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もう一度、お金と幸せの関係を整理し直してみる

以前お金と幸せについて書いたnoteで、「ダウンシフターズ 減速して生きる」という本を紹介しました。

その中で「本当に自分にとって大切なものは何か?」を考え抜くことの大切さについて書きました。

今回はそれを更に深めて、お金と幸せの関係を整理し直してみたいと思います。

私は、会社を続けるか辞めるか悩んでいる人の相談を受けることがあります。
その時に感じるのは、相談する人のお金に対する漠然とした不安です。
相談者が答えを出すためには、お金とどう向き合うかを考えないといけないと思うのです。

まずお金の問題は、稼ぐと使うの2つの問題に分けられます。
稼ぐの奥には「働く」、使うの奥には「選択する」という問題が潜んでいます。
今回は「お金を使う」に特化してお話したいと思います。

■お金を使う=人生を選択する

お金を使うことは、人生を選択することと同じ意味だと思っています。
「自分の幸せとは何か」という問題につながっているのです。

例えば物を買うと、便利さや心地よさなど得られるものがあります。
しかし物があふれると、場所をとられる。部屋が狭くなり自分の居場所がなくなる。
整理、片付けなど維持が大変になり、時間がとられ気持ちもそわそわしてしまいます。
お金を使う中で知り合った人たちと付き合うと、お金を沢山使うことが当たり前になる。更にお金が必要になってしまいます。

こうやって、お金を稼げば稼ぐだけ、お金を使えば使うだけ、お金を求めてしまう。常にお金のことを最優先に考えてしまうという悪循環に陥ってしまいます。

■矛盾した経済システム

このような、お金を最優先にしてしまう考えの原因は「不安」です。
今の低成長時代に、ひたすら消費拡大を模索し続ける矛盾した経済システムに根本原因があると考えます。
消費者は、毎日沢山の商品を売るために様々なマーケティングで感覚と感情を揺さぶられます。煽られ続けるのです。
そして買うという選択を迫られます。

感情の中でも、一番煽られやすいのは不安なのです。
不安が煽られて、紹介される様々の物、コトが必要な気がしてしまいます。
どこまでが現実で、どこまでが虚構か分かりません。
その中でも物やコトへの欲望、興味は膨らみ続けます。同じ物では満足できなくなるのです。しかし手に入れてもだんだん喜びは少なくなります。
その一方、購入することで自分にのしかかる負担は減らないのです。

■お金以外の制約に目を向ける

お金があっても、何でも出来る訳ではない。
何故でしょうか。
実はお金以外に制約があるのです。
お金以外の制約とは、時間、人間関係、自分の心身です。
これらは有限であり、お金があったからといって思い通りに操作できるものではありません。
このことは実は分かっていたとしても、あまり意識されていないように感じます。

お金を最優先にしてしまうと、他の制約によってストレスを抱え、またお金を必要とするという悪循環に陥ってしまいます。
お金を最優先にしない。お金以外の制約要因にも目を配り、ボトルネックにしない。そのためにお金も使う。これが効果的です。
例えば、時間を生み出すためにタクシーを使う。洗濯乾燥機、食洗機を使うなど。
人間関係を高めるために、家族、友人たちと食事に行く、旅行に行く、贈り物をする。手紙を書く。心身を快適にするためにエステに行く、ジムに行くなどがあります。

制約要因によるボトルネックがなくなると、これまでの悪循環が好循環に変わっていきます。
生み出した時間を良好な人間関係に使えます。子どもとの時間。家族との時間などです。
良くなった人間関係により、助け合いが起こり時間が生み出されることもあります。
時間に余裕が出来ると精神的にも楽になる。人にも優しく出来るようになります。

しかし制約要因に目を向けていろいろお金をかけて実践していても、要因全てを見渡している人は少ないのではないでしょうか。
例えば時間をお金で買っても、空いた時間をまたお金を稼ぐことに使ってしまう。
エステ、服、趣味など、自分の喜びのためだけにお金を使ってしまう。
これでは逆にボトルネックを増やしてしまいます。

これも不安が原因です。社会に煽られて、見る目、選択を誤っているのです。
お金、時間、人間関係、自分の心身、これら全てを見渡して、全体として向上させることを目指すのです。

橘玲氏の「幸福の資本論」という本に、「幸福な人生の最適なポートフォリオ」が紹介されています。
自分の人生を金融資産、人的資本、社会資本に分類し、その最適なポートフォリオをつくろうというものです。
私の言うお金は金融資産、時間と自分の心身は人的資本、人間関係は社会資本に当たります。
お金だけを見るのではなく、全体を見ようという考え方はこの本と共通です。

選択を変える、お金の使い方を変える、制約要因、ボトルネックに注目しお金を使う、そうして空いた余裕を使って悪循環を好循環に変えることは可能です。
着実に人生が前に向いていることが分かると、不安は薄れてきます。
自信をもって前に進むことが出来るのです。

「ダウンシフターズ」という本は、私の固定概念を覆すインパクトがある本でした。
お金だけに注目させられて、振り回されている状況を変える。
本当に必要なお金はどれだけか?を考える。
そして時間、人間関係、自分の心身それぞれを豊かする方法を選択し、自分の幸せをつかみ取るためのプロセスが書かれています。
いかに自分が不安からお金だけに目を向けて、他のことに目を向けられていなかったのかに気付かせてくれました。

「会社を辞めるかどうかの前に、お金に固執している状態を抜け出す。」
これが、会社を辞めようかという相談を受けた時の私の答えです。
会社に所属しながら、時間、人間関係、自分の心身を向上させることを考える。そこにお金を振り向けられないか?
ボトルネックを、他の要因を活用しながら引き上げられないか?を考えるのです。

もしそれが出来ないほど会社で疲弊しているのであれば、自分に合った環境を求めます。
環境を変えることで、最適なポートフォリオを見つけることが出来るのです。

■まとめ

こういったお金の使い方=人生の選択の仕方を意識することで、お金の見え方が変わってくると思います。
お金は当然大事だけれども、縛られすぎず、盲信もしない。客観的な見方が出来るようになるはずです。
不安を煽る消費社会にも、少しだけ距離をとって見ることが出来るようになるはずです。
様々な方法で不安を癒やしながら、自分にとっての幸せを求めていきましょう。

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