ラストエンペラーのしゃぶしゃぶ
ラストエンペラー、愛新覚羅溥儀の愛新覚羅家に伝わるしゃぶしゃぶをいただけるお店が二子玉川にある。
日本食文化会議の理事長 松本栄文さんのお店、花冠陽明庵。
ここでしかいただけない季節ごとのお料理を楽しめる貴重なお店で、愛新覚羅家のしゃぶしゃぶは春のこの時期だけ!
1品目:梅里豆腐
先付け1品目は、水戸黄門様の愛したという梅里豆腐(ばいりどうふ)。
お出汁でおとうふを優しく炊き上げたお料理。
薬味の生姜をお出汁に溶いていただく。
優しい見た目と香り。
優しいお出汁の味と軽い口当たりのおとうふが、心も体もじんわりと温めてくれるお料理。
ちなみに、名前の「梅」は水戸偕楽園の名物の「梅」から取られていて、特に梅の味がするわけではないところが面白い。
2品目:土器の先付け盛り合わせ
前列右から
1. ニシン甘酢漬けの木の芽和え
甘酢漬けのニシンはお酢のトゲトゲしさもなければ臭みもない。ニシンのうま味と、木の芽の香りが楽しい。
2. ウニかまぼこ
花冠の定番。元来、かまぼこはこのようにしていただくものだったとのこと。
3. エビのにんにく醤油
この時期ならではの子持ちエビ。ニンニクの香りでいただくとエビの美味しさが際立つ。ついつい頭をちゅーちゅーしてしまう。
後列は右から
4. 赤かぶのお漬物
優しい味のお漬物。個人的にはこのしんなり感がたまらない。
5. ガンジー牛のクリームチーズと梅干し
日本に140頭しか飼育されていない、貴重なガンジー種の牛乳だけで作られたクリームチーズと梅干し。暖かくなってきたからか、冬に比べ牛乳の脂肪分が少ない。自然のままの味。
冬場はやはりコクのある口当たりが良いが、春先は少しあっさり目が良いと思う。
3品目:ホワイトアスパラガスと南蛮味噌
初めていただく組み合わせ。
一口いただくと、そのナチュラルさに驚く。
ピリ辛の南蛮味噌がホワイトアスパラガスの甘みを上手に引き立てる。
こういうお料理との出会いは、花冠陽明庵ならでは。
4品目:おもち(3つ)
花冠では、おむすびと同じくらいの人気を誇るおもち。
熱々をはふはふしながらいただく。
至福。
5品目:方煎茶
まだまだ先付けの途中なので、方煎茶も土器に乗って出てくる。
6品目:枝豆の塩漬け
一見すると普通の塩茹でに見えるけど、これは枝豆を塩漬けにしたもの。
赤かぶとは逆に、この枝豆は歯ごたえが楽しい。
7品目:新玉ねぎと三つ葉の和え物
出てきた瞬間に鰹節、三つ葉、玉ねぎ、ポン酢が香る!
新玉ねぎならではの、柔らかく優しい歯ごたえと甘みに春を感じるなー
8品目:愛新覚羅家の宮廷風しゃぶしゃぶ
やっとメインに到達。
まずはお鍋で温めた油に大量の山椒と唐辛子。
油で燻されて山椒の香りが立つ。辛みで若干目が痛い。
主役の牛肉登場。
山椒と唐辛子を掬った後、油に牛肉を投入。
しっかりと油でしゃぶしゃぶしてから、パクチーたっぷりのお出汁にくぐらせていただく。
最初に感じるのはパクチーの香り。
続いて牛肉の柔らかさ、お出汁と一体となった脂の甘み。
最後に山椒の残り香。
油でしゃぶしゃぶしているのに油っこさはなく、牛肉そのものの味をしっかり楽しめるいただき方。
締めはお出汁をご飯にかけていただく。
牛肉のうま味とお出汁のうま味が渾然一体。
素晴らしい。
食べ終わって思った
丁寧に吟味された食材で作られる季節ごとのお料理を楽しめるということは、本当に贅沢で幸せ。
そして、それぞれのお料理の持つストーリーやアイデアに今回も楽しませていただきました。
松本さん、ごちそうさまでした!
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