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実父と義父とどちらが虐待が多いか?

実父と義父とどちらが虐待が多いか調べてみました。児童相談所が出した平成26年度の統計では、実父(34.5%)、次いで義父(6.3%)という結果が報告されており、実父の方が虐待が多いとされています。(データは、以下の資料より)。(注)母親からの子ども虐待も多く深刻な問題ですが、今回は男性側について述べたいと思います。

しかし、そもそも、日本全体の家族構成の中で、実父の絶対数が義父より圧倒的に多い中で、絶対値では比較ができません。実父と義父とどちらが虐待が多いか?を比較検証するためには、相対値(日本全体の父親の総数に対する実父の数と、日本全体の父親の総数に対する義父の数)で比較しなければ、割合としてどちらが多いかが見えてきません。

日本の行政が公表するデータは、絶対値で数値を出し、グラフ化も絶対値を元にグラフ化していることが多いのですが、比較をするには相対値(割合)で比較しなければ比較がそもそもできません。

個人的な見解としては、児童虐待は、実父より義父による母親側の連れ子に対して起きるケースが多いような印象を受けます。記憶に新しい事件として、平成30年、東京都目黒区で船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が虐待死した事件も、虐待していた父親は義父であり、船戸結愛(ゆあ)ちゃんは母親の前夫の連れ子でした。

そして、船戸結愛(ゆあ)ちゃんの母親は、再婚した夫(結愛ちゃんを虐待死させた義父)の実子が産まれています。このように、男にとって実子が産まれた後に、母親側の連れ子への虐待がエスカレートするという現象は、虐待が起きる家庭でよくあることだと私は思います。私自身も、母が私が5歳の時に再婚し、私が8歳の時に妹が産まれました。この妹と私は異父姉妹であり、義父から私への虐待がエスカレートした時期は、義父にとって実子である妹が産まれた後でした。

私は大学で生物学を専攻していたため、以下の話には抵抗がないのですが、おそらく一般の方には不愉快に思われる方もいらっしゃると思います。しかし、生物学の中では、進化の過程で、生き物は自分の遺伝子を後世に残すよう「設計」されており、義父による母親側の「連れ子の子殺し」という現象は珍しいことではありません。

虐待は、人間だけの特殊な現象ではなく、野生動物の世界でも普通にあるものです。これについては、以下の記事もお読みください。

日本のマスコミは、虐待死が起きた際に、虐待した親が、実父だったか?義父だったか?という点をほとんど強調して報道しませんが、義父と母親側の連れ子という家族は、虐待の危険性が非常に高いのではないか?と思っています。しかしながら、継父や継母であっても、愛情をもって血がつながらない子どもを育てているケースもあるため、この話題は、非常にデリケートな問題で、報道には注意する必要性はあります。

しかし、親が再婚し、連れ子がいる場合に起きる「血縁関係のない」ことが要因の虐待という問題は、目をそらしてはいけないのではないか?と私は思います。今後、解明してほしいテーマであり、マスコミもデリケートな問題(血縁関係がなくても、愛情をもって育てている親子もいる)という点に十分に配慮した上で、真実を報道して頂きたいです。

※虐待の後遺症の典型的な症例については、以下の書籍にまとめてあります。精神科医の和田秀樹先生の監修・対談付き。


虐待の被害当事者として、社会に虐待問題がなぜ起きるのか?また、大人になって虐待の後遺症(複雑性PTSD、解離性同一性障害、愛着障害など多数の精神障害)に苦しむ当事者が多い実態を世の中に啓発していきます!活動資金として、サポートして頂ければありがたいです!!