美しさを抽出し、際立たせる方法とは
振り返り
先日、「万人に美しいと思われる写真を撮りたいなら、あらゆる意味で”不自然”と思われてはならない。誇張や、意図のない無意味な派手さは白ける。あくまで”自然”でありつつも目を惹くような写真にする必要がある。」という一定の学びを得た。
お寺に配置されたカラフルな映え映え傘スポットは、純粋に「絵」としては映えるが、一定数にとっては滑稽(=不自然)に写り、白けてしまう危険性がある、という検証結果から着想を得た、主に被写体(主題)の選定に関する検討を行った。
写真はただ映えれば良いってもんじゃないという、鑑賞者側としては当然の、だがクリエイター側からすると残酷な事実を再確認したと言える。
また、この「多くの人に美しいと思ってもらうための写真を撮る上で注意すべき点」を踏まえた撮影指針として下記3点を示した。
めったに見れないレアな瞬間を捉えたもの
切り取り方が新しいもの
明確な意図を持って人工的に作り上げたもの
撮影指針に対する検討
1.は、風景写真であれば絶景(上高地の紅葉など)、希少な野鳥などが挙げられるが、わかりやすい形で労力コストの高さと確率の低さが影響する。
2.だが、著名なストリートスナッパーの写真を見れば一目瞭然だが、新しい切り口などそうそう見つからないものだ。彼らは明らかに、構図や光への観察、実験と検証の繰り返しという茨道を通って、絞り出すように生み出した構図を発信している。(もしかすると、圧倒的なセンスで)
発想を思いつく部分を「運」と言い換えているが、1.と比べれば運の要素は低いかもしれない。何にせよ大変だ。
3.は、言わずもがな。運の要素は最も低いが、金銭的にも時間的にも膨大なコストが必要だ。
やはり楽な道は無いようだ。
一方、この指針はあくまで「何を美しいと感じているのか」というクリエイター側の根底的な発想を、より強力に伝えるためのアプローチの違いでしかない とも言える。
では一旦この視点から切り替えてみる。
イメージした美しさに実態を寄せるか
すでにある美しさを抽出するか
なにかインスピレーションを与えてくれるものをインプットとし、美しさを発見し、言語化して分析し、これを際立たせるためのアプローチを選択する「被写体から美しさを抽出する」やり方と、逆に予め「こういうイメージにあう場所を探す」といったやり方がある。
後者は、一定以上の経験値がなければ実現不可能な上級ルートだ。
初心者は、当面は前者しか選択の余地はない。
何を美しいと感じているのかの分析
すでに前回の記事において、私自身が自然風景や花に見いだしている「美しい」と感じる最も大きなポイントの片鱗(カラフルさ)は掴んだ。まずここを極めていきたい。それが好きだしね。
紅葉を美しいとなぜ感じるのか?
→普段緑で控えめな木々がカラフルで目を惹くからそもそも紅葉のメカニズムは?
→詳細は今後だが、木々の葉の緑色を構成するクロロフィルがなくなることで、黄色を構成するカロテノイドが主となり黄色く見え、カロテノイドがなくなることで赤色を構成するアントシアニンが主となり赤に染まるらしい。
→そもそもなぜ紅葉するのかの理由は諸説あるようだが、冬に備えて葉の栄養を幹に集約するために最終的に葉を落とすが、この過程において(幹の栄養補給源たる)葉の栄養を落葉までに虫などに奪われないよう、警告色として色を変化させている(=虫除け)という説が濃厚そう。上記を調べると、元来無機質な木々がなにかを訴えかけているような気がしてきて、厳しい冬にむけて頑張っている愛おしさのようなものを感じるが、なぜ愛おしいと思うのか?
→ハッピー一辺倒な物語より、シリアスな物語(映画、アニメ、ドラマ、音楽)を好む自分の趣味とマッチするため。なぜシリアスな物語を好む?
→ただただ安定した状態が維持されている様子はつまらない。何かしらプレッシャーを受け、そこでどうするのか?という心情の揺れにこそ面白さを感じるので、そこがグッとくるのかも。いいと思うのは紅葉だけ?
→そんなことはない。春に咲く花、夏に青々と茂る葉 が好き。冬の枯れ木はあまり惹かれない。どうやら「変化」が好きなよう。冬→春の"開放"されたような姿、春→夏の"活況"になっている様子 みたいな。でもやっぱりベストは夏→秋(一瞬)→冬の「最後の燃え尽きる様子」のような紅葉の姿が一番だな。花火のような刹那的な美しさも感じるかも。紅葉にマッチしそうなストーリー
→冬の到来 というシリアスな側面と、まだギリギリ到来していないよ、という暖かい側面の狭間にあることが表現できれば、ドラマチックに映るかもしれない。冬の到来を表すものとは?
→気温の低さ、雪や霜まだ温かいと感じさせるものとは?
→暖色、光
こうやって考えると、めちゃくちゃ面白い。。
こんな感じで詰めていくのね。
とりあえず今回はここまでとして、花についても考えたい。
花は結構わかりやすい。
要は受粉をさせるため虫を呼び寄せているわけだから、虫との親和性が高い。目的は受粉、つまり仲間を増やす活動だから、それを表現できたほうがいいのかもしれない。
単品なら、さぁ寄ってきな と虫目線でグッとくるような見せ方なんていいかもしれない。群衆なら、どんどん仲間が広がっていくような様子を表現できると面白いかもしれない。
植物のメカニズムを知った上で、そこに沿って表現する分には自然だろうし、何よりストーリーが明確化されて面白い。
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