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【短編小説】秒針とともに

あの時 あの人と出会わなければ…

あの時 違う選択をしていれば…

あの時 反抗していれば…

あの親の元に生まれて来なければ…

ワタシの人生は
変わっていたのかもしれない…


……これは ワタシの走馬灯……

後悔ばかりだ……


あれ?? ワタシは死ぬのか??

そりゃ そうだよね…

クスリいっぱい飲んだから……

どうせ幕を閉じるのなら

こんな惨(みじ)めな終わりじゃなく

思いのままに

操り人形じゃなく

ワタシとして

ワタシの人生を楽しみたかった…

ひとすじの涙が つーっと流れた…



真っ白な空間

無愛想なベッド

消毒液の匂い

ベッドサイドのテーブルの腕時計


カチっ カチっカチっ


秒針とともに

刻まれる

秒針とともに

心臓も鼓動する


カチっカチっカチっ


今も刻まれ続ける

ワタシの人生

ワタシの時間


生きている?

生きていた?

生きているんだ!


カチっカチっカチっ


ワタシの人生は

いまだ刻まれ続ける

良かった…後悔して よかった

ワタシは 声をあげ泣いた

安堵の涙を流した

後悔じゃない涙を流した

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