10年後の裁判

こんにちは。弁護士の紙尾浩道です。

一般的な民事事件・刑事事件全般のほか、スポーツ選手・団体の法務や、SNS利用のコンプライアンス講師、テニス練習会の主催なんかをしています。

今日は、仕組み化するものとしないものの話をします。

==========お知らせ===========
お知らせです。

私が顧問を務めているパデル協会のフィナンシェのトークン(電子ファンクラブ券)一般流通が開始しました🎊

ファンクラブ券と書いたとおり、保有していると様々な特典がありますが、そのファンクラブ券が、購入者の増加で価値があがったり、売ることができるのが特徴です。

現在、日本代表は、カタール(予選はUEA)での世界大会に出場しております。応援も含めて、トークンを保有したい方はぜひこちらからアクセスください‼️

今日からは、女子チームが本戦出場するわけですが、不動の世界No1、スペインと同じグループに入りました。

最高に興奮しますね!ファイト!!


私が法務面からサポートさせていただいている、PTL(プロテニスリーグ機構)主催のプレマッチ(2021.10.17)の動画が順次アップされますので、こちらをチャンネル登録してお待ちください🎾

「演出」が今回のテーマで、トライしてみて分かったことなども今後共有していきます。

ドラフト会議やオーダー交換なども、今までなかった試みですよね。

==========本編スタート=========

◆未来を予想するのは楽しい◆

個人的な趣味ですが、未来がどうなるかというのを予想するのが好きです。

当たるかどうかを待っている間は、宝くじが当たるかどうかを待っている感覚ですが、何せ「無料(タダ)」でできるので。笑

しかも、予想を公言していても、(破滅的な未来を予想した場合は別ですが)誰にも怒られません。

ただで、ワクワクが買えて、ノーリスクとなれば、やらない手はないと思うのですが、皆さんはどうでしょう?

ということで、本日は、10年後の裁判ってどうなるか(=私の仕事がどうなっているか)を予想(妄想)してみることにしました。

◆AIの活用で無くなっていく仕事◆

契約書のチェックは、AIで8割くらいを代替できるようになると思います。

私はすでにAIの契約書チェックサービスを利用しています。

まだ、典型例が多くはありませんし、アドバイスも人間が考えるよりも充実しているとまではいきませんが、それこそAIの最大の得意技「食べさせて学習させる」が期待できますので、日を追うごとに増強するはずです。

テーマを絞った法律相談も、チャット式に解決できる可能性が高いと思います。

現時点で、インターネット上には、かなりの数の法律相談のQ&Aが転がっていますので、その情報を自動で拾い上げてしまえば、それだけでもかなり充実した回答が得られるようになると思います。

と、なると、弁護士の仕事は、契約書のチェックにとどまらず、そもそも契約のスキームをどうするのが良いかを考えたり、法律相談も論点が絞られているわけではない「●●のビジネスをしたいけど仕組みをどうすれば法的な問題が少ないのか」という問題の所在が必ずしも明確になっていない相談が増えると思います。

つまり、相談→回答といった「成果物提供型」の仕事から、相談→提案→相談→提案という「伴走型」の仕事に移行することになる。

そうすると、どう考えても、仕事の「結果」面よりも、一緒に長く伴走できる人なのか(年齢、性格、考え方、業界への知識・理解、学ぶ姿勢)が重要になりますよね。

個人的には追い風だーと思っているところです。テニス業界・パデル業界のみなさん!一緒に学びましょう!

(決して、仕事と称してコートに行きたいわけでは・・・)

◆裁判の現在地◆

では、「裁判」はどうなるか。

というところを話し始める前提として、そもそも、普通に暮らしている皆さんにとっては、「現状の裁判」なんて知らんわ状態だと思うので、面白おかしく簡単に説明しますね。

現在の裁判は、国内で最大級の「紙」「書面」の取扱所です。

あと、絶滅危惧種の第2種くらいに入っている、「FAX」という器具を保護している団体でもあります。

(ちなみに第1種は公衆電話・電話ボックス)

よく、裁判では「証拠」が必要なんでしょと言われていますが、「証拠」の7割くらいは、「何らかの書面」です。

と、いうことは弁護士の仕事としては、言い分を一定の形式の書面にして裁判所に提出し、その言い分を支持できるだけの「書面」の証拠(最近は映像を提出することも増えては来ましたが)を整えて、裁判所に、「こんな事実があったんです」ということを説得力を持って話すという仕事です。

皆さんがドラマで見ている、次のようなやり取りは、そんなに多くは起こりません。

「(カンカン)証人は静粛に!」
「それでは弁護人、続けてください。」
「はい、それで、あの日あなたは、●丁目の漫画喫茶にA子さんと一緒にいたんですよね。」
「はい」
「本当にそう言い切れますか」
「はい」
「・・・っふっふっふ、皆さん!これをご覧ください!(映像流れる)」

※そもそも日本の裁判所では木槌はありません

で!

ここが最大のポイントですが、そんな紙の大量取扱い所は、何をやっているかというと、様々な事実関係を証拠で証明してもらった結果

『目に見えないけど、法的には存在する「権利」の存否と内容を決めている』

のです。

あなたが持っているそのパソコンには、見えないけれど「所有権」があります

自動車も、不動産も。

仮に5,6年別の人が使っていても、「それは俺のだ!」と言いますよね。

「俺のだ」=「俺に所有権という目に見えない権利があるのだ」

ということです。

他にも、100万円を貸したら、「100万円を返してもらう権利」がありますよね。

それが認められないなら、誰も100万円貸さないですので。

という風に、権利義務は、確実にあるのに目に見えない。そこで、仕方ないから、法律では権利を発生させる「事実」を決めていて、それが満たされれば、自動で権利が発生することになっている。

この権利の認定をしているのが裁判所なんです。

決して、悪いことをしたやつを懲らしめたり、相手が酷い奴であることを認めてもらう機関ではありません。

◆裁判の今後◆

ここにきて、この仕組みも利用率が下がる可能性を秘めた技術が出てきました。

ブロックチェーン

です。

つまり、物やデータを生み出した段階から、ずっと、「誰の物」かを追跡できる機能が一部のものにつくかもしれない。

そうすると、「所有権を認定してください」は、一部の類型について消滅する可能性があります。

また、契約の成立についても、ブロックチェーン技術を用いた電子契約を使えば、少なくとも、「契約書にハンコを押したのは誰か別の人で、俺じゃない」という類の争いは極端に減ると思われます(ちなみに、結構あるんです、この手の話。)。

他には、「裁判のIT化」という標語のもと(名前自体がもう古いですが)、訴状の提出等が電子でできるようになったり、現在も一部実装中ですが、そもそも裁判期日の一部もオンライン会議方式で行ったりすることになりそうです。

◆感想◆

もちろん、裁判制度自体は、国民全員にかかわる制度なので、急激な変化は難しいところでしょう。

ただし、リテラシーが高いビジネスサイドの利用者は、「時間がかかる、無駄が多い」と評価してしまえば、「だったら、別の手段で自分に不利益が来ないようにブロックチェーンなどを上手く活用しよう」となるのが至極当然で、弁護士というその中間に立たされる職業としては、勉強をサボってしまうと、ビジネス利用でない裁判に比重が偏る危険があるなぁと思うところです。

では、また。


記事をお読みいただきありがとうございます。弁護士は縁遠い存在と思われないよう、今後も地道に活動をしようと思いますので、ご支援よろしくお願いします。