原稿用紙

伝わる文章・揺さぶる文章

自称・ライターの中郡です。
前々回、タガさんが「文章の書き方」について取り上げていましたね。

非常に共感できる内容でうなずきながら読みました。その一方でライターを自称する僕に対する「挑発」だと感じたので(笑) 予定を変更して、今回は僕が文章の書く時に気をつけていることについてお届けします。

■伝わる文章

文章の目的は「誰かに何かを伝える」です。申請書であれ報告書であれ、また論文もコラムもエッセイもすべて同じです。伝えたつもりでいて伝わっていなければ、わざわざ書いた文章の目的が果たせません。ではどうすれば伝わるのか。僕が一番に気をつけているのは「普通の日本語で書く」です。

「自分の言葉」と称して、書いた人にしかわからない言葉や表現をする人をときどき見かけますが、そうした文章はまず伝わりません。「望年会」や「志事」といった当て字は典型です。詳細に意味を定義すればまだわかりますが、そうすると全体が饒舌になって、結局わかりにくくなってしまいます。

この関連でいうと、一文を短く、も心がけています。一文が長くなる原因の多くは、「~が」などの助詞でつないでいってしまうからです。これをすると意味を理解しにくい文ができあがりがちです。肯定か否定かわからなかったり、二重の意味に解釈できたりしてしまうのです。シンプルに書くのが伝わりやすいと思います。

また「誰に」を意識する、つまり「想定読者」を自分の中では明確にしておきます。読者がはっきしていないと、どのレベル感でどこまで書くかが決められないからです。たとえば、中学生向けに書く場合、中学生のレベル感にあわせて、彼らの年代なら知っているであろうことを踏まえて書いていきます。その文章は小学生には理解できないかもしれないし、大人にはくどく感じられてしまうかもしれません。しかしこれは仕方がない。万人に伝わることはそうあるものではないのです。

なお、想定読者を考える際、さまざまな設定条件を考えてペルソナを作る方も多い思います。僕もできる限りそうしていますが、うまくいかないことが多々あります。そうした場合は、想定読者層にあてはまる具体的な人物―友人の中から探すなど―に向けて書きます。

さらにいえば、その具体的な人物が、数年前の自分、である場合もよくあります。このリレーブログに僕が書いている文章は多くは、診断士になる前の自分、なったばかりの頃の自分を想定読者にしていることがほとんどです。

■揺さぶる文章

「論理で納得し、感情で動く」人間とはそういうものだと思っています。いくら論理的にわかりやすく伝えて、納得してもらえても、そのあとにアクションを起こしてもらわないと意味がない文章もあります。納得だけでは足りません。提案書は納得してもらった上で、その提案の実現に向けて動いてもらわないと書いた価値は大幅に下がります。

どうすれば感情に訴えられるのか。これはなかなか難しく、これだという解決策を持っている訳ではありません。試行錯誤の日々です。

ただひとつ、常に意識していることは「誰も他人の書いたものを読みたいと思わない」という前提です。

読んでもらえるものだと無意識に考えて書いてしまうことがありますが、それを自戒するためにこの前提を意識しています。実際、自分が読み手になった場合、それほど積極的に読みたいと思うかどうか、考えてみてください。たぶん、思わないでしょう。「どうしたら読んでもらえるか」を考えることを通して、感情に訴える表現ができるようになるのではないか、と思っています。

あとは、自分に嘘をついた内容にしないこと。やはり、自分の信念や想いは文章に表れてくると思います。その熱が人を動かすことがあると信じてはいます。

■文章に正解はないけれど・・・・・・

文章に絶対の正解はない、とは思います。しかし「間違った」書き方はあると思っています。

最低限の文法には則ること、自分勝手な言葉を使わないこと、助詞や接続詞を正しく使うこと、などです。

気をつけてはいますが、あとで読み返すとできていないことがあります。だからこそ「推敲」はとても大事だと考えいます。推敲をしたとしても、まだ間違った形で書いてしまう場合もあります。

どこまでいっても修行は続くのだ、と考えて、試行錯誤しながらこれからも文章に向き合いたいと思います。

*お薦めを1冊だけあげろ、といわれたら、この本を薦めします。

推敲の精度を高めるためならこの本がお薦めです。


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