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「あるある」が楽しい!『すいかのたね』

『すいかのたね』
 グレッグ・ピゾーリ 作
 みやさかひろみ 訳
 こぐま社
 2021年6月

ワニくんは、すいかがだいすき! デザートにするのはもちろん、朝・昼・晩ごはんにもすいかを食べています。

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ところがある日、うっかり種をのみこんでしまい……。

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おなかから芽が出てきたらどうしよう! と、だれもが一度は思ったことがあるのではないでしょうか?

私も子どものころにすいかの種をのんで、こわくなってしまったことがあるので、あれこれ心配するワニくんのすがたに、おおいに共感しました。

そして、アメリカに住む作者がこういう絵本をつくるということは、きっとこれは世界共通の「あるある」なんだなとうれしくなりました。

作者のピゾーリさんのYouTubeを見ると、ワニくんが小さな容器に入った塩をすいかにかけるシーンまで出てきます。これも「あるある」のひとつなのでしょうね。

この絵本、ストーリーがおもしろいだけでなく、絵もとってもすてきなんです。

使っている色(※)や線はシンプルなのに、ワニくんの表情がとてもゆたか。また、わざとインクをかすれさせたり、線からずらしたりして、さらに味わい深くなっています。

(※色は、赤、緑、黒、つまり「すいかの3色」のみ! 少しだけある茶色も、赤と緑を重ねてつくられています。しかも「YMCK」ではなく「特色」です!)

きれいな色の再現に、版元のこぐま社も力を入れていたので、ぜひすみずみまでごらんになってみてください。

一番最後の黒いページの絵は、読んだ人によって感想がちがってくるかも……? それぞれの解釈で楽しんでもらえたらうれしいです。

夏といえば、やっぱりすいか! 夏の定番絵本として長く親しまれますように!


▼こぐま社の『すいかのたね』紹介ページ

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