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経産省 自治体DXワークショップ Day2 データ活用編

経産省主催で行った自治体DXワークショップの2日目データ活用編について説明します。自治体DXワークショップは半日×3回を利用してゴールをめざします。Day1では、サービスデザインを使って、市民目線でアイデアを検討し、今回は実際に効果があるのかを、データを活用して精度を上げていきます。

当日使った資料はこちら。

<ワークショップのチーム構成>
運営チームは5名です。メインファシリテーターが1名、テーブルを回るテーブルファシリテーターが2名、現場の進行状況とWSの内容を描くグラフィックレコーダーが2名です。今回は、テーブルファシリテーターの役割は、業務の整理や、数値の過不足の確認も含まれてくるため、事前に全体の流れ、業務フローの粒度の確認、参加者の状況、課題の内容など2、3回集まり準備します。

<ワークショップの参加者>
今回も、現課の方と情報部門・企画部門がセットで参加していただいています。特に、現場の数字や、削減効果、市民向け効果は、現課の方でないと捉えにくいですし、ロールプレイをした時に本当に効果があるかも、業務を知っている人がいないと判断できないからです。結果、情報部門の方も現課の流れがわかるようになり、今後実際に導入していく時の大きな力となります。

<ワークショップの進め方 イントロダクション >
今回も、グラウンドルールから。運営チームも含んでワンチームで取り組むことを確認します。Day1で気づいたことがあれば、そこを強調しても構いません。Day2も何度も何度もブラッシュアップを続けること、自分が主体的に進めていくことを進めていきます。

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Day2のIcebreakerは、業務フロー皆さん結構困ってますよね?という共通認識を掴むために、業務フローあるある!として、これがダメだよ業務フローを1人1枚書いてもらうワークを入れました。これについては、情報部門の方は思い当たる節がありまくりでよく出てくるよく出てくる。そして、現課の方も引継ぎ時に業務フローもマニュアルもない、粒度がバラバラ、古いままで更新していない!など多くのDXの妨げとなる要素が出てきました。

<ワークショップの進め方 業務フローのお約束>
今回のワークでは、各自治体でバラバラの業務フローになってしまうと、アドバイスや比較がしにくくなるため、お約束を作りました。

・プロセスは黄色の付箋
・分岐はピンクの付箋
・アナログデータは緑の付箋
・デジタルデータは青い付箋

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このルールをいれることにより、現行とあるべき姿の差を見たときに、緑色が減って、青色が増えているか?を比較することができます。また、業務フローの書き方としは、登場人物が誰なのか、どこでデータが流れているのかがわかるようにスイムレーンチャートという方式で作成します。

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今回のワークショップのゴールは、前回のDay1で作成したアイデアから、具体的な業務フローに起こし直し、①要求仕様をまとめること、②提案書を完成させることの2点です。特に、提案書については、現状フロー・あるべき姿のフロー、変革のポイント・効率化・利便性・新規価値でどこが増えて、何が変わるのかを記載できるようにしています。これによって、最後の報告時には各自治体からの報告という形でまとめることができます。

下記はワークの様子です。

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<ワークショップ本体>
1、現状の業務フロー作成
現在の業務をミーティングボードを利用して業務フローを作成します。意外と手間取るのがこの工程です。細かい条件を作り始めると一気に時間がなくなってしまうので、まずは全体の流れが掴めるように、開始と終了を設定してから作成するとやりやすいでしょう。本当に複雑なフローになっている自治体さんもでてきます、可視化したことによって、こんな複雑なことをやっていたんだ!と本人たちもやばいね、、、という感覚を掴むことができます。

2、あるべき姿の業務フロー作成
前回のサービスデザインで作成したアイデアストーリーを、実際の業務の形へと落とし込んでいきます。このときに、アナログが減っている状態や、矢印が減って行動が少なくなっているかのポイントも確認しましょう。DXをする際には、このあるべき姿の業務フローはシンプルになっていくはずです。また、この段階では、うちの自治体では上の許可が降りないねは一旦外して、こういう業務がめざす姿だ!という形でまとめてもらいましょう。

3、概算工数・効果を算出
宿題で集めておいた、業務の回数・人数・時間を使い、現状の業務フローと、あるべき姿の業務フローの作業時間の差を確認します。この差の部分が、業務削減効果となります。

4、ペーパープロトタイプを作成し、実現可能かテスト
業務フローの1つのプロセスごとに、1枚の紙芝居(ペーパープロトタイプ)を記載していきます。この紙芝居には、タスク名・実施することを簡単にリストで書く・関係者・必要なデータや物・想定される時間を記載していきます。この紙芝居が完成すると、「要求」仕様書が完成します。この要求仕様が正しく動くかどうかの確認として、窓口役、市民役などに分かれてロールプレイを実施し、おかしな点を確認していきます。大抵の場合、抜け漏れがあったり、異常パターン(キャンセルされた、スマフォ申請ではなく窓口に来庁してしまった)の考慮が抜けています。

5、シックスハットシンキング
視点を変えることで、検討漏れがないかを確認する方法です。「客観的・中立的な視点」「感情的・直感的な視点」「積極的・希望的な視点」「分析的・俯瞰的な視点」「革新的・創造的な視点」「批判的・消極的な視点」を利用し、自分たちの業務フローについて意見を出します。多くの自治体職員さんは、批判的・消極的な視点は得意ですが、積極的・希望的な視点は苦手なので、あえてその視点に立ってみることで見えてくることがあります。

6、あるべき姿の業務フロー完成
4と5で出てきた多くのフィードバックを、あるべき姿の業務フローに反映させ、今度こそDXできる業務フローを完成させます。

7、工数・効果算出・指標の作成
定量的な効果・価値として、業務改革的価値を算出します。ここでは、概算工数を詳細化することと、「人」「物」「金」「情報」のうち、時間削減、対応回数減少、利用回数増加など、どこに効き目があるのかを確認します。

8、定性評価方法
最後にDX的な新しい価値、これから、人物金の何が変わり、イノベーションが起こせるのかを算出します。「いつでも」「どこでも」「必要なときに」「必要な量を」「サービス対象の拡大」「新規価値創出」どの部分の価値を増大するのか、またどのエリアの価値が増やせそうか、行政サービスの品質の一定化、24時間受付によるサービス拡大など幅広く検討します。

<3日目までの宿題>
今回作成した手書きの報告書、提案書を、デジタルで起こしてもらうのが次回までの宿題となります。この段階でも、使えるものですが、次回は実践導入による改善を進めます。

<グラレコによる振り返り>

最後に、今回のワークショップの流れを効果時間、定性的な効果、新たなる価値を含めてグラレコで確認します。自分たちがこのワークの中でどのようなところに価値をだしたのか、俯瞰して見直すことができます。

【東京回のグラレコ】
・担当:長岡造形大学 古沢菜月さん、久保楓さん


東京2-1

東京2-2

東京2-3

【大阪会のグラレコ】
・担当:市川電産 市川希美さん、常葉大学 堀池実沙希さん

大阪2-1

大阪2-2

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Day3 サービスデザイン編2に続く

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