堀江貴文さんの株が、ひたすら爆上がりした話。
「G1サミット」という会合に参加させていただくようになってから、10年近くになる。グロービス経営大学院で学長を務める堀義人さんが「日本版ダボス会議」を目指して立ち上げた会議で、政治・経済・文化など様々な分野の第一人者として活躍している人々が集い、多岐に渡る社会課題について議論し、学び合う場となっている。
2016年には、このG1サミットから『日本を動かす「100の行動」』という書籍が誕生した。G1サミットのなかで議論されてきた日本が抱える課題と、その解決策を100の項目に分けて記したものだ。以来、G1では「100の行動アワード」なる賞を創設し、この本に書かれている100の項目について熱心に行動し、優れた功績を残したメンバーを称えている。
第6回となる今年のアワード受賞者は、前ワクチン担当大臣の河野太郎さん、デジタル副大臣を務める小林史明さん、産婦人科医の宋美玄さん、そして堀江貴文さんの4名だった。表彰式の後には、この4名の方々によるトークセッションが行われるとのことで、私もスケジュールを調整して会場へと向かった。4名それぞれのスピーチやトークセッションはさすがに刺激的で、「動かない壁をどう動かすか」という示唆に富んだ内容だったのだが、なかでも感銘を受けたのは、堀江貴文さんのお話だった。
堀江さんの受賞理由は、「HPVワクチンの積極的勧奨の再開に関する行動」というもの。HPVワクチンとは、主に子宮頸がんに対して予防効果を持つと言われるワクチンで、日本では2013年に12〜16歳の女子を対象として無料導入された。しかし、その後、若い女性がワクチン接種後に痙攣する動画が世間で注目を浴びるなど、強い副作用が出る可能性についての報道が続き、厚労省は「積極的推奨」をやめたという経緯がある。
こうした経緯もあり、日本における最終接種率は、2019年において0.3%。WHO加盟国の平均が約53%であることを考えると、飛び抜けて低い数字であり、欧米からも厳しい目が向けられていた。日本政府によるがん統計では、2017年における子宮頸がんの新規症例は約1万1000人、死亡症例は約2800人。HPVワクチンの「積極的推奨」再開が望まれる状況だった。
多くの政治家が、ワクチン反対派からの攻撃を恐れて「積極的推奨」再開へ舵を切ることを恐れるなか、その抜群の発信力を生かしてHPVワクチンを推奨してきたのが堀江さんや、今回同時受賞した宋美玄さんだった。こうした方々の行動も手伝って、昨年11月、日本でも8年ぶりにHPVワクチンの積極的勧奨の再開が通知されたのだ。
壇上の堀江さんは、モデレーターを務めるG1サミット代表・堀さんから、「なぜ、ここまでこの活動に力を入れようと思ったのか?」と聞かれ、こう答えた。
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