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クリエイター × 数字 = 最強マーケター?

某IT企業でマーケティングや企画を担当している元デザイナーです。
このnoteは「モバイルアプリマーケティングアドベントカレンダー2020」の19日目の投稿です。
いつもお世話になっているReproさまにお声がけいただき参加させていただきました。

早速ですが、
上の画像の数式を見たことありますでしょうか?
この数式は、「最も美しい数式」といわれる「オイラーの等式」です。

この等式は、ネイピア数 e、虚数単位 i、円周率 π の間に成り立つ等式ですが、以下5つの数学定理を含んでおり、

(1)1:乗法に関する単位元
(2)0:加法に関する単位元
(3)π:円周率
(4)e: ネイピア数
(5)i:虚数単位

かつ、以下3つの算術演算によって結び付けられています

・加法
・乗法
・指数関数

分野のことなる3つの定数(π、 e、 i)が、
ここまでシンプルな等式で関連付けられていることが、
美しい数式といわれる由縁でもあります。 
オイラーの等式でいう「美しさ」とは、あくまで「数学的な美しさ」です。
では、「芸術的な美しさ」を兼ね備えた数式は何でしょうか?

単に美しさといっても、その判断基準は人様々ですが、
古来より、人々が美しいと感じる比率などで「黄金比」や「対称性」「フラクタル」といったものがあるので、それに近い比率の数式(視覚的な形状)が芸術的に美しいのでは?というのも一つの回答にできそうですが、
人が、視覚的に認識したものを「美しい」と感じるプロセスは、言わば「認知」の一種であり、プロセスを突き詰めると「脳科学」「神経美学」「発達心理学」「認知科学」という学問の領域になります。

つまり、「芸術的に美しい数式」を知るには、「美しい」と感じた時に脳内で起きているメカニズムを解き明かす必要があります。

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「美しいと感じる」メカニズム

「美しい」と感じるメカニズムを解き明かすことは容易ではなく、科学的にも全てが解明されているわけではありません、諸説ありますが、ただ一つ、有力な答えとしていえること、それは「美しい」と感じる能力が、
種の保存 優位性」のために備わっている、ということです。

例えば、「美しい」と感じる瞬間として、
整然と整理された室内を見た時、大部分の人は「美しい」と感じるでしょう。
そのプロセスを分解すると
整然と整理された室内は美しいと感じる
なぜ、美しいと感じる?(人が認知できるレベル)
 → 秩序があり、無駄がないから
なぜ、秩序があると美しいと感じる?(人が認知できないレベル)
 → 秩序ある環境が「種の保存の優位性」に有効だから
 → 秩序ある環境は活動を効率的にする
 → 効率的な環境は生命の繁栄に有利
 → 生命の繁栄に有利 = 種の保存の優位性

はい、仮説レベルですが、人が「美しいと」と感じる理由、
その一つの答えが出ました。

人の感覚、感受性は、育った環境要因に大きく左右され、個体でも大きく差異が出ますが、根本的には遺伝子に予め組み込まれており、その最大の目的が「種の保存」です。

さて、前置きが長くなりましたが、
マーケティングとは、前述したように「人が認知できないレベル」の深層心理を探求し解き明かす作業に似ています。

ですが、ビジネスの世界では仮設を立てただけでは机上の空論に過ぎず、実用性もないので、説得力を伴う裏付けが必要となります。
その裏付けが「数字」です。

さて、それでは次の「式」が何を意味しているか分かりますでしょうか?

ベイズの定理

これは、「ベイズの定理」という式で、統計学の定理になります。
この、ベイズ統計は昨今、ディープラーニングや人工知能で活用されるようになり、迷惑メールフィルタ、音声翻訳など、私たちの身近なところで活用されている統計学になります。

統計学は大きく分けると、ベイズ統計学、記述統計学、推計統計学、の3つに分けられますが、この定理はベイズ統計学の根本となる定理です。

ベイズの定理_イメージ

ベイズ統計の最大の特徴、それは

人の思考法に近い」ということです。

確立には、
客観確立(客観的確立)と、
主観確率(主観的確率)がありますが、
ベイズ統計学では、②の「主観確率」を扱います。

客観確率と主観確率の違い

客観確率
世界の中に存在する頻度や傾向性など、主観とは独立に存在するものとしての確率を指し、客観確率は実験または理論的考察(思考実験)から求められ、客観的な観測結果と比較できるランダムな事象についての確率。
例えば、サイコロを繰り返し投げ、各目の出る頻度が6分の1であった場合、各目の出る確率は客観的に6分の1と推定することができる。

主観確率
人間が考える主観的な信念あるいは信頼の度合で、客観的には求められない確率。例えば、サイコロを投げて1が出る確率が2分の1であると個人が想定している場合、それがその個人にとっての主観的確率といえる。

というように主観確率を扱うベイズ統計は、
データが不十分でも、確率を導きだすことができる
ということが最大の特徴です。

更にもう一つの特徴として、
”ある事態が発生する確率”を最初に設定(=事前確率を設定)した後、さらなる情報が得られる度に”ある事態が発生する確率”(=事後確率)を更新していき、本来起こるであろう事象の確率(主観確率)を導き出す。
というように、後から得られたデータから確率をアップデートしていくことができるのもベイズ統計の特徴です。
このアップデートを「ベイズ更新」または「ベイジアンアップデート」といいます。
上記の言葉をベイズの定理に当てはめると、以下になります。

【ベイズの定理】
P(A|B)=P(A)×{ P(B|A) / P(B)}
 P(A|B):事後確率
 P(A):事前確率
 P(B|A):ある状況において、そのデータが得られる確率
 P(B):平均して、そのデータが得られる確率

というように、ベイズ統計は「人間の思考法に近い」統計手法であり、少ない情報から判断しなければならない確率問題に対して効果を発揮します、前に述べたように人の深層心理を探るようなマーケティングとも非常に相性が良いといえます。

次回、このベイズ統計を利用したマーケティングへの活用法について、解説していきたいと思います。




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