆を使うと教習所のことを思い出す

……という話。

以前noteで記事にした3年日記を書いたり、ほぼ日手帳にその日あった諸々を記録したりするとき、よく万年筆を使います。YouTubeで聞きかじった知識なので曖昧ですが、万年筆はボールペンに比べて筆圧がいらない(?)とかなんとかで、ボールペンよりも長い文章を書き続けるのにいい筆記具なんだとか(だから、PCがなかった時代の文豪たちは万年筆で原稿を書いていたとかなんとか)。

とはいえ、最近のボールペンはメーカーの企業努力の結果、割と長いこと書いていても疲れないボールペン、たくさんあります。そもそも私が手書きで書く文章なんて、ほぼ日手帳のカズン(A5サイズ)1ページ分ぐらいしかないですし。「ここまで文字を書くとなると、万年筆じゃないと疲れちゃって~」などという事態には到底なるはずもなく。
しかも万年筆、インクをいちいち入れないといけないんですよ。ボールペンみたいに替え芯を差し込んでOKというわけにはいきません。
………いや、ボールペンの替え芯を替えるみたいに、専用のカートリッジを本体に差し込めばいいパターンもありますけど。ただいろんなインクを使いたいから、いろんなインクを入れられるコンバーター差し込んでインク吸入してるだけですけど。そのせいで不器用な私は、インク吸入するたびに、手をインク塗れにするという。ああ……。

さらに、カートリッジを使うにせよコンバーターを使うにせよ、洗浄しないといけないし。ノートの紙質と使っているインクの組み合わせによってはインクが滲んで小さい文字や画数の多い漢字を書こうとすると、文字が潰れて意味分からんことになるし。

要はもうとにかく不便なんです。万年筆。というかボールペンってめっちゃ便利。そもそも万年筆が不便だからという理由でボールペンが開発された(んじゃないかと思う、多分)ということを考えれば、万年筆に比べてボールペンが圧倒的に便利なのも納得ではあります。本当、みんな1日でいいから万年筆使えばいいと思う。そしたらボールペンの凄さがわかるから。今まで深く考えずに使ってたボールペンにすら感動できるから。オススメ。

ここまで万年筆のこと不便不便といっておきながら、それでも何故わざわざ万年筆使っているのかといわれたら「便利じゃないかもしれないけど、楽しい」というそれだけです。日常的に使うんだったら絶対にボールペンの方が楽だし使い勝手はいいんです。でも万年筆、使うのなんか楽しいんです。

で。タイトルの話。「便利じゃないかもしれないけど、楽しい」という気持ち、昔教習所でも味わったなあと。

今はどうかわかりませんが、私が運転免許を取りに教習所に通っていた当時「女子はAT限定さえ取っておけばいい」という風潮でした。というか、男子でAT限定の子もちらほらいたと思います。そんな中、将来地方に就職する予定もなければ、運転が必要な職業に就く予定もなかったくせに、ただただ「マニュアル車を運転する人が、曲がり角のたび(というか減速するたびに)にギアチェンジするの、めっちゃ格好良い!!」という動機だけでマニュアル車で免許取得に挑んだ女子大生(当時)の私。

ただでさえ不器用&運動音痴なのに、必死に半クラッチを覚え、加速減速のたびにクラッチを踏んではギアを変え。人の倍以上の時間をかけて免許取りましたよええ。今思えばよく免許とれたな。

そしてマニュアルで運転免許を取る人は、オートマの練習もありました(私が通っていた教習所がそうだったのか、日本全国そういうカリキュラムが決められているのかは不明)。
それまでマニュアルしか運転してこなかった私が初めてオートマを運転したときの感動ときたら!
減速するたびにギアチェンジしなくていい! つまり曲がり角のたびにギアチェンジしなくていい!! 信号で止まってから、もう一度発進するとき、ブレーキから足を外してアクセル踏むだけでいい!! いちいちクラッチ踏んでギア替えなくていいんだ! しゅごい!!

おそらく、日常的にオートマ運転してる人からしたら「何に感動しているんだこいつは……」と思われるのであろうこの感情。これって
「ボールペンっていちいちインクを吸入しなくていいんだ! つまりインク交換のたびに手が汚れる心配がない!! ノートの紙質によってインクが滲んで小さい文字や画数が多い漢字が潰れることもない!! いちいち本体を洗浄しなくていいんだ! しゅごい!!」
と、日常的にボールペンを使っている人からしたら当たり前のことに感動している万年筆ユーザーとほぼ同じといっても過言ではないのではないでしょうか。過言ですかそうですか。

マニュアルで運転免許を取ろうとした私は、ひとつの単元を一度でクリアできず、何度も何度も見送りを食らいました。どう考えても運転のセンスがないながらに、必死にマニュアル車を運転していました。けれど教習所に通うことが嫌になったことは一度もありませんでした。
だってマニュアル車を運転するの、楽しかったから。オートマ車に比べて面倒くさいことはたくさんあったけれど、その面倒くさいことは、私にとっては「便利=楽」ではなかったですが「楽しい」ことでした。

インクで手を汚しつつ、万年筆のコンバーターにインクを吸わせながら(もしかしたら器用な人は手を汚さずインクを吸わせられるのかもしれない)、楽でも便利でもないけど、楽しかった、教習所でのマニュアル車の運転のことを思い出す……そんな話。

ちなみに。こんな偉そうなことを書いていますが、今となってはマニュアルはおろか、オートマも運転できません。だって都内で生きてたら車運転しなくていいし……もともと運転のセンスなかったし……。もし今後、やむにやまれぬ事情で運転する必要に迫られたら、ペーパードライバー教習を受けた上で運転したいと思います。車の運転は、自分と他人の命かかってるしね!

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