大和田博斗

旅の中で感じた役に立たないことを何となく綴るノート

大和田博斗

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最近の記事

ベトナムの風俗で「童貞」を捨てた話

この世に生を受けた時点で付与されるステータス異常の童貞は、男子が年齢を重ねてゆくにつれ、その身を蝕んでゆく呪いであることは世の中の男子諸君はご存知だろう。その剥き身の刀が然るべき鞘に仕舞われる日が来ないことには、心が休まる日は無い。 大学三年生の夏、私はベトナムを自転車で縦断していた。 その道中、中部の主要都市であるフエで日本人宿に泊まり長期滞在者達と飲み会をしていた際、君にその気があるならベトナムの農業系のNPOに参加してみないかと誘われる機会があった。こんなチャンスが

    • 旅に出るために「学生」を捨てた話

      学生という身分が非常に強い力を持っているということは言わずもがな全国民が知っていてしかるべきだろう。小学生は最高だし、中学生になれば異世界転生もできる。高校生になれば軽く世界を救え、大学生はダイビングをしながら酒を飲める。学生であれば四肢が少し吹き飛ぼうが即座に再生し、どんな悪とも拳一つで分かり合える。 そう。学生は全てにおいて特別である。 先日私は新潟大学をめでたく卒業し、めでたく無職になったわけだが、実を言うと大学院の進学は3月上旬時点では決まっていた。まだまだ学生気

      • 日本食が恋しくなるとか言うバックパッカーへ

        ふざけるのも大概にして欲しい。適当に数回るだけの旅をしているからそういう腑抜けた考えが浮かんでくるんだよ。 大体外国にいるのに日本の飯の事なんか考えるな。食欲が淫乱なんだよ。デートしてる時に他の女の事を想像すんじゃない。そんなんだから日本の梅毒患者が増加してんだよ。 もっと文化に深く融け込んで波長をそれぞれの国に合わせてゆく。中途半端な気持ちで旅していたら、半端な体験しか出来ない。没頭しろ。 暑い国、寒い国、乾燥した、湿潤な、狭い、広い…そういった特徴から培われた国民性が

        • 住所不定無職が治験バイトを受けた話

           ごきげんよう。新学期も1月が過ぎようというところですが皆様如何お過ごしでしょうか。現在、私は横浜の病院で治験を受け病室のベッドに幽閉され、同胞の無職のおっさんたちとそれはそれは愉快な共同生活を送っている。  治験バイトといって直ぐに内容が分かる方も少ないと思うので軽く説明すると、期間中にお薬を何度か服用し、毎日採血を受けベッドで安静にしているだけの簡単なお仕事だ。報酬は原則1日2万計算であり、私の場合は5泊6日×2のため事前検診の分を含めると総額22万3000円が支給され

        ベトナムの風俗で「童貞」を捨てた話

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