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認定NPO法人フローレンスの最大の問題は居宅訪問型保育×訪問看護

【この記事の概要】
1.居宅訪問型保育事業のフローレンス独占問題

 障害児向けの居宅訪問型保育事業(認可ベビーシッター)を、フローレンスがほぼ独占しています。

フローレンスの居宅訪問型保育事業の独占図

2.訪問看護ステーションを参入障壁に利用したフローレンス

 フローレンスの駒崎氏は、自治体や政府に対して、自らが訪問看護ステーションを運営しているのを利用して、障害児向け居宅訪問型保育事業には訪問看護が必須と宣伝して回り、他業者への参入障壁としました。

3.法令に基づかない〝訪問看護の押し売り〟をするフローレンス

 居宅訪問型保育事業は、短時間しか利用できず高額な訪問看護に代わって、保育スタッフが医療的なケアに従事できるようになった、新らしい制度です。訪問看護とは全く別の制度で、利用は必須ではありません。
 にも関わらず、利用者には訪問看護の契約を強要し、公費と看護師の交通費などの利用者の負担を増大させ、収益性を高めています。
 感染症による重症化リスクが高いため、医療的なケアが不要でも保育園に通えないお子さんは、「医療的なケアが不要な場合は受託不可」として利用できないようになっています。フローレンスの独占による弊害です。

 このように、訪問看護を利用して、他業者への参入障壁としつつ、自らの収益性を高める「二毛作」を行っています。

4.政府に〝赤字〟を強調して公費増額を迫るフローレンス

 フローレンスの駒崎氏は、子ども・子育て会議で、フローレンスの会計資料を配布するように会議進行役の参事官に要求しました。
 会計の内訳を見ると、居宅訪問型保育事業の収益しか記載しておらず、3で記載した〝訪問看護の押し売り〟による収益が記載されていません。
 また、東京都から独自に支給されている補助金の記載もありません。
 さらに、訪問看護事業で負担すべき看護スタッフの人件費も計上しており、本部経費も月に14万円(居宅1件)も計上していました。

フローレンスの収支内訳例
子ども・子育て会議議事録

 この資料は、フローレンス1事業者だけが集計対象で、統計として不適切なため、あえて公開されていませんでした。しかも、〝収益・費用には、調査対象事業以外の事業も含まれ得る〟と注釈のついたものでした。

 駒崎氏は、これを利用して
「出典:内閣府HP 令和元年12月10日 第53回子ども子育て会議配付資料」
と題して、公の場に複数回提出し、居宅訪問型保育事業が赤字であるため、公費を増額するべきであると、政府に要求しました。

 昨年末に、渋谷区のクラウドファンディングを活用して、「体験をプレゼントする仕組み」として寄付金を募った際に、「ふるさと納税クラファンで、100万円自腹切りました」と、大きな画像付きで宣伝を行い、多くの批判が寄せられましたが、これに酷似していると思います。

5.保育園とこども食堂の〝コラボ〟で経費削減の実績があるフローレンス

 フローレンスの駒崎氏は、公金で運営されている保育施設を、有料で貸し出せるように政府に提言し、小倉まさのぶ初代こども家庭庁担当大臣が、「保育所を活用してこども食堂を実施したいと問い合わせいただきました」と、X(旧Twitter)で発信して、駒崎氏と蜜月関係を露呈しました。
 本来は、寄付金で実施されるべきこども食堂を、保育園の設備・職員を流用して経費を削減できることになりました。
 居宅訪問型保育事業と訪問看護の経費の使途も、このように共有されているものと思います。

6.ロビーイングのすゝめと〝第五の権力〟

 公職選挙法違反で江東区長を辞任した木村弥生氏との関係や、ロビーイングのやり方についての実例を紹介しています。
 駒崎氏をはじめ、政策提言やロビーイングを行う団体は、実質的な権力機構として位置付けて、規制や適正な選定を行うべきであると思います。


※ 内容が、長く読み難いとのご指摘を受けたため、3月6日に
 概要を掲載し、本文も再構成と一部編集をしました。

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認定NPO法人フローレンスの最大の問題は居宅訪問型保育×訪問看護
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1.居宅訪問型保育事業のフローレンス独占問題

 何かと話題の認定NPO法人フローレンスですが、同業者だからこそ分かっている最大の問題があります。
 この図は、居宅訪問型保育型保育事業※の障害児向けの認可状況を示したものです。居宅訪問型保育事業には、待機児童向けのものと、障害や疾患等で集団保育に馴染まない障害児向けの二種類があるのですが、東京都内の実施自治体は、当社が認可を受けている武蔵野市を除いて、ほぼ全てフローレンスが独占しています。(例外として、世田谷区でフローレンスの他に社会福祉法人に1名だけ枠があります。)

居宅訪問型保育事業のフローレンス独占図

 これは、いくらなんでも異常ではないでしょうか。
 居宅訪問型保育事業とは、平成27年に子ども・子育て支援新制度で新たに認可制度に位置付けられた保育制度です。従来のベビーシッターを認可保育園と同じ金額で利用できるようになりました。「認可シッター」や「出張保育園」と言い換える場合もあります。

 これを可能にしているのが、フローレンスが運営している訪問看護ステーションを、他の業者に対する参入障壁として利用しているからです。

2.訪問看護ステーションを参入障壁に利用したフローレンス

 駒崎氏は、内閣府の子ども・子育て会議等の公の場で、繰り返し居宅訪問型保育事業には、看護師のバックアップが不可欠と発言してきました。
 しかし、それは大変なミスリードです。そもそも、この制度は、これまで医療的ケアのあるお子さんに、訪問看護の領域しかなかったので、コストが高く、しかも短時間しか看られなかったところに、新たに保育という領域が加わった画期的なものでした。
 医療的ケア児に対応できるように、専門研修を受けて、都知事が発行する研修修了証を交付されることが従事者の要件になっています。

居宅訪問型保育事業 医療専門研修修了証

 居宅訪問型保育事業が子ども・子育て支援新制度が始まって、新たに認可事業として位置付けられて、公的給付の対象となったことで、これまで福祉の目からこぼれてしまっていたお子さんが救済されるこの制度は必要だと思っています。

 私は、この制度で認可を受けるために、自治体に申請をしていましたが、まず障害児向けの居宅訪問型保育事業の認可実績が当時はフローレンスしかなく、自治体から(当時)唯一認可を受けているフローレンスが、訪問看護体制を整えているので、それに準じるように指導されました。

 それで、初めて駒崎氏が行政に対して、「医療的ケア児=看護必須」という認識を喧伝している実態を知りました。行政が長年に渡り「医療的ケア児=看護」という固定観念があったために、コストが膨大にかかり、支援を受けられる時間も短く、医療歴なケアが必要なお子さんがいる家庭は、離職を余儀なくされる例が多くあったので、新たに“訪問型保育”という新たな領域が加わったことで、看護師ではなくても、専門的な医療研修を受けて、都知事から認めれれば、保育と医療的ケアに従事できるようになったのです。

 それなのに、内閣府の子ども・子育て会議等に出席し、唯一認可を得ていた団体が、「医療的ケア児=看護」という行政が抱いている固定観念を喧伝して回れば、それが一種の法律に基づかない規制になってしまいます。

 駒崎氏は、自らが訪問看護のインフラを持っている強みを生かして、それがあたかも必須であるかのように吹聴してまわり、他業者への参入障壁として利用したのです。

(既出の子ども・子育て会議以外にも、本事業に看護が必須であるとして政府に公定価格の増額を要求している発言がいくつも存在しています。)

 私は、ベビーシッターや保育所の運営をする会社の代表者です。
 会社を設立したのは、私の母でフローレンスさんより10年ほど訪問保育の実績は長いです。もともと、販売事業や不動産投資等を行っていましたが、母は東北福祉大学の出身で、福祉を学ぶために北欧へ留学するなど、児童福祉に強い関心がある人でした。

 シングルマザーで、子どもを3人育てながら起業をして、子育てには親子ともに苦労したので、母は営利事業が軌道に乗ってから、働く親御さんの支援をしたいと言って、ベビーシッターの部門を立ち上げました。
 講談社のライターさんに、大変助かっていると言って頂き、当社のシッターさんを全面に使った特集ページを組んで頂いたことがあるのですが、その中にある主要シッター事業者の一覧をみて驚愕しました。
 フローレンスは、非営利活動法人として多額の寄付を受け更に免税されているにも関わらず、2万円(現在は3万円)の入会金を取り、更新料として年間1万円を徴収していました。そして、利用者からは寄付金の募集も行います。さらに、病児しか利用できず、利用しなくても毎月料金が発生するサブスクリプション制です。
 当社の先代は、利用料金を少しでも抑えないと本当に困ってるひとが利用できないと言って、自己の所有する不動産を運営に貸与したりするなどして経費を節減し、入会金は無料としていました。年会費は、1万円支払えば利用料金が安くなるという任意の割引制度です。

 株式会社というだけで、公益活動をしていても課税され、実質的に営利事業を行っている団体が課税されないのはおかしいと思い、この件で「租税回避行為ではないか」と言及したポストをしたところ、インフルエンサーの方や国会議員さんに引用して頂き、大変な反響がありました。

 先代に聞いたところ、NPOの黎明期に「実はNPOは儲かる!」といった類の、節税スキーム講座が多く開催されていて、先代も参加したそうです。
先代は、そこまで面倒なことをして節税しようとは思わないけど、頭のいい人は色んなことを考えるんだな、と思ったそうです。
 そもそも、営利目的でやっていないなら、利益が出れば御の字であって、株式会社であろうと、認定NPO法人であろうと、租税をしない理由はないと思います。

 このように、同業者として、NPOでありながら実態は営利法人であるということは知っていたので、政府に対して莫大なコストがかかることを強調して、政府には公費の増額を要求していることに違和感を持ちました。
 そして、徹底的に調べて、駒崎氏が誤った認識を広めて、制度の趣旨を歪め、自らは訪問看護は別に公費を得ているという実態が分かったのです。

 当社は、看護師がバックアップできる体制をもとから整備していたので、訪問看護の公費は請求できませんが、この実態に憤激して赤字覚悟で居宅訪問型保育事業への参入を決めました。

3.法令に基づかない〝訪問看護の押し売り〟をするフローレンス

 看護師資格が必須の医療行為は一部ですし、痰吸引などは研修を受ければ看護師でなくても実施できます。もちろん、訪問看護の利用で有資格者に対応をしてもらった方が良い場合もあります。しかし、それは地域の訪問看護事業者などと連携すれば良いことであって、居宅訪問型保育事業者が訪問看護事業を兼務することは、必須ではありません。

 フローレンスのホームページにも、「保育中は、研修を受けた保育スタッフがたんの吸引や胃ろう管理などの医療的ケアにも対応します」と、看護師でない者が医療的ケアの対応をすることがあると明記しています。

 これがミスリードであることは、既述のとおりですが、フローレンスのホームページでは、次のように記載されています。

Q:訪問看護ステーションジャンヌとの契約は必須ですか?
A:お子さんの体調管理を保育スタッフや主治医と連携して行うため、アニーを利用される方には必ず訪問看護ステーションジャンヌともご契約いただいております。
 看護師は週3回前後、アニー利用時間内に訪問看護を行います。また、担当の保育スタッフの代わりに保育を行うこともあります。
すでに他の訪問看護ステーションを2社ご利用中の場合どちらかをご卒業いただく必要がある場合があります。
 また、医療的ケアがない場合はステーションを1社しか利用できないため、現在利用しているステーションから訪問看護ステーションジャンヌに切り替えていただく必要があります。

引用:認定NPO法人フローレンス 「障害児訪問保育アニー」
    障害児向け自宅でのマンツーマン保育 よくある質問

 せっかく地域の資源があるのにそれを活用しないのは、合理性がありません。保育を提供する事業者が、看護師のマネジメントもすることで連携しやすいという言い訳は一見整合性があるように聞こえますが、既に慣れ親しんでいる訪問看護師がいても、
「すでに他の訪問看護ステーションを2社ご利用中の場合どちらかをご卒業いただく必要がある場合があります。
医療的ケアがない場合はステーションを1社しか利用できないため、現在利用しているステーションから訪問看護ステーションジャンヌに切り替えていただく必要があります」
という、公費を1社からしか受け取れないという理由から、強制的に解約をさせるのが、果たして正しいことなのでしょうか。

 これは、フローレンスに独占を許していることによる弊害だと思います。

 さらに、医療的ケアが必要ないなら、そもそも訪問看護を利用する必要がないので、公費の二重取りと、いたずらに利用者の自己負担額を発生させることになります。居宅訪問型保育事業で、医療的ケアが必要なくても、保育スタッフ(1日最大1,500円)と看護師の2人分の交通費まで負担させるとホームページに記載されており、家庭の負担は馬鹿になりません。

 仮に、1日2人分の交通費の上限額3千円を20日間利用したら、6万円になります。

 これは、法律にも基づかない行為で、政令では次のように定めています。
特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準(平成26年内閣府令第39号)第42条第6項
居宅訪問型保育事業を行う者は、家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準第三十七条第一号に規定する乳幼児に対する保育を行う場合にあっては、第一項本文の規定にかかわらず、当該乳幼児の障害、疾病等の状態に応じ、適切な専門的な支援その他の便宜の供与を受けられるよう、あらかじめ、連携する障害児入所施設(児童福祉法第四十二条に規定する障害児入所施設をいう。)その他の市町村の指定する施設(以下この項において「居宅訪問型保育連携施設」という。)を適切に確保しなければならない

 このように、政令では看護師の派遣については一切規定がなく、障害者入所施設等と連携することとしています。
 この居宅訪問型保育事業の認可化にあたり、政策提言を行った公益財団法人 全国保育サービス協会理事長で、聖路加国際病院の小児科医である草川功先生は、東京都が行う居宅訪問型保育の医療専門研修(国が定める従事要件)の講師もされていて、次のように研修会で述べられていました。

「慢性疾患のあるお子さんへの対応は、様々で一言でいえる対処法はない。緊急搬送しても、慢性疾患のあるお子さんだと対応できないと、病院などで断れるケースが少なくない。」

 慢性疾患のあるお子さんは、既に主治医や障害者支援制度などの利用がある前提であり、さらに慢性疾患のあるお子さんへの対応は難しいので、既存の支援制度と連携することを最も重視して制度設計をしています。事業者が勝手に既存の利用サービスを解約させるなど、言語道断です。
 一方で、訪問看護については、そもそも、医療的ケア児への支援として、訪問看護だけでは不十分だったところに、それに代わる制度として新たにこの居宅訪問型保育事業が位置付けられたことが述べられています。確かに、リスクのある医療的行為について、訪問看護の利用を妨げるものではないが、研修を受けて保育スタッフもできると述べられるに留まっています。

 法律に基づかない恣意的な運用は他にもあります。

杉並区公式ホームページ:居宅訪問型保育事業(待機児童向)
杉並区公式ホームページ:居宅訪問型保育事業(障害児訪問保育)

 武蔵野市を除く、居宅訪問型保育事業を実施している自治体は、このように居宅訪問型保育事業について、待機児童向けと障害児向けというように分けて記載をしています。

 こう記載されていると、居宅訪問型保育事業の認可には障害児向けと待機児童向けの二種類が存在すると思うのではないでしょうか。しかし、それは違います。

 しかし、法令では居宅訪問型保育事業を、次のように規定しています。

児童福祉法(昭和22年法律第164号)第六条の三 第十一項
 この法律で、居宅訪問型保育事業とは、次に掲げる事業をいう。
一 保育を必要とする乳児・幼児であつて満三歳未満のものについて、当該保育を必要とする乳児・幼児の居宅において家庭的保育者による保育を行う事業
二 満三歳以上の幼児に係る保育の体制の整備の状況その他の地域の事情を勘案して、保育が必要と認められる児童であって満三歳以上のものについて、当該保育が必要と認められる児童の居宅において家庭的保育者による保育を行う事業


(政令)家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準(平成26年厚生労働省令第61号)第37条
 居宅訪問型保育事業者は、次の各号に掲げる保育を提供するものとする。
一 障害、疾病等の程度を勘案して集団保育が著しく困難であると認められる乳幼児に対する保育
二 子ども・子育て支援法第三十四条第五項又は第四十六条第五項の規定による便宜の提供に対応するために行う保育
三 法※第二十四条第六項に規定する措置に対応するために行う保育
  (※ここでは、児童福祉法を指します。)
            ・・・以下省略・・・

 このように、居宅訪問型保育事業について、児童福祉法でも、政令でも障害児向けと待機児童向けという区分けは存在していません。なぜなら、もともとこの制度は、保育園での集団保育が難しい児童のために作られたので、第一項に、「障害、疾病等の程度を勘案して集団保育が著しく困難であると認められる乳幼児に対する保育」と明記されています。
 待機児童問題が深刻だったため、第三待機児童の緊急対策にも利用しても良いとなったのであって、居宅訪問型保育事業の本分は疾病または障害のある児童の保育です。

 つまり、認可を受けた事業者は障害児・待機児童に限らず保育を受託することができるのですが、杉並区をはじめ自治体が法令に基づかない区分をして、フローレンスに疾病・障害のある児童の保育を独占させています。

 当社は、杉並区が待機児童ゼロ宣言を出したいとのことで、区から要請を受けて、居宅訪問型保育事業の待機児童向けの枠を平成30年4月から受託しました。それによって、杉並区区は待機児童ゼロ宣言を出すことができました。しかし、区は20名の枠を設けるように要請してきましたが、実際の利用はたったの4名だけでした。スタッフを過剰に抱えることになり、懇意にしている保育園の運営会社の社長さんや地元の保育園さんが人手不足で困っているというので、出向に出すなどしました。

 当社は、これでは事業運営が成り立たないと、定員を10名に減らすように要望し、区はそれを受け入れました。しかし、そこで杉並区は、供給過剰で利用定員を減らすと言っているのに、是が非でも100%待機児童宣言を維持するため、当社になんら通告もなく他の事業者を追加しました。

 当社以外に事業者が増えるのであれば、より利用者が分散するので、定員を10名よりもさらに抑える必要がありました。これによって、更に当社の収益は悪化しました。

 私は、他の事業者さんを追加するのは、良いことだと思っています。一つの事業者に独占させることで、利用者には選択肢が生まれず、競争が起きないのでサービスが低下します。
 しかし、当社になんら告知なくされては、運営・採用計画を適正に立てることができません。区は、定員を当社がさらに減らすことが予想されるため、通告しなかったのでしょう。
 そして、待機児童向けの居宅訪問型保育事業は、他の事業者の参入によって競争が生じているのに、障害児向けの居宅訪問型保育事業はフローレンスが独占しているのかという疑問が生じました。

 これまでは、杉並区に限らず、障害児向けの居宅訪問型保育事業の受託実績がないからという言い訳ができましたが、当社は武蔵野市で認可実績がありました。

 杉並区に対して、当社は正式に基づかない運用を止めて当社に全ての居宅訪問型保育事業の門戸を開放するように要望しました。しかし、杉並区は法令に基づかない運用であることを認めつつも、障害児向けの居宅訪問型保育事業はフローレンスだけで”充足している”という理由で、これを拒否しました。定員20名に対して、4名しか利用がなく、確実に充足していた待機児童向け居宅訪問型保育事業は、新規参入させるのに、この理由で拒否されたことに、憤りを禁じえません。

 田中良前杉並区長は、フローレンスがここまで巨大化する最初のきっかけであった、日本初 の「障害児保育園ヘレン荻窪」の開設に多大な支援を行い、補助金まで支給した人物です。自らの実績として、公式ホームページにも掲載しています。
 そして、同じホームページに「平成30年4月1日保育待機児童ゼロを達成」とも記載しています。当社に多大な損失を与えて達成した実績です。
 そして、フローレンスの権益だけは是が非でも守るこの姿勢に、憤りを禁じえません。

 平成12年(2000年)に社会福祉事業法が、社会福祉法に改正されて、これまで行政処分(措置)だった福祉サービスを、利用者と事業者が対等な立場で契約に基づいて、利用者が選択できるように改革されました。
 当時は、”措置から契約へ”という標語が盛んに用いられました。

旧厚生省:社会福祉基礎構造改革について

 行政は、福祉サービスを利用者が選択できるようにしなくてはならないのに、なんら法令に基づかずにフローレンスに独占させている状態は、失当と言わざるを得ません。

 フローレンスのホームページの利用案内には、
「発達障害のみ・視覚障害のみ・聴覚障害のみで慢性疾患または医療的ケアのないお子さんの場合、現状ではお預かりできかねます」や、「障害児訪問保育アニーを利用する場合は、訪問看護ステーション・ジャンヌとの契約が必要となります」と言った、事業者都合の法令に基づかない独自の規定が盛り込まれています。重要な内容だと思いますが「症状についての注意事項」というボタンをクリックしないと表示されず、ものすごく小さい字で書かれています。これも競争がないためだと思います。

 なお、待機児童問題の鎮静化に伴って、慢性疾患のある児童でも保育園に入園しやすくなってきています。保育園では、基本的に看護師が常駐しているので、医療的ケアも万全です。
 当社では、万一感染症にり患した場合に、命を失う危険があるお子さんを受託しています。それ以外の医療的ケアなどは全く必要ないのですが、こういった感染症リスクの高いお子さんの需要が潜在的にあるはずですが、自らの運営する訪問看護ステーションを利用する見込みのない児童を「医療的ケアのないお子さんの場合、現状ではお預かりできかねます」と言って、受託拒否をする団体に任せていて良いのでしょうか。

引用:認定NPO法人フローレンスホームページ
   ご利用希望者向け案内ページ


4.政府に〝赤字〟を強調して公費増額を迫るフローレンス

 フローレンスは、たびたびこの居宅訪問型保育事業が〝赤字〟であることを強調して、政府に公費の増額を迫っています。

 フローレンス「会長」CEOこと駒崎弘樹氏は、自身が立ち上げたNPO法人全国小規模保育協議会の理事長の立場として、内閣府「子ども・子育て会議(第53回)」の提言として次のように述べています。

引用:内閣府子ども・子育て本部子ども・子育て会議(第53回)委員提出資料

 しかし、この赤字続きで運営が成り立たないというデータですが、その信憑性には疑義があります。そもそも、この赤字であるというデータが、そもそも公の場に引用されるのに不適切なものです。

引用:内閣府子ども・子育て本部子ども・子育て会議(第50回)委員提出資料

 このように、たった1事業者しか有効回答がなく、あえて公表されていなかった調査結果を、駒崎氏が参事官に依頼をして会議に配布資料としてねじ込んだことが分かります。

 そして、内閣府参事官は「資料にも注を入れてございますけれども、これは個別の事業所の状況をあらわす資料でございまして、居宅訪問型事業一般の状況を示すことではないことに留意が必要と考えます」と、コメントを入れています。
 そして、駒崎氏はそれが自らの運営する団体であることを前提にこの資料について説明を行っていました。

 駒崎氏は、この自らがねじ込んだこの資料を引用する形で、内閣府子の子ども・子育て会議(第53回)に資料として引用したのです。
 その後も、たびたび公の場で居宅訪問型保育事業が赤字であることを強調し、政府に対して公費の増額を迫っています。居宅訪問型保育事業からの撤退を示唆するなど、脅迫的な内容もあり、これもフローレンスに独占を許しているからこそ、このような不適切な資料の引用や、政府への強気の提言がまかり通るのではないでしょうか。

出典:内閣府HP 令和元年12月10日 第53回子ども子育て会議配付資料

 資料には、参事官が留意が必要と述べていた注釈が、画像の縮小によって視認するのが大変厳しいようになっていました。
 注釈の内容は、次の通りです。

※ 「令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査」における有効回答である事業所データ(1事業所)から作成。
※ 本表については、個別の事業所の収支差の状況を示すものであり、居宅訪問型事業一般の状況を表すものではないことに留意が必要。
※ 費用の構成割合は、収益計(➀)に対する割合。
※ 収益・費用には、調査対象事業以外の事業(延長保育事業、一時預かり事業等、地方単独事業)も含まれ得る

 このように、調査対象がたったの1事業者のみであり、〝 収益・費用には、調査対象事業以外の事業も含まれ得る〟という重要な内容でした。
 なお、小規模保育事業は居宅訪問型保育事業と同じく平成27年で新たに認可事業に位置付けられた地域型認可事業という認可保育事業の分類に入りますが、小規模保育事業と居宅訪問型保育事業は全く別の制度です。
 なぜ、小規模保育事業協議会なる一介のNPO法人が提言を行っているのでしょうか。そして、小規模保育事業者のための団体の理事(当時)の肩書で参加した、公の会議の場で理事が行っている別事業について、提言を行うのは、不適切ではないかと思います。
 居宅訪問型保育事業の創設の提言を行い、多数の事業者が加入していて、公益性と歴史がある公益社団法人全国保育サービス協会(旧全国ベビーシッター協会)がありますので、場違いな提案だと思います。

引用:【報告】内閣府「子ども・子育て会議(第53回)」提言のご紹介 - 特定非営利活動(NPO法人)全国小規模保育協議会
URL: https://syokibohoiku.or.jp/topics/54

 この内閣府に提出された資料は、駒崎氏が代表を務めていたNPO法人全国小規模保育協会のホームページにも、政府への提言の実績として掲載されていますが「出典:内閣府HP 令和元年12月10日 第50回子ども子育て会議配付資料」と記載されています。その画像も非常に小さくて、注釈が読み難いです。さらに、この資料が提出された経緯は、議事録もすでに公開されなくなったので、殆どの人は分かりません。

 一般国民がこれを目にしたとき、適切に公が行った調査結果だと誤認するのではないでしょうか。
 なお、これらの議事録や当時の配布資料は、内閣府子ども・子育て本部からこども家庭庁にこども行政の所管が変わったため、すべて内閣府のホームページから削除されていて、移管先のこども家庭庁のホームページでも公開されていません。

出典:内閣府HP 令和元年12月10日 第50回子ども子育て会議配付資料

 このように駒崎氏は、障害児向けの居宅訪問型保育について、看護師などの見守りやバックアップが必要なため、大きな赤字を抱えることとなると言っています。フローレンスのような非営利団体である認定NPO法人でなければ、この事業は実施出来ないという含意もあると思います。

 しかし、3で記載したとおり、看護師のバックアップについては、フローレンスは訪問看護ステーションと別途契約を必須としてします。つまり、看護師の派遣については、公費と利用者の自己負担額を徴収していることがわかります。

 この内閣府の子ども・子育て会議に提出された配布資料に〝収益・費用には、調査対象事業以外の事業も含まれ得る‴と注釈が入っているのは、そのためでしょう。本来は訪問看護ステーションに帰属するべき費用を、別事業に負担させていたら、当然費用は過多になります。

 さらに、赤字の内訳については、次のように示されています。

引用:内閣府子ども・子育て本部子ども・子育て会議(第53回)委員提出資料

 スーパーバイザーという区分けにしているようですが、しかりと人件費には看護スタッフの配置も記載されています。また、看護師の勤務形態について、フローレンスの採用ホームページに記載があり、1日に1~2時間程度の訪問を数件こなしている実態がわかり、非常に効率的に運用していると思います。その割には管理費が高いように見受けられます。

 さらに、収益の内訳は公定価格しか記載がありません。公定価格とは、保育事業者が国から受け取る保育料(利用者負担額含)の額のことですが、この他に、東京都の場合は自治体から宿舎借上げ事業補助金(月8万2000円/居宅1件※事業者負担1/8)や、キャリアアップ助成金(年間約80万円/居宅1件)の収益があります。それらが参入されておらず、更に訪問看護の事業収益を記載せずに、看護師の人件費を計上すれば、当然に大きな赤字となります。

 このような、不適切な数字をもとに、繰り返し公の場で政府に公定価格の値上げを迫るのは、不適切としか言いようがありません。

 これは、昨年末に「こどもの体験格差をなくそう」という目的で行われた渋谷区のふるさと納税のクラウドファンディングで、駒崎氏が「ふるさと納税クラファンで、100万円自腹切りました」と大きな画像つきて記事を書き、「お願いがございます」と言って寄付を募った事例に酷似していると思います。

 その寄付を募る記事の中で、
「実はふるさと納税は『自分がどうせ払わないといけない住民税から、ふるさと納税分をぶっこぬけて相殺できる』という仕組みじゃないですか。
 そしたらまるまる100万じゃなくて、このうち結構な割合は住民税と相殺されるから、正味の痛さはたいしたことはない!
とホッと胸を撫で下ろしたのですよ。」
 と記載しています。寄付者に対して、節税になるとアピールしたかったのでしょうが、自らの出費を強調しておきながら、実質は大して損をしておらず、しかもこのクラウドファンディングで自らが創業し会長を務める団体に莫大な収益が入るのですから、むしろ得をしているということで、多くの批判が寄せられました。

引用:ふるさと納税クラファンで、100万円自腹切りました
   駒崎 弘樹 認定NPO法人フローレンス 会長
URL:https://www.komazaki.net/activity/2023/12/post14131/

 これと、同じレベルのことを、子ども・子育て会議という公の場でやっているように見受けられます。

 なお、当社は障害児向けの居宅訪問型保育事業で、黒字で運営していることを申し添えさせて頂きます。

5.保育園とこども食堂の〝コラボ〟で経費削減の実績があるフローレンス

 駒崎氏は、内閣府子ども・子育て会議(第50回)で、公金で運営されている保育園の施設を、有料で貸し出せるように提言しただけのことはあって、別事業への経費共有と効率化には非常に熱心であるように見受けられます。

引用:【報告】内閣府「子ども・子育て会議(第50回)」提言のご紹介 - 特定非営利活動(NPO法人)全国小規模保育協議会
URL: https://syokibohoiku.or.jp/topics/50

引用:内閣府子ども・子育て本部子ども・子育て会議(第50回)委員提出資料

 なお、この件には小倉まさのぶ前内閣府特命担当大臣(こども政策・少子化対策、若者活躍・共生社会・男女共同参画・女性活躍等)がSNSのX(旧Twitter)でわざわざ言及し、駒崎氏と蜜月関係を露呈しました。

 これで、駒崎氏は本来は寄付金収入だけで経費を賄うべき、こども食堂について、保育所の設備や調理員などの職員を流用できるようになりました。

   小倉まさのぶ(衆議院議員) (@masanobu_ogura) 

「保育所を活用してこども食堂を実施したい」と問い合わせいただきました。「介護施設は活用できるが保育所は活用できない」と認識されている方もいるようですが、保育所をこども食堂に活用することは可能であり、この旨通知しています。是非ご確認下さい。<通知P4③参照>

 このように、本来全く別の事業との「コラボ」によって経費を削減するのは、フローレンスの得意とする分野なのだということがわかると思います。


6.ロビーイングのすゝめと〝第五の権力〟

 最後に駒崎氏の権力基盤について、言及しておきたいと思います。

 駒崎氏は、このNPO法人全国小規模保育協会のように、自らが設立して、強い影響力をもつ団体を中心に活動していました。日本経済新聞の取材に対して、自らのロビイング活動により、この小規模保育事業という制度が出来たと語っています。

「ちょうどその頃、民主党の松井孝治さんという方と知り合いになり、相談しました。その直後に鳩山政権ができ、彼は官房副長官になりました。
…(中略)…
 待機児童が集中するエリアにある空き家を使えないかと松井さんに伝えたら、厚生労働省につないでくれた。そして厚労省が特別に実験事業を作ってくれて、これを受けて東京都江東区に「おうち保育園しののめ」ができました。…(中略)…この成功事例を、当時内閣府にあった「待機児童ゼロ特命チーム」に持っていきました。そのリーダーが現厚労省事務次官の村木厚子さんでした。
 村木さんは「これいいね」と、すぐに「子ども・子育て新システム」に入れてくれた。そして昨年度の国会で「子ども・子育て支援法」として成立したんです。こうして2014年度から小規模認可保育所として全国でおうち保育園ができるようになりました。」

https://www.nikkei.com/article/DGXBZO60437170R01C13A0000000/

 このことからも、小規模保育事業における駒崎氏の影響力は絶大であることはお分かりいただけると思います。小規模保育協議会なるNPO団体を立ち上げていますが、実質的に運営権を握っていることは、これまでの提言の内容や小規模保育事業における駒崎氏の影響力から明らかだと思います。

 自らが強い影響力を持つ一介のNPO団体の肩書を利用して、政府に政策提言を行うのは、まるでプロ串のようです。一般国民からすれば、公益性のある団体だと思われるでしょう。特定個人の影響力が強い団体が、他の公平性が担保された業界団体や公益団体と同じように政府に対して政策提言をしていることは、失当と言わざるを得ません。

 また、駒崎氏のこうした活動について、語っている動画あるので、ご紹介させていただきます。

■医療的ケア児の未来を語る〜地域共生社会に向けた提言 駒崎弘樹先生
 この動画の中で、駒崎氏が東京都杉並区に立ち上げた障害児専門保育施設ヘレンについて、区からの多大な支援があったことを語っています。
 そして、荒井さとし衆議院議員(当時)がヘレンを視察に訪れたときに、駒崎氏は荒井議員に(守秘義務に違反していると思われるが)野田聖子議員のお子さん(マー君)が通園していることを伝えたことで、荒井議員は野田聖子議員のような偉い人の子どもですら自治体から優遇をしてもらえず、保育園に通園できない(議員であることで優遇されるべきという発想が根底にあるのは疑問符が付きますが)ことに衝撃を受けて、永田町子ども未来会議を立ち上げて、駒崎氏と共に、この動画に出演している木村弥生衆議院議員(当時)が創設メンバーとして加わったと語っています。

 木村弥生氏は、待機児童問題等緊急対策特命チームの座長や第4次安倍第2次改造内閣で総務大臣政務官を務め、江東区長となるも公職選挙法違反の疑いで辞任した人物ですが、この動画では、看護師であったことから、駒崎氏の訪問看護ステーションを視察するほどズブズブの関係であったとこが明かされています。木村氏は、現在フローレンスが世間から強い批判を浴びている特別養子縁組や子ども宅食などについて同志である(3:30)と語っています。

 また、地方自治体への子ども宅食や医療的ケア児などに関する要望をどう通すか指南するといい、「ロビーイングは日本ではあまりなじみがないが私たちの当然の権利」(45:00)という発言や、自らの地元の京都府向日市への要望の通し方を質問者に指南すると豪語する場面があったり(1:15:45)、それに対して、駒崎氏が木村氏によって子ども宅食が向日市に導入されたと語るなど、大変興味深い内容となっています。

 なお、木村弥生氏は江東区長となりますが、公選法違反事件の責任を取り辞任されています。


 私は、2004年に当時高校生で、たまたま書店で『第五の権力 アメリカのシンクタンク (文春新書)』という書籍を手に取り、興味を持ったので読みました。日本では、マスコミが市民の代弁者ではなく、第四の権力であるという認識がネットの普及とともに世間に認識されはじめた頃だったと思いますが、政策提言を行う団体がアメリカで新たな権力として認識されていることに衝撃を受けたのを覚えています。

 そして、この2年後の2006年に、ブッシュ政権誕生に深く関わったともいわれる共和党の大物ロビイストで、裏で賄賂や汚職に手を染めていたJ・エイブラモフの一大スキャンダルを扱った風刺映画『ロビイストの陰謀』が公開されました。

 この書籍が出た2004年という同じ年に、今回取り上げた駒崎氏が認定NPO法人 フローレンスを立ち上げ、今では日本のシンクタンクの一員として権勢を揮っていることに、心も言葉も及ばれぬ思いです。

 アメリカの場合は、二大政党制が機能しているので、政権交代があれば、シンクタンクも含めて交代され、評価が行われます。しかし、日本は自民党一強の状態で、野放しと言わざるを得ません。すでに、20年前から権力として認識されているのですから、権力である以上は規制や適切な評価・選定が行われてしかるべきだと思います。