生きることが愛おしくてならない
嘘みたいな話だから誰にも話したことはない。僕にとっては未来の話でもあるが、同時に過去の話でもある。こんなこと信じられないだろうけど、僕がこうして生きていてあれこれ文章を毎週綴って思いを巡らせているのも、あれが本当にあった出来事だったという証左だろうと思っている。
その年の夏、日本海に海水浴に行った。波にぷかぷか浮かんで、うまい魚を食べて地酒を飲んで日頃のいろいろを忘れて楽しみたい、多分そんな気分だったんだと思う。
少し沖合まで泳いで、波に身をまかせていたら、不意にふくらはぎ