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“ベビーカー蹴り男”から考える「マナーと公共」。

今週、最もショックだったニュースと言えば、どうしてもこれになる。

乗客が5人ほどしかいないバスの車内で、ベビーカーを使用する女性に対して「邪魔なんだよ! 畳めやこのブタ!」などと暴言を吐いた上、ベビーカーを蹴ってきた男がいたのだという。

読んだだけで気分が悪くなる。もう許せない気持ちでいっぱいだが、そうした憤りを感じたのは私だけでなく、多くのネットユーザが、「こうしたケースがなくならないから、どんどん少子化が進んでいくんだ」「もしも相手が男性だったら、こんな行為には及ばないはず」など、このニュースに苦言を呈している。一方で、相変わらず「私が母親だった頃は、周囲に気を遣って抱っこ紐で抱えていた」といったコメントもあり、「母親の敵は、かつての母親」といった見るに耐えない状況も起こってしまっていたりする。

そもそも、これは現時点でマナーの話ではなく、ルールの話になっている。国土交通省のバリアフリー政策課は、この件に関して「電車とかバスでは、ベビーカーは基本的には折りたたまないで、そのまま乗車することができるということになっている」とコメントを出している。つまり、国が「ベビーカーはたたまなくていい」というルールを定めているのだ。

しかし、このルールが周知されているとは言い難く、むしろ数年前までは、車内でも「ベビーカーは折りたたんでください」といったアナウンスが流れていたほどで、「ベビーカーをたたむのはルール」といった認識でいる人も少なくないのかもしれない。

このように、「公共の場でどのように振る舞うのか」については、多くのトラブルが起こりやすい。だからこそ、「マナーが大事だ」ということが言われるわけだが、はたしてそうだろうか。私は、「マナーが大事」という定説には疑問を抱いている。

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「乙武洋匡の七転び八起き」
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