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建築家(住宅)の仕事についての持論

どうも、動物と打ち合わせる建築家です。

今回は動物抜きに建築家という職業について記したいと思います。
これから建築の世界を目指される方に読んでいただけると嬉しいです。

※私は基本的に住宅しか担当しないので、この業務範囲内についての役割について述べています。一般的な建築家についてはもっと高尚なご意見があると思いますのでそちらをご覧ください。

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建築家の定義

JIA(日本建築家協会)が一番オフィシャルな感じがしたので抜粋すると、

”建築に関する設計や監理、その他関連業務についてプロフェッショナルなサービスを提供する職業”

とあります。

その他関連業務というあたりが非常に曖昧ですので、名乗るのは簡単そうです。(せめて有資格でないと厳しい気もしますが。)

自分自身、学生時代は建築家というのは隈研吾さんや伊東豊雄さんのように著名な方に許された称号と思っていましたが、実際にはプロフェッショナルとして建築関連の業務を生業としていれば建築家と名乗って問題なさそうです。つまり、有名建築家になるのは大変ですが、建築家そのものになるのはそこまで難しいことでは無いということです。

実際に私は過去にハウスメーカーなどで勤務していましたが、名乗ろうと思えば建築家と自称して差し支えなかったわけです。ただ、実際は設計士と名乗る事が大半でしょう。世間的にも建築家と言うだけあって組織に所属というよりは自分の事務所を持っている事が一般的になっているように感じます。

自分の事務所を持つのも実は簡単です。(運営は大変ですよ?)
極論資格と時間があれば手続きをするだけで開設は可能です。実際問題重要なのはそれで食っていけるかどうかなので、そこはまた別の機会に語るとしましょう。

プロフェッショナルなサービス

 プロフェッショナルとはなんでしょうか?私は小さい頃「その分野で仕事をしてご飯を食べている人」と思っていました。今でもこれは大筋あっていたように思えます。前述に通り建築家=プロですから、クライアントや第三者から見て「この人はプロだな」と思わせる仕事をしなければいけません。

個人的な感覚として、一般に自分がプロであるという自負クライアントの思うプロ像と解離している事が多いように思えます。これはBtoBBtoCに分けると分かりやすいのですが、少なくとも私の身の回りにいる建築家は圧倒的にBtoB思考です。本当にBtoBサービス(非住宅、公共物など)なら良いのですが、BtoC(住宅、クライアントワークなど)でもBtoB思考のままやられている建築家の方は本当に多いです。

側から見れば技術があるのにもったいないですし、クライアントから見れば本当にプロなの?と思われてしまいかねません。

 BtoBの場合は評価軸が専門的技術であるのに対し、BtoCでは総合的な満足度がモノを言います。同じ品質のものを販売しようと思ったらBtoB方が売りやすいですし、BtoCの場合は広告や接客など様々な工夫が必要です。まして住宅は数千万円単位の大きな買い物なのでBtoB思考では全く売れません。

例えば建売住宅の設計を不動産屋さんに納める場合とクライアントに直接に提案する場合、同じ技術水準なら前者の方が圧倒的に売りやすいです。これは求めているものが品質品質+体験(家づくり)に分かれているからですね。

では、具体的にどんなことをすればクライアントは満足するのでしょうか。ミスをしない?連絡をこまめにする?...確かにクレームから逆算するとこういった事は非常に重要ですが、これでは満足してもらう事はできません。ベーシックな対応だけでなく、プラスαの仕事が必要なのです。

住宅設計はサービス業

経験上クライアントに尽くす心、行動が実を結びます。

例えば模型一つ取ってみても、
 ・白模型か素材感を盛り込むか
 ・スケールは1/50か1/30か、それ以上か以下か
 ・複数提案するか、しないか

など、見える成果物でアピールしたり、

コミュニケーションを通して、
 ・家族の意見を満遍なく聴けているか
 ・趣味や趣向を把握しているか
 ・会話は盛り上がっているか

これらを読んで「そんなことはもうやっている」と言う方がいらしたらコメントをくださいませ。特にコミュニケーションは自分とクライアントの感じ方が一番解離しやすい部分なので見直しが必要かも知れません。

項目を分けるなら、
■目に見える成果物
■コミュニケーション

 なお、双方の項目で100点は必要ありませんが、コミュニケーションで90点を取る必要はあると思います。この辺りは自分でもまだまだ言語化できていないので引き続き深掘りしていきたいポイントです。

家づくりを体験として提供する

 住宅もモノなので、良いプロダクトにするためにはストーリーが重要です。このストーリーを打ち合わせだったり、現場だったりと体験としてパッケージ化して分かりやすく販売する事が求められると思っています。なぜなら、手軽に家を買うと言う視点で言えば、スマホで住宅を買う世界観が既に世の中には存在しているからです。

住宅は高い買い物です。おそらくほとんどの人にとって人生で最も高い買い物です。個人的には「手軽」から最も遠い存在ではないかと思っています。もちろんこれは人それぞれなので、全て否定しようとは思いません。ただ、日本の住宅は工業製品に寄りすぎていると言うのが持論です。

もっと手にとってじっくりと味わう。そんな価値をモノ・コト、そして建築家と言うヒトだ提供して満足する家づくりができるのではないでしょうか。

以上です。文章をまとめる力が弱い。笑

批判でも、意見でもコメントいただけると有り難いです。


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