小さな鼓動 ②息子の病気がわかった日
夏の暑い日。
妊婦健診で通っていた病院で、エコーを見ていたお医者様に告げられた。
「紹介状を書きますので、専門医に診てもらった方が良いと思います」
心臓がバクバクいって、頭がカーッと熱くなって真っ白になった。
エコーでやたら同じところを長く診てるなと思ってた。不安が、的中した。
お医者様がじっと診ていたのは、心臓。
祈るような気持ちで、紹介先の東大病院に行った。
受付をし、体重や血圧を測って、診察を待つ。
結構長い時間待ち、お腹も重いし診察が始まる前にはもう疲れてしまっていた。
診察に呼ばれて、エコーで暫く診ていたお医者様が、机で何かを描き始めた。
心臓の絵だ。
フリーハンドでスラスラ上手に書くもんだな〜とぼんやり眺めていた。
「お子さんの病気は、大血管転位というものです」
そこから、どういう病気で、生まれる時にどんな注意が必要で、
どんな治療になりそうかということを説明を受けた。
どうしてこの子が、とか思ったかもしれないけどよく覚えてない。
絞り出すようにして言った言葉はよく覚えている。
「手術の成功率はどのくらいなんですか?」
言った途端、
(成功率ってさ、失敗する可能性もあるってことだよね。失敗って、つまり死んじゃうってこと??)
そう思って、堪えていた涙が出てきてしまった。
「すみません」と言いながら泣き始めてしまった私に、
「大丈夫ですよ」と優しく言いながら、お医者様は成功率は高いと説明をした。
やっぱり病気があったんだという悲しみと、
成功率が高いと言われた安心と、
でも100%じゃないよね、現に確率の低い病気になったんだから確率なんて意味ないという不安と、
とにかく帰って夫に話して、調べて、考えないといけないという考えが
ごちゃ混ぜになって、疲弊して家に帰った。