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30代不動産業界未経験から1年半で不動産鑑定士試験に合格した話

●はじめに


2021年5月に短答式試験(1次試験)、2022年8月に論文式試験(2次試験)を受験して、無事に両方とも合格しました。
この記事では、30代不動産業界未経験、宅地建物取引士(宅建)などの関連資格もない状況から、1年半で不動産鑑定士試験に合格した私の勉強方法を紹介します。
また、試験の成績や、論文式試験(2次試験)の合格答案も全科目公開します。
不動産鑑定士試験は、他の難関資格に比べて受験者が少なく、試験対策に関する情報が得づらいと思います。
宅地建物取引士からのステップアップを目指される方や、既に不動産鑑定士試験の勉強をスタートされている方の参考になれば幸いです。
 

●試験成績、学習時間など

試験成績
私の試験成績は、以下のとおりです。
国土交通省に開示請求して受け取ったものです。


学習時間
短答式試験(1次試験)は2021年5月に受験、論文式試験(2次試験)は2022年8月に受験しており、1年半の学習期間で合格しました。
合格までに要した勉強時間は、約1,500時間(短答式試験約300時間、論文式試験約1,200時間)です。
一般的な合格に必要な勉強時間の目安は2,000~5,000時間とされているので、比較的少ない勉強時間で合格できたと思います。

具体的なスケジュールは、以下のとおりです。
手帳に記載していたのを後から拾った数字です。

2022年1月~5月 約3時間/平日 合計約300時間 
2022年5月~8月 約3時間/平日 合計約200時間 ※演習のみ勉強
2021年9月~12月 勉強していない
2022年1月~4月 約5時間/平日 合計約400時間
2022年5月~8月 約5時間/平日、6時間/土日 合計約600時間
合計 約1,500時間

●不動産鑑定士ってどんな資格?

不動産関係の資格といえば「宅建(宅地建物取引士)」が最も有名であり、「不動産鑑定士」という資格は聞きなじみがないかもしれません。
知名度の低い「不動産鑑定士」ですが、実は不動産関係の最高峰の資格であり、不動産の価値(価格・賃料)を鑑定評価できる唯一の国家資格です。
不動産を売る・借りる・貸す場合に、それに見合った価値を判定する業務を行うのが一般的な業務であり、この他にも不動産をどのように有効活用するかコンサルティング業務を行うこともできます。
鑑定会社での勤務、個人事務所を開業したりできるほか、不動産を扱う一般の事業会社で勤務するなど、様々な分野での活躍が見込めます。
不動産鑑定士は、そのマイナーさもあってか、全国に約8,000人しかおらず、他の難関資格である弁護士、公認会計士、税理士、司法書士などと比べると、その数の少なさから、強い希少性があります。
 

●不動産鑑定士試験の概要


不動産鑑定士試験は、短答式試験(1次試験)と論文式試験(2次試験)の2段階選抜方式で実施されています。
試験日は、短答式試験(1次試験)が5月中旬の日曜日、論文式試験(2次試験)が8月中旬の土日を含む3日間です。
短答式試験(1次試験)は、多肢択一形式で、不動産の鑑定評価に関する理論(鑑定理論、以下同じ。) 、不動産に関する行政法規(行政法規、以下同じ。)、の2科目で構成されています。
そして、論文式試験(2次試験)は、論文形式で、民法、経済学、会計学、鑑定理論(論文)、不動産の鑑定評価に関する理論演習(演習、以下同じ。)の5科目で構成されています。
短答式試験(1次試験)は、一度合格してしまえば、合格した年度を含めて3年間は受験を免除されます。
 

●試験の分析


勉強開始前に試験の特色を以下のとおり整理していました(大雑把に)。
 
 短答式試験(1次試験)
・両科目とも多肢択一式(マークシート)で行われる。
・各科目の配点は100点で、合計200点の得点で合否が決定される。
・過去数年の合格最低点は140点/200点程度である。
・各科目で足切りが存在しており、足切りラインは概ね6割である。
・重要論点が繰り返し出題されている。
 
 論文式試験(2次試験)
・全科目とも論述形式で実施される。
・配点は、鑑定理論(論文)200点、その他100点で、合計600点である。
・過去数年の合格最低点が概ね380点/600点である。
・各科目に足切りが存在しており、足切りラインは概ね4割である。
・短答式試験(1次試験)に比べて格段と難易度が上がる。
・暗記色の強い科目と、思考力を重視する科目がある。
 

●全体を通じての戦略

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