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プロポーズ。その後。

このあと私たちは、すぐに場所を移動して、両家で食事をした。プロポーズに顔合わせ。想像だにしない出来事は、私のきもちなんてそっちのけで、あれよあれよと過ぎていった。嬉しかったのか、それとも緊張していたのか。いまでも当時の感情を思い出せない。

この日私は、一睡もできなかった。時計を見ると、時刻は深夜4時。普段23時過ぎには寝る私。もういい加減に寝ないと、明日の仕事がきつくなる。

けれどこの日だけは気にしなかった。今日一日いろんなことがあったんだ。仕方がない。それよりも、こんな時間だけど、ようやくプロポーズを受けた実感がわいてきた。心がじんわりとあたたまる。満たされていく。また涙が溢れてくる。この贅沢な感覚を、今はしっかりと噛み締めていたかった。気づけば夜明けを迎えていた。このとき私は、ぼんやりとあることを考えていた。

入籍日と結婚式の日取りは、すぐに決まった。すでに同棲していたことや、いつも私のきもちを優先してくれる、夫の優しさがあったからだ。私はそれに甘え、誰のアドバイスを受けず、自分の好きな日にちにした。日にちは特にこだわりはない。けれども人生の節目を、自分自身で決められたことは、変化をすんなりと受け入れられるきっかけになった。

だから結婚式の準備も、精一杯頑張れた。平日はダイエットのために、毎日プール。週末は衣装選びや打ち合わせ。合間を縫ってアイテム作り。仕事をしながらの準備は、思ったよりも時間が足りず、いつも忙しくしていた。けれどいつも楽しかった。慣れない作業も平気だった。準備が進むにつれ、結婚式が具体的に想像できる。ゲストの笑顔が見えてくる。それは私の喜びと原動力になった。

あっという間に、結婚式当日を迎えた。プログラムも終盤に差し掛かってきたころ、最後の余興がはじまった。司会者に促され、高砂の前に立った友人は、とつぜん手紙を読みはじめた。たどたどしい話し方。それを見て、怪訝そうな表情をする夫。それもそのはず。私たちは動画が流れると聞かされていたのだから。友人は気にも留めず、手紙を読んでいると、まさかのハプニング。突然マイクの電源が切れてしまった。慌ててかけスタッフが駆け寄ってきた。

私は結婚式を挙げたくなかった。人前に出るのは恥ずかしい。お金も時間も、たくさん掛かる。何のために結婚式挙げるの?結婚式は誰のため?結婚式に価値を見出せなかった私は、この話になると、いつもご託を並べていた。

でも今はちがう。結婚式という空間を使って、思いをカタチにしたい。夫や、いつも支えてくれる人たちに、感謝のきもちを届けたい。プロポーズを受けたとき、「思い」をカタチにすることの大切さを知った。だから今度は私が返したい。結婚式だったら、惜しみなく行動できるだろう。そう思えるようになった。

この日から私は信じてる。思いはカタチになる。そしてカタチにした思いは、思い出となっていくと。

わぁぁーーーー!!が、、、頑張ります!!