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ホームレス支援の活動に参加して、つくづく自分のことが情けなく思えた夜のこと。

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先月、大阪でホームレス支援を行っている認定NPO法人「Homedoor」の活動に参加させてもらった。今年6月、代表を務める川口加奈さんと、理事を務める岩田真吾さんからお誘いを受けたのがきっかけだった。結論から言うと、参加して本当によかった。多くの気づきがあったことと、自分がいかに情けない人間であるかを再確認できたからだ。

当日、まずは18時に大阪市北区にある「Homedoor」の事務所に集合……するはずだったのに、あろうことか2度も電車を乗り間違えて、40分もの大遅刻をぶちかました話は、またいつかの機会に。

「天神橋筋六丁目駅」から徒歩5分。

19時を過ぎると、この日の参加者が続々と集まってきた。総勢20名ほど。まずは2手に分かれて、「夜回り」の準備。一方のグループは、お弁当や缶コーヒー、マスクやカイロなどを袋詰めするチーム。

チームワーク良く、流れるような作業。

もう一方は、事務所の住所などが記載されたプリントに手書きのメッセージを書き込み、それを四つ折りにしていくチーム。総計90枚を用意。

黙々と作業に勤しむメッセージチーム。

私は袋詰めだと足手まといになりそうだったので、メッセージチームに加わることに。

なんでドヤ顔w
「どんな漢字にも必ず振り仮名を振ってください」と指示を受けたのが印象的でした。

さて、準備も整ったので、5〜6人ずつのグループに分かれ、いざ出発!

この日から一段と冷え込みが厳しかったので、しっかりと防寒。

商店街を抜けて行き、まずは公園に向かいました。毎月第4土曜日に夜回りが行われることを知っているホームレスの方々が、私たちの到着(というよりも弁当)を待ってくれているというのだ。

代表の川口さんによると、ホームレスにも大きく分けて2つのタイプがあり、ある程度グループを組んで行動する人々もいれば、個人で行動する人もいるという。前者は「どこで、いつ、どんな支援が受けられる」といった情報が共有されやすいのに対して、後者だと情報が入手しにくいこともあり、より生活が困難に陥りやすいという。

というわけで、ここからは“一匹狼タイプ”を探して回ることに。

公園をさらに奥へと進んでいくと、川口さんが「ここの茂みの奥、車椅子は行けますか?」と。「え、ああ。たぶん行けると思いますけど……」。私の返答を聞いた川口さんは、ずんずんと茂みの奥へと進んでいきます。

あ、ホントだ。いらっしゃった!

川口さん「◯◯さん、こんばんは。変わりない? お弁当、ここ置いとくからね」

そこから、さらに1時間以上をかけて歩き回った。高架の下や茂みの奥に、彼らはいた。段ボールでつくった囲いのなかで、寒さを凌いでいた。そんな彼らに、川口さんは引き続き声をかけていく。

「◯◯さん、こんばんは。変わりない? お弁当、ここ置いとくからね」

「なにか困ったことがあったら、いつでもセンターに来てよ」

川口さんは、この活動を14歳の時から続けている。

「尊いなあ……」

時間が経つにつれて、私は川口さんに対して尊敬の念を強めていった。高架の下や茂みの奥に暮らすホームレスの顔と名前を一致させ、気さくに声をかけていき、彼らもまたその呼びかけに応えていく。そこには信頼関係さえも垣間見られた。少なくとも“関係性”が存在していた。

一方、私はと言うと——。

となりを歩く川口さんが「あそこにいらっしゃいます」と指をさした方角に目をやっても、「え、どこ……」と戸惑う私がいた。近づいてみて、やっと「本当にいらっしゃった……」と驚かされた。

見えていなかった。気づけていなかったのだ。ホームレスの存在に。

視界に入っているはずなのに、認識できていない。その事実に、私は愕然とした。私自身、日頃から人権だなんだと言っておきながら、ホームレスの存在を“人”としてではなく、“景色の一部”としてしか認識できない人間なのかと思うと、つくづく自分が情けなく思えた。でも、そのことに気づかせてもらえただけでも参加した意味があった。

さあ、ここから私にできることは「伝える」ことだ。こうしてnoteで記事を書くことはもちろんだが、やはり活動を続けていくには資金が必要になる。もちろん、その大部分は寄付から成り立っている。

「どれだけ失敗したとしても、
何度でもやり直そうと思える社会」をつくるために。

私は、この理念に心から賛同する。

もしもご賛同いただける方がいれば、ぜひ上記の「寄付をする」というリンクをクリックしてみてほしい。1口1000円のサポーター会員になるだけでなく、様々な支援の方法が示されている。

また関西方面にお住まいの方には、活動にも参加してみていただければ幸いだ。ちなみにこの日は、中学生の娘さんを連れてきているお父さんもいらして感激した。

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