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良いマジック用デックの選び方

カードマジックを始めたい、と相談を受けたことが何度かあります。また、僕が通う大学の奇術部でも新入生に初めに教えるのはカードマジックです。

初めての人はどんなデック(トランプのこと)を使ったら良いのか。また、カードマジック中上級者が使うと良いデックは何か、について個人的な考えを話していこうと思います。

初心者のデックの選び方

まずある程度高品質な紙製のカードであること。プラスチックや低い品質のカードを使うと、カードの技法がやりにくかったり耐久性が低かったりしてマジックを練習すること自体が難しくなってしまうからです。

一般にマジシャンが使うのはアメリカのUSプレイングカードカンパニーで作られている『バイシクル』や『タリホー』などです。最近は台湾製のデックも高品質で良いものが増えてきています。
サイズは一般的なポーカーサイズと少し小さいブリッジサイズがありますが、後々のことを考えるとポーカーサイズを使うのが良いと思います。手が小さいことを気にする人も多いですが、手が小さくても超一流の技術を持つマジシャンは沢山いるので、大丈夫だと思います。

素敵なデザインのデックがたくさんありますが、特にこだわりがなければ、はじめは『バイシクル』を使うのが良いと思います。
値段が安く高品質ですし、一番使われているデザインであるため、多くのカードマジックのギミックが『バイシクルデザイン』で製作されているからです。

中上級者のデック選び

ここからは、カードマジックにある程度親しんでいる方を対象に個人的なこだわりを話していこうと思います。信じるか信じないかはあなた次第。


使っているデックは何色ですか。
赤?青?それ以外?
そしてその色にこだわりはありますか。

赤。
赤色のデックはマジックが見やすくなり、華やかな印象を観客に与えます。
赤色は観客の興奮、マジックの期待感を高めることに繋がり、より大きなリアクションをもらえる効果があります。
よって、特に理由がなければ基本的に赤いデックを選択するのが良いと思います。

青。
青は観客に冷たさを感じさせ、マジックへの集中力を高めてくれます。
メンタルマジックなどでは青いデックを使用することで、より落ち着いた緊張感のある演技になるでしょう。
デメリットとして、地味で印象に残りにくい点があります。また、マジシャンのパーソナリティによっては、硬く張り詰めた演技になってしまうことがあるので注意が必要です。

緑。
モナークスの緑やダレンブラウンデックなど、深い緑色のデックを使っていると、何故かお客さんにデックを褒めてもらえることが、かなり多くあります。
緑色のデックは気品のある落ち着いた雰囲気を作り、観客とマジシャンの両方をリラックスした状態にする効果があります。
ある程度フォーマルな現場でのマジックや、上品なマジックを演じたい人(自身のパーソナリティがそれに近い人)は緑色のデックを使うと良いかもしれません。

フェイスデザイン
時々、とても芸術的なフェイスデザインや華やかな色合いのデックを使っているマジシャンを見かけます。
友人とのプライベートな場でのマジックや、単に大富豪やババ抜きをする時はそれでも良いと思います。
しかし、基本的にカードマジックに使うデックは「視認性」に気を配る必要があると思います。
例えば、カードをお客さんに1枚覚えてもらわなければならない時に、複雑なデザインやカラフルな色合いのデックを使う。
お客さんは見慣れぬカードに覚えづらさを感じるので、負担をかけてしまうことになりNGです。
「カードを覚える」プロセスに心理的負担、忘れてしまうリスク等の余計なノイズを入れることになるからです。
なので基本的にカードのフェイス面は『バイシクルデザイン』のデックを選択するのが良いと思います。シンプルで視認性が良いからです。

バックデザイン
マジックを見せる時は『NOC』のようなベタ塗りのデザインよりも、『バイシクル』や『タリホー』のような複雑な模様のバックデザインが好ましいと思っています。
1、2個マジックを見せるだけなら良いかもしれませんが、15分以上のルーティンだと観客側に『飽き』を感じさせてしまうと考えています。
ベタ塗りやシンプルで無駄が削ぎ落とされたデザインのデックは無機質な印象を与えるので、ビジュアルあるいは芸術性の高いタッチで見せない限り、良い反応はなかなか得られないと思います。

これは経験則であり、僕のパーソナリティもあると思いますが、
『NOC』『チェリーカジノ』『プレイフェア』 『オービットV4』等を使ってマジックを演じた時は比較的お客さんの反応が鈍いです。
対して
『タリホー(サークルバック)』『モナークス』『レガリア』『オズマンドゴールドエディション』等を使った時はとても良い反応を得られます。

紙質
薄さや引っ掛かりの好みは十人十色で、どれが良いとは言えません。
硬いデックが良い人、柔らかいデックが良い人、薄いデックが良い人、滑りが良いデックが良い人、逆に少し引っかかる方が良い人などなど。

僕はカードマジックを始めてからずっと『タリホー』を愛用してきたので、『タリホー』の紙質がとても良く手に馴染みます。2018年製のものは特に質が良く、驚くほど柔らかいです。個人的な感想としてはバイシクルより柔らかいと思う。超オススメ。

ギミック
自分でギミックを製作する人でなければ、『バイシクル』という選択がベストだと思います。僕は『タリホー』を使いますが、良いギミックカードが『バイシクル』のデザインで使えなかったということが時々あります。
基本的にレギュラーの手順を演じ、使ったとしてもデュプリケートやダブルバック、ブランクやラフ加工程度なので、ほとんど自作でなんとかしていますが、『タリホー』でもっと色々作って欲しいと思うこともしばしば。
『バイシクル』のデザインだとギミックとレギュラーで統一したものを使用できるのでとても使い勝手が良いです。

まとめ
僕のように変なこだわりがなければ、最も基本的でギミック等が充実している『バイシクル』という選択が一番だと思います。台湾製の良いものも増えてきていますが、これから先も『バイシクル』がスタンダードであることに変わりはないと思います。

マイフェイバリッツ
個人的に好きなデックのリストを最後に書いておきます。

・タリホーサークルバック(赤) 2018年製
→使い慣れたデック。サークルバックは見栄えがよく一番好きなデザイン。2018年製は驚きの柔らかさ。

・Monarch Playing Cards(緑) by Theory11
→デック褒められ率No.1。お洒落で女性にウケが良い。

・White REGALIA by Shin Lim
→豪華でカッコいい。箔押しデックなのに使い心地はトップクラス。

・Orbit V4
→モノクロデザインNo.1。たまにネットショップに在庫が残っている。個人的ベストオブOrbit。

・OSMAND DECK / GOLD EDITION
→ゴールドスタンダード品質。間違いない。またOSMANDに行きたい。

・Derren Brown Playing Cards by Theory11
→ヴィンテージ感のある素敵デザイン。メンタルマジックするならコレ。

・CAT WIZARD PLAYING CARDS by 高重翔
→2020年ベストオブキュートデック。可愛さの暴力。品質も柔らかくとても良い。

・寿デック Designd by Ukyo Kurosawa
→最高の和風デック。縁起の良さはピカイチ。和室に似合うデックNo.1。

お読みいただきありがとうございました。

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