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SIW ( Surpass the Invisible Wall )

【主旨・目的】
 発達障害グレーゾーン、隠れ発達障害者の社会進出を促し、健常者との関係を可能な限り円滑にするため、双方が歩み寄るための相互理解を図る。

 ・『発達障害グレーゾーン』と言われる障害の存在を認知してもらう
 ・その障害は診断が下りないことが多く、障害者扱いにはならない
 ・整理整頓・マルチタスクが苦手、優先順位がつけられないなどの特徴を持つ

 上記の内容を企業の『研修』の中に入れてもらい、正規・非正規を問わず従業員には教えるようにする。試験などはなくてもかまいません。
 ただ、障害を持つ人の中には『隠している人』や、自分では『自覚がない人』もいますので十分な配慮が必要です。

 ・健常者に「こういった障害があるんだな」と認識してもらう
 ・隠している障害者に「隠さなくてもいい」と理解してもらう
 ・自覚していない人に「もしかしたら自分は障害があるかも」と気づいてもらう

 これらから、仕事を潤滑に回す・人間関係を改善する・障害の症状を緩和することを促し《働きやすい環境》を作ることを目指す。



I. 整理整頓ができない(片付けができない)

α. 色の区別ができない

*参考サイト*

 『色覚異常』の人は、他の人と【色】の見え方が違います。そのことが原因で、資料や道具などを「同じ色にそろえて」とか「ファイルと同じ色の棚に戻して」と言われたときに、『違う色同士』で片付けてしまいます。

色覚が正常な人が「赤」「緑」「オレンジ」「黄緑」の4色をグループ分けすると、「赤・オレンジ」と「緑・黄緑」とするのに対して、赤緑色覚異常の人は「赤・緑」と「オレンジ・黄緑」にグループ分けします。

 使うものを【色】によって分けるときには、このようなことも含めて考えていくといいでしょう。
 解決策の1つとして、色だけではなく【マーク】も一緒に表記するなどです。

 マーク…α、β、○、△、☆、♠️、♦️….etc


β. 『元の状態』を知らない(教えていない)

 これは健常者・障害者を問わず経験することだと思いますが、『片付いた状態』を1度も見たことがない(見せたことがない)にも関わらず、「適当に片付けといて」などと指示を出すと、指示を出された方はどうしたらいいのか分からなくなることがあります。
 片付いた状態を『知らない』のですから、片付けようがないのです。

 片付いた状態を見せるのもいいのですが、上の立場の者が率先して片付けをやることで、自然とみんながやるようになることを促すことが最善かもしれません。



II. 優先順位がつけられない(マルチタスクができない)

*参考記事*

 仕事に限らず、物事には『優先順位』があります。知的障害者は『優先順位がつけられない』ことがありますが、それは全ての作業を【同時】に行わなければならないと思い込んでいるからです。つまり《マルチタスク》ですね。ですので、同時ではなく【順番】にやればいいことを教える必要があります。

マルチタスク(同時作業)ができないなら、シングルタスク(順番作業)でやればいいという話です。

 マルチタスクにこだわる必要はなく、シングルタスクを順番にやることで、自然と『優先順位』の理解を深めていくことが大切だと考えます。
 マルチタスクにこだわるから、優先順位がつけられないのです。だったらマルチタスクを『やらなければいい』のです。

 健常者・障害者を問わず、優先順位の感覚がない人ほど、自分の仕事を放ったらかしにして他人の仕事を手伝うなんてことをするようになります。手伝ってもらった方はありがたいかもしれませんが、本人の仕事が終わっていないので意味がありません。

 この時、3つの『考え方』に分かれます。

 α. 自分の仕事をできるだけ早く終わらせて、他人の仕事を手伝ってあげよう
 β. 自分の仕事がちょうど終わるように、ペースを考えてやろう
 γ. 自分の仕事はできるだけやらないで、残ったら他の人にやってもらおう

 どの考え方で仕事をしてもいいと思いますが、大事なことは優先順位は
  1. 自分の仕事
  2. 他人の仕事
となっているところだと思います。手伝うにしろちょうどにするにしろサボるにしろ、先ずは『自分の仕事を終わらせろ』という話です。

 マルチタスクができないのは、優先順位がつけられないからではなく、
 優先順位をつけないから、マルチタスクができないのです。



まとめ

 発達障害グレーゾーン、隠れ発達障害者と言われる人たちが存在することを上層(経営層)だけではなく、現場にも周知していくことが大切です。
 別の記事で書きましたが、障害者に教えるときには『形式知と暗黙知』を分けて教えるなどの注意も必要です。マルチタスクが苦手なので、いろんなことを同時に教えると【混乱】してしまうのです。

 《障害があってできない》のであれば納得はできると思いますが、そうではなく単に《できない》のであればサボっていると捉えられるでしょう。
 ここで言う『できる、できない』は職種による知識や技能の話ではなく『掃除・片付け・整理整頓』などの【基本中の基本】の話です。

 大人が基本中の基本をやらないと、『若い子たちが真似をしてしまう』ことが問題です。
 《大人はみんな、子供のお手本》です。そこに健常者・障害者の区別はありません。そして、繰り返しになりますが、障害があってできないのであれば子供でも納得すると思いますが、その説明がないので子供の目にはサボっているように映ってしまうのです。
 それを見た子供が「サボっていいんだ」と解釈しても、何も不思議ではありませんね。

 私が経験してきた限り、現場で働く人たちは《発達障害グレーゾーン・隠れ発達障害者・各特性・色盲・形式知と暗黙知》などのことを【知らない】のです。
 おそらく、上層の勉強会や会議などでこういった知識の教示はしていると思われますが、肝心の現場に【下りてきていない】ことが問題です。

 障害は『完治』は難しいそうですが、『緩和』ならある程度はできるそうです。自覚がない人たちに関しても、《自覚させる》ことにより良くなっていくかもしれません。

 今回述べたようなことを、とにかく『現場まで下ろして』ください。行政や企業がどんな政策や施策をしても、末端構成員まで届いていなければ何の意味もありません。上層だけ『やった感』に浸って終わるだけになってしまいます。

 発達障害グレーゾーンは『障害者雇用』の対象にはなっていないと思いますが、現場での《フォローに時間を取られる・話が噛み合わない》などの問題が解決するだけでも環境は改善されると考えます。



*参考書籍*
 ・発達障害グレーゾーン 姫野桂 扶桑社新書
 ・その「うつ」っぽさ 適応障害かもしれません 岩波明 青春新書インテリジェンス

*参考記事*

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