なぜ、「彼ら」は炎上するのか?
ポリコレ棒を振り回すことも好きではない。いくら批判したってキリがないこともわかっている。それでも、言わずにいられない。その言葉に傷つけられている人たちの顔が思い浮かぶから。
東京都江東区議会の星野博議員(自民党)は、今月20日に開催された議会において、養子が保険金目的で“母親”を殺害した事件を挙げ、パートナーシップ制度を導入することで「このような事件が増加するのでは」といった発言をした。
星野議員は取材に対して、「制度が導入されれば、それを悪用する人たちがいるわけで、そのことを言っている。パートナーシップ制度を利用する人たちが絶対に悪いことをするということではなくて、悪用する人に区はどう対応するのかと聞いただけ」と答えている。
パートナーシップ制度は、政府が同性婚を認めていないなか、当事者たちが中心となって少しでもその不備を補えるようにと、まさに血の滲むような思いで実現させた制度だ。そうした過程を知っているだけに、そのパートナーシップ制度と殺人事件を結びつけられることには正直、悲しみを覚えるし、そのデリカシーのなさには辟易とさせられる。
もちろん、星野議員ご自身がコメントしているように、彼に悪意などなく、シンプルに「制度の悪用を防がなければならない」と考えただけだという可能性もある。しかし、だとしたら「制度の悪用がなされないように、養子縁組も婚姻制度も撤廃すべきだ」という主張になるはずなのだが、どうしたことか星野議員からこれまでそうした主張は聞かれてこない。なぜ、パートナーシップ制度だけが「制度悪用の温床」とされてしまうのかはお聞きしてみたいところだ。
しかし、より問題なのはここからだ。
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