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外国語をつかう

子供の頃、英語好きでしたか?

私は、嫌いだった。英語なんて、できる気しない。単語ひとつひとつ覚えるとかありえないでしょ、記憶力ハンパなすぎ。現実味ない。

中学校で英語にぶち当たって以来、ずっと思ってた。高校でも英語が一番苦手だった。でもなぜか、「もっと大きな世界に、遠くに行きたい。でも海外ってどう行けばいいんやろ。なるほど、大学の外国語学部に行けばいいのか。」海外への憧れだけで、短絡的に外国語学部を目指し始める。結局1年浪人はしたけど、なんとか外国語学部のフランス語専攻に入り込んだ。なんでフランス語かはひとまず置いとく。

入ってみたはいいけど、大学で始めたフランス語は、英語にも増して難しかった。そして何より、また一から単語を覚える苦行。入学後1ヶ月で飽きた。単位が取れる必要最低限でのらりくらり。

でも、2年生になった頃、ふと思う。
「待て待て、海外生活楽しもうと思ってここに来たんだった。とにかく、留学の権利掴み取らな。」
そして単語の勉強を始めてみたりする。気持ちだけで態度が変わったようには思えないけど、学部の性質上枠が多いことも幸いして、なんだかんだ3年生の夏フランスに旅立つことになる。

そして衝撃。
いやさすがにね、惰性とはいえ2年間勉強していったからね、日常会話くらいはどうにかなるんかなって、授業とかは多少苦労するかもやけど周りに助けてもらいながらね、とか甘い夢を見てたんよね。
「何いってるかわからん、そんでもってこれ私の言うこと伝わってないよね、、、、」
正直授業どころじゃなかった、大学の入寮手続きだけでアップアップ。初の海外で、迷子にならなかったのが救い。

とにかくそこから8ヶ月はフランスで暮らすことが決まってたから、生きるために学ぶわけやけど、なんとも地道。大学の授業についていくために、夜間の語学学校にも通った。1ヶ月たてど、2ヶ月たてど、さして成長を感じられんのよね。留学しても変わらんてとほほ。

周りには母国語、英語、フランス語、等々を操る、マルチリンガルのツワモノが揃ってて、圧巻だった。その中に中国人の友達がいる。彼女はフランスの大学3年目。ある日大学で話しかけられて仲良くなった。フランス語はもちろんだけど、すごい流暢に日本語を話す。最初は日本語専門に学んでるんだろうなと思った。でも、驚いたことに、専門は経済。全然違う。しかも学校で日本語を学んだことはないんだそう。いや、驚いたのなんのって、聞き返しちゃったよ。「ほんとに完全に独学?」って。その子は、日本のテレビ番組が好きで、ネットで日本のテレビ番組見てるうちに日本語を身につけたんだって。すごいや。

才能。
そう一言で流してしまうこともできるかもしれない。
でも私は、逆になんか勇気をもらった。
量をこなした先にこんな未来があるんだなって。
学び方は、学校に行くだけじゃないでよくて、とにかく自分の「好き」を通じてたくさん触れればいいんやなって。
複数言語を自由に操る友達が目の前にいることが、勇気になった。

出かけては友達の言葉をメモし、部屋に戻ってはフランス語の音楽を聴いた。3、4ヶ月たった頃にやっと、聞くのも、話すのも、少しスムーズになってきたような感覚がふと出てきた。初めてフランス語が好きになった。

だからこそ、改めて思う。
「言うて言語は量。」
中学時代、定期テストで40点とったことがある、高校入試時点で12月覚えられなかった自分自身を振り返っても思う。

これさえ覚えれば大丈夫なんて近道はなくて。昨日の今日で、どころか、数週間でも変わりゃしない。数カ月でかすかに変化が見える程度。
大事なのは、その言葉を使って、知りたいことはなにか、そこ。友達の存在でも、アイドルでもいい、ドラマでも映画でもいい。
「何言ってるんだろう、真似したい!」

言葉は使ってなんぼ。

鍋に大きなエビが入っているとき、テンションが上がります。