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南海トラフにそなえて

2023.1.11に地元消防団の活動で、堺市総合防災センターに研修と訓練に行ってきましたので詳しく潜入レポートを書いてみます!
 
令和4年の4月にグランドオープンした堺市総合防災センターでは消防署機能や消防士さんたちの訓練施設と併設で、一般市民でも学習できる防災学習センターの機能を兼ね備えています。

この日の体験では、突然やってくる地震や台風の危険や被害の動画を見せてもらってガイダンスからスタート。阪神大震災や東日本大震災、2018年に大阪を襲った台風21号の映像など、災害に直面した時の人間の無力さや、どうやってその脅威から身を守るのか、学習の意識づけが行われました。

そして研修がスタートすると、まずは震度7の揺れの体験を行いました。大阪では上町断層など直下型の地震とご存知南海トラフの海溝型地震どちらも来る可能性があります。揺れ方が違うのが特徴です。ただ、対策は同じなので、一般的な家庭の部屋の映像を見ながら、恐怖を感じるところから始まります。 

体験後は、ロビーに展示してある資料を基に、どのような災害が予測されているのか、地震だけではなく台風などの水害の脅威、また停電や断水に備えた備蓄、家具の下敷きにならないための耐震グッズの紹介、避難所に行く際の注意など細かく展示してあり、クイズ形式での設問もあって楽しみながら印象に残るように工夫されていました。

 

続いて、火災の初期消火体験。本当は化学薬剤がでる消火器ですが、使い方を同じにした訓練用の水消火器で訓練を行いました。消火もですが、まずは大声で火事だ!と周囲に知らせる事、消火器は15秒しか掃射が出来ないので無駄打ちはしないよう落ち着くこと、無理だと思ったら即退避することなど、基本的な心構えも学びました。

また、煙を部屋の中で充満させる設備があり、避難の際は低い姿勢で、ハンカチなどを口に当てて非難することや、暗闇では壁を頼りに避難すること、誘導灯の大切さなどを学びました。

続いては水害のコーナー。水害は唯一予測が可能な災害であるので早めの準備はもちろんのことですが、一度水がドアの前まできてしまうと開かない(1mの幅のドアの前に60cm水が溜まると開けるには140kg以上の力が必要)こと、無理やり開けても今度は部屋の中が一気に浸水するなど、水の恐怖を体験しました。家の場合はそこまで来てしまったら垂直避難を、またアンダーパスなどで車がショートしてしまった時は扉は開かないし、パワーウインドも開かないので、金槌などでガラスを割って緊急避難する必要があったり、シートベルトを切って脱出するようにハサミを積んでおくなどの備えも学びました。 

さらに、消防団用の要救助者の救助体験。地震が起こった時などはその場にあるものを使ってどうやって救出するか、また要救助者がいるかどうかの確認のための効率的な声掛けや毛布を使った搬送など研修しました。 


最後は筋梗塞などによる心臓マッサージやAEDの操作方法です。胸骨圧迫と言われる一般的な心臓マッサージのやり方と適切なAEDの使い方を学びました。急に人が倒れた時に咄嗟に出来るかはこのやり方を知っているかどうかに大きく関わります。また、胸骨圧迫は想像以上に力強く行わないといけない事、圧迫するのは左胸ではなくちょうど胸の中心部(乳首と乳首の真ん中)で行う事、圧迫のペースなどを学びました。心房細動などで倒れたら4分以内に蘇生をしないと生存率はかなり下がるとのデータを見ましたが、日本の平均で通報から救急車到着まで約8分半かかります。それまで放置では残念ながらかなりの確率で死んでしまいます。こんなに強くやって大丈夫か不安と言う人も多いらしいですが「やらなければ必ず死んでしまいます、だから命を守るための恐れず行動してください」との講師のかたの言葉が印象的でした。かなりの重作業なので心肺蘇生は出来れば複数人で行うこと、それ以外にも救急通報、AEDを近くのお店に探しに行くなど複数対応が望ましいとのことでした。AEDは思ったより簡単で、電源入れてパッドさえ貼ってしまえばあとは機械音声に従って使うだけなので、その状況に出くわした時はこちらも恐れずに行動することが大切と感じました。 災害は起こらないのが一番ですが、地震や台風は人にはコントロールできません。今後も必ず起こります。その時に自分や家族の命を守れるか。日頃からの備えや知識が生死を分ける場合もある。消防団のような地域の共助力のアップ、ひとりひとりの自助力のアップ、防災減災に取り組むには、とても大事なことだと感じました。 

南海トラフ地震は、南海&東海が一気に揺れ動く「全割れ」と、どちらかが先に動き1日~3年後にもう半分が動く「半割れ」があると言われています。特に半割れの場合はすぐさま第二派が来る危険性から、被災地に救助隊が入ることをためらうような状況も考えられます。東日本大震災でも消防や自衛隊など「公助」に助けられた人はわずか5%といいます。残りの95%は地域で助け合う「共助」や自力で脱出した「自助」だったらしいです。

自分や大切な人の命を救うには、まず国や自治体の対策や救助には限界があることを知る。
次に、自分が要救助者にならないように災害の基礎知識を学び、家具の固定や防災グッズの用意、食料の備蓄、いざという時に逃げる方法や落ち合う場所、連絡手段などを日ごろから家族と共有しておく。
また、地域で顔の見える関係を築き、日ごろから地域のつながりを作っておく。

こういった対策の積み重ねが命を救うことにつながるのだと実感した一日となりました。

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