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【短編小説】ドリップ珈琲

ぽちょん  ぽちょん

弁柄色(べんがらいろ)の雫
ひとつ  またひとつ

ぽちょん  ぽちょん

「時間が解決してくれるって
    言われてもさっ…」

珈琲の雫が
ほら、また生まれ
ぽちょん  と落ちた

「時が経てば忘れるって言うけどさ…」

雫が落ちる度に
豊潤(ほうじゅん)な大人の香りが
辺り一面に広がる

雫が落ちる度に
あの人と過ごした日々が思い出される…
あの人と重ねた日々が蘇(よみがえ)ってくる…

ぽちょん  ぽちょん

「そんな簡単な愛し方してないよっ
      …そんな簡単じゃないんだよ…」

ぽちょん  ぽちょん

弁柄色(べんがらいろ)の雫と共に…
涙も落ちた…

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