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母親も必死だったんだなあ、ていう話

子供の頃、”大人”に対する偏見ってありましたか?

私はありました。
子供より力があるし、知識も多いし、
「大人は強いんだな」って。

それは両親、特に、母親に対して強く持っている思いだった。

1、昔の母

子供の頃、母はとにかく怖かった。
育児の全権は母親にあって、母からはたくさん怒られた記憶がある。
しつけに厳しかった。

小学生の頃までの印象深いのを挙げると、
・超絶厳格な門限
  1分でも遅れると鍵が閉まって玄関で足止めを食う。
・就寝夜9時厳守
  これがなかなかの鬼門。みんなが見てる人気のテレビ番組は夜9時以降のがほとんど。花より団子も夜10時〜だったから、翌日の学校の話はちんぷんかんぷん。
・タイムリミット付きの食事
  タイムリミットまでに完食できないと、食事ごとベランダに移動。完食するまで部屋に入れない。眠気が襲う日の晩ご飯は試練。

なんかね、とにかく怖かったのは覚えてる。
この頃の母の写真にはキホン笑顔はない。
カメラを威嚇するかのように、睨みを利かせる姿が写ってる。
抜け目がない。

2、現在の母

それが、子供だった私も大きくなって、
若くてギラギラしていた母も丸くなって、
ほんのここ最近は、変わってきた。

先日、母が50の誕生日を迎えたので、
「今日お母さんが好きなもの食べようよ。なにが食べたい?」
と尋ねてみた。

そしたら、途端にキャっと顔を綻ばせて
「いいの?」とその場で小踊りした。

少女のまま大人になったような人だと、薄々気付いてはいたけれど、
そんなに喜んでくれるんや、とびっくりした。

聞いてよかったな。
お母さんなに食べたいんかなー?
なんて思っていると、すぐに返事が返ってきた。

「梅を見にいきたい!!」
両手を顔に添えて、迷いのない瞳。

いや、待て待て、食べ物ちゃうくね?
と内心思いつつ、

だけど、やった!やった!と子供のように飛び跳ねる姿を見ていると、
「まあ、いっか」と思って、行くことに決めた。

3、偏見だったんだと気付いた

過去と現在ではまるで違う。

今ポップコーンが弾けるようにはしゃぐ母を見ていると、かつて支配者のように威圧的に厳格に振る舞っていた、カメラにまで敵対心を剥き出しにしていた母が、まるで嘘のように感じられる。

実際、今の母だけを見て、厳しい過去を想像するのは不可能だろう。

ほんと、笑っていれば、天使のような人だから。

なにが母をそうさせていたんだろう?
そう考えると、子育てがそうとう重圧だったんだろうなぁって。

若くして3児の母になった母。
夫の仕事の影響で慣れない土地で子育てを始め、”ザ昭和の仕事人”って感じで仕事漬け・単身赴任も多かった夫には、なかなか相談できなかったと思う。

ちゃんとやらなきゃ、、!
不器用だけど、気合いだけは誰にも負けない。
意地が彼女を母親にした。

肩から荷が降りたように軽やかに笑う母を見ると、なんだか涙がこぼれそうになる。

まとめ

もともと強い人なんていないし、完璧な人なんていない。
”大人は強い”って偏見だったんだなぁ、と思う今日この頃。

鍋に大きなエビが入っているとき、テンションが上がります。