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【短編歴史小説】父様 母様へ

本日

ワタクシは お国の為に

" 人間爆弾 "となります



怖くは ありません

お国の役にたてるのですから


父様 母様や

可愛い弟や妹が

安心して暮らしていけるよう

ワタクシは 逝くのです


将来ある子供達が

日本を支えてくれますよう

ワタクシは 願います


ワタクシは 15であります

子供ではありません

立派な兵士です

立派な兵器です

しっかり操縦も覚えました

前進の方法のみ

後ろは振り返りません

前だけ見て

前進あるのみです

それだけ覚えたら充分

立派な兵士なのです


父様 母様
ワタクシを愛し 育ててくださり
ありがとうございました

親孝行したかったのですが…
申し訳ありません


先日 上官殿が

「お前達のすることは最大の親孝行なのだぞ!

胸を張れ!

なにも恥じることはない!」

と 仰っておられました

ワタクシは 上官殿の お言葉を信じ

お役目を果たそうと思います



日出(い)ずる国 日本の平和を願い
ワタクシは 敵艦に 突撃します

┄┄┄┄

この日 15歳の少年は

特攻機 『桜花(おうか)』
爆弾に翼と操縦席とロケットがついただけの特攻兵器

その『桜花(おうか)』に乗り込み
敵艦に突入しました


…若い命が 花と散りました…

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