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職場で信頼と自由を獲得するための3つの方法

 最近、職場に新人さんがやってきました。
慣れない職場で緊張感を漂わせながら、周囲の人に分からないことを質問しながら頑張っておられました。
 そんな姿を見て、私が最初に職場に入った時のことを思い出しました。
 職場の人たちや、仕事内容が全く分からない中でどうやって仕事を覚えていくか?職場に馴染もうかと常に考えていてました。
 気を張り詰めているので、1日が終わると疲れ切って帰っていました。
 そんな昔の事を思い出すにつけ、新人さんにはこれからも出来るだけ情報をお伝えし、応援しようと思いました。

 今回は、自分が新しい職場に入る時、気をつけていたこと3つをお話しようと思います。

■最初からグループに入らない

 まずは、最初に優しくしてくれる人を盲信してはグループに入ってはいけないということです。
 盲信し、すぐにグループに入ってしまうと、いざという時抜け出せなくなってしまいます。
 入社した当初は孤独で、仕事も上手く出来ないので、藁にもすがりたいような気持ちになってしまいます。
 その時優しく声をかけてくれる人は、嬉しくて、全面的に信頼してしまいます。
 そして、その人のグループに入れば何とかなると思い、全面的にグループに身を委ねてしまいがちです。
 グループに所属すれば、自分を安全な場所に置いてくれるかもしれません。
 しかし自分とグループの考えが食い違った時、それを口に出しづらくなります。気がつけば、自由は確実に奪われています。
 新しい環境に飛び込んだ時は、認知が歪むことが多いです。
 「認知」とは、心理学用語である対象についての自分自身の受け止めのことです。
 周りの人が自分のことを「出来ない奴だ」と言っているように感じる。
 一方、優しい言葉をかけてもらえると、その人の事は全て信頼出来ると思ってしまい、全面的に信じてしまうなどです。
 冷静に考えてみれば、そんなはずはないのですが、孤独の中ではついそういった受け止め方をしてしまうのです。
 だから最初に優しくしてくれる人に対しては、素直に感謝の気持ちを伝え教えてもらう姿勢を継続しながらも、一歩引いて冷静でいることをお勧めします。
 グループに入ることを勧められた時は、理由をつけてやんわりと断る。
 仕事上では全面的に協力するのですが、馴れ合いは排除するように努めるのです。

■与えられた仕事に全力をあげる

 次は与えられた仕事に全力をあげるということです。
 当たり前の事を言っているでしょうか。
 では皆さんは、実際にどこまで出来ているでしょうか?
 人間関係など様々なことが気になってしまい、中途半端になっていないでしょうか?

 仕事をする上で覚えるべきもの中には、明示的なものと、暗黙的なものがあります。
 仕事をする中で、つまづく理由の多くは暗黙的な知識を知らないためです。
 例えば、明確にされていない意志決定の手順、必要な物品の場所、頼れる同僚、先輩の存在、仕事を進める上で使える制度などです。
 仕事の手順は教えてもらったのに、仕事が前に進まない。実際にやるためには、暗黙的に知らないといけないことがあり、それを知らないから仕事が全く前に進まないのです。
 しかし一般的に上司や先輩が仕事を教える内容は、明示的な手順ばかりで、暗黙的なものはありません。
 何故なら教える人が当たり前に感じていて、仕事で使っていることを意識していないからです。
 しかし、教えられた手順通りにやろうとすると暗黙的な知識がないので前に進まない。
 先輩や同僚に聞いて、少し前に進むとまた分からない。
 続けて先輩や同僚に聞こうとすると、あからさまに嫌そうな顔をされる。
 何だか自分の理解が悪いような気がして聞くことを躊躇する。
 そして仕事の進みが遅くなる。誰でも陥ってしまうことだと思います。

 先輩や同僚が、あえて暗黙的な知識を教えないということさえあるのです。いわゆる情報の抱え込みです。

 だから、仕事を教えてもらうときに気をつけるのは、出来るだけ暗黙的な知識を拾い出すのです。
 暗黙的な知識を早く、沢山獲得するために、積極的に先輩や同僚に聞きましょう。
 物品の場所や頼りになる人などを教えてもらう時には、同行してもらって現物を確認したり、直接相手を紹介してもらいましょう。
 暗黙的な知識を早く身につけるのです。暗黙的な知識を早く得てしまえば、職場の中で強力な武器になります。

 ここで注意すべきなのは、短期的な成果を求めすぎないことです。
 暗黙的な知識は特定のグループに所属すると得やすくなります。
 グループはその暗黙的な知識をあえて抱え込むことで力を持っている事もよくあります。
 だから短期的にはグループに所属することによって、職場にすぐ馴染み、成果もあげやすくなります。
 だから多くの人がグループに所属することを望み、グループに受けの良いアピールやパフォーマンスをしたくなるのです。

 しかし先に述べたように、グループに所属することで自由は確実に失われます。自分が得られるはずの成果を邪魔される場合だってあります。
 グループは会社の求める成果より、集団の維持を優先します。
 集団の維持を損なうような個人の行動は邪魔されるのです。
 一方で会社で仕事をする目的は何でしょうか?成果をあげることです。集団を維持することが目的ではありません。
 グループへのアピールとなる派手なパフォーマンスは、積み重ねた知識や経験が裏打ちされてなければ失望も早いです。会社から見放される場合だってあります。
 だから短期の成果は追わず、ひとつひとつ知識と経験を蓄えて、長期的に成果を得ることを第一に考えましょう。

■職場を観察する

 職場を冷静に観察し、人と沢山話をして沢山の情報を集めましょう。
 その中に暗黙の知識が隠れています。
 表面上のルールの下に、別のルールが隠れていることもしばしばです。
 別なルールが存在するのに、表面上のルールや論理で相手を説得しても納得はしてもらえません。

 上司に提案をして良い返事がもらえなかった時、プロジェクトの進み具合が芳しくない時など、ルールに則って最善の手を打っているつもりなのに、上手くいかないことがあります。
 その時は、別のルール、背景が隠れていることが多いです。

 例えば、意志決定に当たって別のキーマンが隠れていて、その人の了解が得られていない。プロジェクト進行に当たって、実は表立っては言えない別の優先すべき案件があるなどです。
 気がつかなければ、仕事は前に進みません。それを見つけるためには、職場を冷静に観察しなければいけません。

 「上司は、何を気にしているのだろうか?」「上司がこの提案を前に進めようとするならば、まず誰に説明を行うだろうか?」「上司がこの提案を前に進めるのなら、この提案に一番反対するのは誰だろうか?そしてその理由は?」
 「プロジェクトメンバーが今一番不満に思っていることは何だろうか?」「プロジェクトをやめると一番喜ぶ人は誰か?」「プロジェクトメンバーのこれまでの言葉で一番頻繁に出来てたものは何だろうか?」
 このような質問に答える中で、隠されたルール、背景を探ります。
 職場のメンバーが行動する原理を探っていくのです。成果を出すための最短経路を考えましょう。

 くれぐれも安易にグループに所属し、暗黙的な知識を得ることは避けましょう。
 引き換えに自由を差し出しています。結果として得られる成果も差し出しているのです。
 今まで述べたようなことを実践して、着実に暗黙的な知識を積み上げていきましょう。

■まとめ

 職場に入った際にまず意識すべきことを3つお話してきました。
 職場に入ったばかりの時は、どうしても上司や先輩、同僚の指示に従い仕事を覚えていくしかありません。
 人の言いなりになり続けることは疲れます。
 自分の考えが入る余地がなく、自由を感じられないからです。
 人から指示されて、言われるがまま行動することに慣れていたとしても、自由を奪われることは辛いものです。
 本当に職場で自由を得られるのでしょうか?出来ます。
 しかし、それを実現するには自分の考えをもって行動し、成果をあげなければいけません。
 日本の企業では集団主義が残っています。その集団主義が個人の自由を阻むのです。
 本来集団主義の目的は成果をあげるためなのですが、現在の集団の多くは、集団を守ることが目的となっています。
 だから、個人を排除することに躊躇しません。たとえ会社の望む成果をあげている人であってもです。
 更に日本は、企業全体としての集団と職場内の派閥やグループという2つの集団があるのです。それが問題をややこしくしています。
 企業という集団が健全で成果を優先しても、その中のグループが集団の維持に動いていては、企業としての成果は頭打ちです。
 本来、企業内の全ての集団が、成果優先に変わらないといけないのです。

 このような構造の企業、職場で生き抜くには、組織を守ることが目的の集団の言いなりになり、埋没し、誰にも守ってもらえないままに疲弊するか。自分の考えで行動し、成果をあげることで、職場で自由に振る舞えるようになるのか。このどちらかを自分で選択する必要があるのです。

 厳しい現代の職場環境ですが、この3つの注意点を是非実践し、自由を勝ち取っていただければ嬉しいです。

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