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仕事における成果ってなんですか?

仕事において重要なのは成果ですが、何気無く使っているこの成果というのはとても抽象的な概念ですね。成果という言葉を目にする機会は多いものの、その中身が具体的に語られていることはあまりに少ないです。成果を出せと言ってる側も成果の意味を本当のところよくわからずに使っているような気がします。

成果とは「あることをして得られたよい結果」

辞書を引くと、よい結果とあります。ではよい結果とは具体的に何でしょうか?売上が前年、前月対比で増えること?経費が減ること?残業時間が減ること?新規事業が軌道に乗ること?優れた人材をたくさん採用すること?仕事をしていると大小さまざまな結果というものがあります。

毎日一緒に過ごしている仕事のメンバー間においても言葉の定義がかみ合ってないことは往々にして起こることです。言葉だけが独り歩きして、お互いの共通認識になってるような気がしてるだけなのです。「成果って具体的になんですか」と上司にうっかり質問したら、お前は馬鹿かと言われそうですし、空気を読んで察しろくらい言われそうです。経営計画や事業計画がある会社ならまだしも、そんなものもない会社も存在します。目的も目標も計画もなく、指示する側も本当のところよくわかってない言葉を使って、ただただ成果を出せと言われても、言われる側は困ってしまうのが本音でしょう。

自分で考えて成果を出せ?

成果の定義がなく、求める側の意図がわからず、自分なりに考えて努力した結果、まったくピント外れだったらその努力自体が無駄になりますし、無駄になるだけでなく無能の烙印を押されそうです。経営側の求めるものがわからないまま努力を続けたところで評価されるはずもないので、下された評価に対し不満を感じ、報われない努力ならしても意味がないからほどほどの仕事をしておこうという心理に多くの人が傾くことになります。勘のいい人はそれこそ阿吽の呼吸で求められているものを察知してしまうかもしれませんが、残念ながらそういう人材は早晩退職して転職するなり、起業すると思います。

そんな漫画みたいなことあるかと思う人もいるかもしれませんが、会社で起きてる日常風景だと思いますし、そうなってしまう全ての原因は経営側にあります。

よい結果はどう測るのか?

よい結果であると判断するためには基準がないと判断できません。では基準は何かというと事実や目標を数値化したものです。その数値を上回ったのか、下回ったのかを判断したものが結果、よい結果であった場合は成果と呼ぶ。シンプルに言えばそういうことになりますが、目標も計画もない会社ではそもそもこの数値化という作業をしません。経営者のなんとなくの感覚での認識があるのみです。仮に数値化し、なにがしかの判断をしても社員に公表しない会社もあります。そうなってしまうと社員も努力のしようがなくなってしまいますね。ダイエットしようと思っても日々の体重がどう変化しているのか、3か月後にどうなったかもわからないまま、一生懸命運動したり、食事制限する人などいません。でも不思議なことに会社ではそれが起きるのです。

数値化できない仕事は評価されないのか?

成果はよい結果、よい結果と判断するためには数値化した基準が必要と書きました。では数値化しにくい、できない仕事や行動はどう扱われてしまうのでしょうか。

営業で売上を増やせた、製造で早く良質の製品を作れた、事務処理が早くなった、こうしたものは目に見えますし、数値化しやすいものです。ただ仕事は技術的なことだけでは完了することはなく、複数の人たちがさまざまに関わってやっと完了するものです。その過程では気が利く人のさりげない気配り、上司の的確な指示、ムードメーカーの一言、段取り上手、顧客との良いコミュニケーション、こうした仕事を円滑に進めるための行動が個々の仕事、企業活動を支えていることもあるでしょう。

例えば、バックオフィス業務は数値化しずらい行動が多く存在しているセクションでもあります。もちろん作業時間の短縮などは数値化して改善の対象にすることはできますし、無駄な時間を使っているなら取り組んだ方がよいと思います。ただ、営業や製造などを陰ながら支えている無数の行動を数値として把握することは難しい。多くの会社では勤務態度などの項目で評価対象としているかもしれませんがその評価は恣意的なものになっていると思いますし、売上などには貢献していないとみなされて、評価の結果である昇給や昇格には結びつきにくいというのも現実だと思います。評価は難しいと言われる理由のひとつです、

多少進んだ会社ではサンクスカードの数をポイントとして評価材料とすることもあるでしょうが、他人の行動に感謝の気持ちが芽生えない人、カードを提出するのが面倒くさくてやらない人はどこにでもいて、カード提出する行為自体を評価対象にするというのもよくある話です。

全てを無理やりでも数値化すべきという考えは私にもありません。ただ、成果という言葉を使うのであればしっかりその言葉の具体的中身を定義し、当事者で共通認識し、数値化できない、しずらい行動とその評価も含めて目標や計画を練らないと誰も幸せにならない曖昧な言葉遊びで終わると思います。