株式メモ:ユタカ技研 (2024_10_06)
インフレが怖い・・・!
僕は、インフレ論者である。
インフレは、間違いなく続く。最終的にはとんでもないインフレになることを確信している。
日本円の価値はどんどん低下していくばかりだから、なるべく早く ”モノ” に変えておきたい。
だが、不動産は流動性が低いし固定資産がかかる。外貨(ドル)も、ドル自体がアメリカのインフレで価値が低下していくから微妙である。
必然的に株式しか選択肢はない。
機械的に全銘柄を買うインデックスファンドは、割高の半導体銘柄等が多く含まれてしまうため、却下である。
個別銘柄の日本株を一生懸命に選ぶしかない。
割安株
とある、割安株を発見した。
名前はユタカ技研
PBR(時価総額の会社資産に対する比率) が、0.26倍
PER(時価総額に対する会社利益の比率)が、10.5倍
とても割安な銘柄だ。
株価が、1850円
それに対して、1株あたりの利益が175円
会社の利益は株主のものとすると、10年間この水準の利益を継続すれば、元は取れる計算になる。
過去 10年間の包括利益を確認したところ、毎年40億円程度は利益をあげている。ユタカ技研の時価総額は、270億円だから、過去10年と同じくらい利益を上げると仮定したら、7年間で全ての時価総額を回収できる計算になる。
とても割安だ。
ユタカ技研とは
ホンダ系列の自動車部品会社である。ユタカ技研の株の7割はホンダが保有しており、ホンダに完全に支配されている子会社である。
主に、トルクコンバーター、排気系システム(エンジンの排ガスを処理する触媒・サイレンサーなど)、ブレーキディスクなどをつくっている。
最近、ホンダがEVシフトを鮮明にしたため、モーター部品の製造に力を入れている。ただ、モーター事業の売り上げは、23年度の実績で71億円だから、わずか3.5%にすぎない。
売り上げのうち6割が排気ガスシステムで、2割がトルコン、1割が2輪部品となる。つまり、売り上げの9割が、ガソリン-ハイブリット車に関連する製品で構成されている。
要するに、ユタカ技研は、ガソリンエンジン車に関係する自動車部品のメーカーであるといえる。
親会社 ホンダの問題
ユタカ技研の株式の7割はホンダが保有している。また、ユタカ技研の売り上げのうち、97%がホンダ向けである。つまるところ、ユタカ技研は、ほとんどホンダの一部なのである。
そして、この親会社のホンダがやらかしている。
ホンダは、2021年4月に脱エンジン宣言をしたのだ。2040年には、電気自動車と水素自動車しか売らないという、めちゃくちゃなことを言ったのだ。
そのおかげで、21年に募集した早期退職制度に2000人もの応募が殺到して話題になっていた。(国内従業員の5%に相当)
そこからも退職者は増加し、3200人(国内従業員の6%)が退職してしまった。
無理もない。EVシフトするのであれば、エンジンをはじめとする内燃機関の技術がごっそり不要になってしまう。社長自ら、脱エンジンを大々的に宣伝されては、エンジンにかかわる技術者は面白いはずがない。優秀な人からやめていったことだろう。
足元では、ホンダのEVシフトはうまくいっていない。それにもかかわらず、2024年5月の発表で、ホンダはEVに向けて10兆円も投資をするとのこと。
これは…ダメだ・・・
ホンダの戦略は、2050年にカーボンニュートラルするという前提ありきで、構築されている。現実が見えてない。
基本的に、こちらの記事の意見に賛成する。
EVは無茶だ。
ユタカ技研は、売り上げの9割がエンジンに関係する自動車部品である。ホンダのEVシフトで、親会社からはしごを外されたようなものだ。
ユタカ技研の経営陣は、この問題に対して、以下の2つの戦略を考えている。
①モーター事業を拡大
②販路をホンダ以外に拡大
①のモーター事業の拡大では、ホンダのEV向けのモーターを作っていく
ただ、モーター事業の売り上げは、30年度に400億円が目標と、現在の2000億円の売り上げを何とかできるほど多くはない。
②の販路拡大では、ホンダ以外の自動車メーカーに排気系システムやトルコンを供給する。
だが、30年度にホンダ以外の売り上げを30%にすることが目標とされるなど、こちらもそこまで多くはない。
どちらにせよ、ホンダ依存を脱却することは難しそうだ。
ユタカ技研はオワコンなのか?
ホンダのEV戦略は間違いなく失敗する。結局のところ、ホンダのEVは売れないだろう。
となると、ホンダは売上を確保するためにリソースをしぼったガソリン車(ハイブリット車)を売っていくことになる。リソースの投入がされていない、ガソリン車に売り上げを頼るわけで、会社の動きはちぐはぐだ。
いずれかのタイミングで、ホンダは大赤字を出して、EV戦略が間違っていたことを認めなければならないだろう。
ホンダのガソリン車が売れ続ける限り、ユタカ技研の売り上げは確保できる。ユタカ技研としては、ホンダからの売り上げに対処しつつ、他のメーカーへの販売を増加させて生き残りを図るしかない。
もし、ホンダが早めにEV戦略をあきらめてくれれば、ユタカ技研が被るダメージも少なくて済む。
親会社のEVシフトが間違っているからといって、ユタカ技研がオワコンというわけではない。結局のところ、ホンダは売り上げ維持のためにガソリン車にたよらざるを得ないから、ユタカ技研の製品を買い続けることになる。
とはいえ、ホンダはガソリンエンジンへのリソース投入をしないので、ライバル企業のトヨタに遅れをとる。いずれホンダのシェアはじりじりと低下することになる。
ユタカ技研は、没落するホンダの影響を受けざるを得ない。
ユタカ技研は、オワコンではない。
当面の売り上げは確保できる。
だが、ホンダの先行きは暗く、その影響を受ける。
まとめ
ユタカ技研は、割安だ。
不安要素は、親会社で主要取引先でもあるホンダの間違ったEVシフト戦略だ。
主力株として買いまくるのは不可
だが、リスク分散の意味でポートフォリオに組み込むのに最適だ。
今の値段から、暴落すれば買い増しもすべきだろう。
SDGsで株式投資は人狼ゲームになった
日本政府が、2050年の脱炭素宣言など、できもしないことを目標に掲げたことで、すべての企業が脱炭素を意識した施策を行うようになった。
ホンダがEVシフトを目指すのは、日本政府が脱炭素する目標に合わせてである。当然ながら、脱炭素などできやしない。日本政府は責任を取ってくれないので、ホンダは、はしごを外される。
だが、正直に脱炭素なんで非現実的だ、無視だ無視!と言える経営者もいない。経営者としては、2050年の脱炭素にあわせて行動していますよ、と対外的にアピールしなければならない。
要するに、現実を理解している経営者はウソをつかねばならない
その前提にたって、2050年の脱炭素など絶対無理だろ、と現実的な適切な企業経営をしている会社を探さなければならない。SDGsのような、タテマエを設定してくれたおかげで、経営者は正直に情報発信することができなくなった。
どこまでが、ホンネで、どこまでがタテマエなのか、投資家の能力が試される。
SDGsは、間違いなく庶民に不利益をもたらしている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?